目薬と他の薬の飲み合わせ

目薬は、全身ではなく目に作用するため、内服薬(飲み薬)との飲み合わせは軽視されがちです。しかし、薬は口からだけでなく、目や鼻、肺、肛門、皮膚など、さまざまな経路からからだ全体に作用します。

 

よくある話なのですが、薬局にてお薬をお渡しする際に、「ほかに使っているお薬はありますか?」と患者さんに質問すると「ありません」と即座に答えてくださる方が多いです。しかしながら、その方のお薬手帳を確認すると「本当は目薬を使っていた」というケースが非常によくあります。

 

多くの方は、「目薬だから(飲み薬との飲み合わせは)大丈夫でしょう?」とおっしゃいます。

 

おっしゃる通り、目薬と飲み薬で相互作用がない場合もあります。しかし、中には目薬と内服薬で重大な副作用が起きてしまう事例もあるのです。この事実を知らないと、取り返しのつかないことを起こしてしまうかもしれません。

事例紹介

目薬との飲み合わせで主に注意となるのは、呼吸器系心血管系の合併症がある方です。喘息があったり、心臓の病気がある方はより注意が必要です。

 

 

【気管支喘息と緑内障】
緑内障を聞いたことがありますか?緑内障は目の病気であり、日本の失明の原因の第一位です。40歳以上の日本人における緑内障有病率は、5.0%といわれております。以前は、緑内障=失明と恐れられていましたが、現在は、多くの治療薬(大半が目薬)が開発され、失明の危険性も減っています。

 

その失明を防ぐ大切な目薬を、気管支喘息を持っている方に使うと気道を閉塞させ、呼吸ができなくなってしまう危険があるのです。

 

このことは、目薬が気管支に影響を与えるために発生します。もちろん、すべての緑内障治療の目薬で、このようなことが起こるわけではありません。

 

 

【心臓や血圧の薬を飲んでいる方】
目薬の中には、全身に効果を及ぼし「動悸」や「徐脈」など心臓の動きを変えたり、血圧を下げてしまう薬もあります。この事例からは、心臓や血圧の治療をしている方は目薬と飲み薬でも注意するべきだということが分かります。

 

 

上記、2つの事例はほんの一部です。私がお伝えしたいのは、「目薬だから大丈夫と安易に考えてしまうことは、非常に危険である」ということです。

明日からできるスモールステップ

目薬も立派な薬だということを理解し、薬局や病院で「他に使っている薬」を聞かれた際にも「○○の目薬を使っている」ことをお伝えください。(○○=緑内障治療、疲れ目、ドライアイ治療、白内障治療など)

 

お伝えしたくない場合や、しゃべれない場合には、「お薬手帳」が役に立ちます。薬のことで、分からないことがありましたら、近くの薬局の薬剤師に相談してみることも大切です。



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