薬には頼らない!花粉症の基礎知識(後編)

薬には頼らない!花粉症の基礎知識(前編)の続きです。

 

アレルギーの中に、花粉症が位置付けられます。
免疫では、細菌やウイルスなどの抗原をからだの外に追い出すために、免疫が働きます。花粉症では、抗原である花粉をからだの外に追い出すために、免疫が働きます。つまり、どちらも異物をからだの外に追い出すための、防御システムです。

 

前編でお伝えした通り、この防御システムがからだに対して都合が悪く働く場合をアレルギー、花粉症と呼びます。

 

花粉を追い出すために、免疫が働いています。目や鼻で壮絶な戦いが繰り広げられています。そして、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが代表的な症状として現れます。
また、咳、痰、目のかゆみ、涙などの症状が出る場合もあります。これらの症状は、「つらい」と感じるだけでなく、集中力が下がり作業の効率が下がることや、睡眠ができず様々な悪影響が出る場合があります。

鼻呼吸の大切さ

本来、鼻は呼吸する空気の中にいる異物を捕まえ、空気を温め、空気の加湿を行う機能を任されています。

 

つまり、肺に必要な空気を清浄化する重要な役目です。鼻の粘膜の表面には線毛があり、 花粉が鼻孔から入ると表面の粘液に花粉をくっつけます。「鼻づまり」があると、これらの役目が果たせなくなり、「口呼吸」が行なわれます。

 

口呼吸を行うことで、口の中が乾燥し「口内炎」や「虫歯」、「口臭」などの原因となります。また、呼吸による顔の筋肉の使い方が、本来と異なり「顔のたるみ」や「いびき」の原因となると考えられています。

 

本来は行うべきでない「口呼吸」は、思ったよりも危険かもしれません。鼻づまりの対処方法として、横向きに寝ると楽になる場合があります。体の側面を圧迫すると、自律神経が刺激されるためだと言われています。つまっている鼻と反対側の側面を下にして寝てみましょう。あいうべ体操も効果的です。

抗体を知ることで、花粉症を知る

花粉症を知るためには、抗体の作られ方を知ることが大切です。まずマクロファージが、花粉などの異物(抗原)を飲み込みます。その異物の情報をヘルパーT細胞に伝えます。この情報を伝える行為を、抗原提示といいます。その抗原提示された情報をもとにB細胞は抗体を作るのですが、B細胞のままでは抗体を産生できないので、B細胞は抗体をつくる形質細胞に進化します。花粉症の方は、ここで作られるIgE抗体があることで、症状が起こってしまいます。

 

花粉症などのアレルギー症状が起こる際に、このマスト細胞が大きく関係しています。マスト細胞は、肥満細胞とも呼ばれますが、肥満とは全く関係がありません。この細胞の見た目が膨れた様子だったため、肥満細胞と名付けられました。このマスト細胞の中には、かゆみやくしゃみ、鼻水などの直接の原因物質であります「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」などの化学伝達物質が入っています。普段は、マスト細胞の中に化学伝達物質が入っているため、からだに何かしらの悪影響を及ぼすことはありません。

 

マスト細胞の表面にIgE抗体が結合することで、アレルギーの反応が始まってしまいます。つまり、IgE交代があることで、マスト細胞が臨戦態勢になってしまうということです。

 

IgE抗体が結合したマスト細胞は、異物である抗原を待ち構えています。ここに、花粉などの抗原が結合すると、マスト細胞の中にある「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」などの化学伝達物質が、マスト細胞の外に放出されます。

 

 

放出された化学伝達物質が、知覚神経に悪さをするとかゆみやくしゃみ、腺に悪さをすると鼻水がおこります。また、血管に悪さをすると血管が膨れ上がり鼻づまりの症状が起こってしまいます。

 

放出された化学伝達物質は、からだの様々な部位に悪影響を及ぼします。これが、花粉症のメカニズムなのです。

花粉症が起こる人と起こらない人がいる理由

先述のように、マスト細胞にIgE抗体が結合することで、マスト細胞が臨戦態勢になります。つまり、IgE抗体が体の中で作られなければ、アレルギーの症状が起こることはありません。

 

抗体が作られる際に、ヘルパーT細胞が関わっています。

ヘルパーT細胞は2種類あります。Th1は細菌やウイルス、腫瘍細胞に反応する細胞で、キラーT細胞やマクロファージの増殖・活性化を刺激して細胞性免疫(免疫細胞による直接攻撃)を誘導します。一方、Th2は寄生虫やアレルゲンなどに反応して増殖する細胞で、Bリンパ球の増殖と分化を刺激することによって、液性免疫(抗体を産生して外敵を攻撃)を誘導します。Th1よりもTh2が優位に働くとIgE抗体が増えるため、アレルギー疾患では、Th1/Th2バランスが重要だと言われています。

 

また、千葉大学付属病院は、「IgE抗体」を体内でつくることができるかどうかは、遺伝によって決まっていると報告しています。免疫抑制遺伝子(アレルギー抑制遺伝子)という遺伝子が、「IgE抗体が作られること」を抑える働きがあると考えられています。つまり、「免疫抑制遺伝子」を持っていない人は、「からだがIgE抗体を作ること」を抑えられません。花粉などの抗原をからだに取り入れる度に「IgE抗体」が作られて、やがて花粉症が引き起こされてしまうのです。

 

このように体内で「IgE抗体」を作り出すのを抑制できない人が、いわゆる「アレルギー体質」と呼ばれる人です。花粉症になるのは、こうした「アレルギー体質」の人なのですが、「IgE抗体」を持っていても花粉症を発症する方は30~50%で、残りの方は発症しません。その理由は未だ解明されていません。

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