SGLT2阻害薬の適正使用2016


SGLT2阻害薬の適正使用2016

SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation

血液中の糖は、腎臓の糸球体でろ過されますが、近位尿細管のSGLT2という輸送体(トランスポーター)によって身体の中に再び吸収されます。この過程を阻害し、尿と一緒に糖を身体の外にださせる薬が、​​SGLT2阻害薬です。

 

日本で最初のSGLT2阻害薬は、2014年4月17日に発売され、2016年現在は6成分7製剤が使用されています。SGLT2阻害薬は、新しい作用の糖尿病治療薬として注目されていますが、低血糖、脱水、尿路・性器感染症などの副作用が認められます。

 

実際、このような副作用や有害事象が数多く報告されました。それを踏まえ、「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」が発足し、2014年6月13日に「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」を策定し公表しました。2016年5月12日に改定があり、その内容をもとに「SGLT2阻害薬の適正使用」をまとめました。

 

低血糖と脱水の注意
インスリン製剤やSU薬等と併用する場合、薬の減量を行うなど低血糖に注意する。
脱水防止の対策を講じ、利尿薬の併用の場合には、特に注意する。
発熱・下痢・嘔吐がある場合には、SGLT2阻害薬を服用しない。
食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には、SGLT2阻害薬を服用しない。

 

副作用の注意
全身倦怠・悪心嘔吐・体重減少などを伴う場合には、ケトアシドーシスを疑い、血中ケトン体を確認する。
薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には投与を中止し、皮膚科と連携する。
尿路感染・性器感染について、適宜問診・検査を行うなど発見に努める。発見時には泌尿器科、婦人科と連携する。

 

使用患者の注意
・75歳以上の高齢者には慎重に投与する。
・65歳~74歳で老年症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)には慎重に投与する。

 

患者への教育
・患者へ低血糖の教育を十分行う。
・脱水防止について患者への説明を行う。

 

参考:SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation(2016年5月12日)

SGLT2阻害薬一覧

製品名 一般名
スーグラ イプラグリフロジン
フォシーガ ダパグリフロジン
ルセフィ ルセオグリフロジン
デベルザ、アプルウェイ トホグリフロジン
カナグル カナグリフロジン
ジャディアンス エンパグリフロジン

副作用の事例とその対策

重症低血糖を起こさないための減薬
重症低血糖は、高齢者だけでなく若年者でも注意すべきです。インスリン、SU薬、グリニド薬を使用している患者は、SGLT2阻害薬を追加すると重症低血糖を起こすおそれがあります。SGLT2阻害薬を追加する前に、薬の減量を検討する必要があります。

 

インスリン製剤との併用する場合には、インスリンを予め相当量減量するべきです。また、SU薬にSGLT2阻害薬を併用する場合、DPP-4阻害薬の場合に準じて、以下の通りSU薬の減量を検討します。

 

グリメピリド(アマリール):2mg/日以下
グリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール):1.25mg/日以下
グリクラジド(グリミクロン):40mg/日以下

 

ケトアシドーシスを発生させないための注意点
ケトアシドーシスとは、体液が酸性に傾いた状態です。吐き気や嘔吐、腹痛などの症状や脱水が起こり、ひどい時には意識障害や昏睡状態に陥ることがあります。

 

原因として、インスリンの中止、極端な糖質制限清涼飲料水多飲などがあります。血糖値が正常に近くてもケトアシドーシスの可能性があります。特に、全身倦怠・悪心嘔吐・体重減少などを伴う場合には血中ケトン体を確認する必要があります。

 

インスリン分泌能が低下している患者、栄養不良状態、飢餓状態の患者、極端な糖質制限を行っている患者、清涼飲料水をたくさん飲む患者には、より注意が必要です。

 

脱水を防ぎ脳梗塞などを防ぐ
SGLT2阻害薬の投与後に、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞が報告されています。脳梗塞は、投与後数週間以内に起こることが大部分で、脱水が原因ではないかと考えられています。

 

SGLT2阻害薬を服用すると、体の水分が体外へ排泄されます。脱水を防ぐためには、通常よりも500mL程度の水分補給を行う必要があるといわれます。脱水になると、血液が固まりやすくなり、脳梗塞など血栓・塞栓症の危険が高まります。

 

以下の患者は、脱水を起こしやすいため、より注意が必要です。
・75歳以上の高齢者
・65歳から74歳で老年症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)のある場合
・利尿剤併用患者等の体液量減少を起こしやすい患者
・発熱・下痢・嘔吐などがある時ないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)

 

シックデイでは、SGLT2阻害薬を服用してはいけません。また、脱水は「ビグアナイド薬による乳酸アシドーシスの重大な危険因子」であり、注意が必要です。「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation

 

皮膚症状
掻痒症、薬疹、発疹、皮疹、紅斑などの皮膚症状が、副作用として報告されています。重症例は多くありませんが、SGLT2阻害薬を服用後1日目〜約2週間以内に発症しているため、服用開始の時期は特に注意が必要です。皮膚症状の副作用が起こった場合、SGLT2阻害薬以外の薬剤への変更を考慮すべきです。

 

特に粘膜(眼結膜、口唇、外陰部)に皮疹(発赤、びらん)を認めた場合には、スティーブンス・ジョンソン症候群などの重症薬疹の可能性があるため、皮膚科医による診断などが重要となります。

 

尿路・性器感染症
尿路感染症(腎盂腎炎、膀胱炎など)、性器感染症(外陰部膣カンジダ症など)の報告が多くあります。女性により多く、発症時期は数日〜2ヶ月など様々です。発症した場合、泌尿器科医、婦人科医による診断などが重要となります。

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