血液中の脂肪を減らす|脂質異常症と食事とお酒

日本動脈硬化学会(佐藤靖史理事長)は、「食事で体内のコレステロール値は大きく変わらない」と声明したそうです。体内にあるコレステロールの7割前後は、体内で合成されています。食事からコレステロールをまったくとらなくても、血液の中にはコレステロールは存在します。また、食事からコレステロールをとり過ぎても、健康な人なら一定量以上は吸収されません。食事からたくさん入ってきたときにはコレステロールの合成が減り、それでも多すぎる場合は肝臓などにためる働きがあって、血液中のコレステロールは一定に保たれています。

 

食事の制限によってコレステロールが改善する人としない人がおり、「個人差が大きい」のです。つまり、高コレステロールの人が「食事の影響が少ないならコレステロールを多く含む食品を食べても大丈夫」だと安易に考えるべきではありません。

 

高コレステロールの人は、コレステロールの蓄積のシステムに乱れが生じて、蓄積しやすい状態になっています。現在、体内にあるコレステロールを減らすためにも、食事からとるコレステロール量を減らすことは、とても重要です。

 

 

【脂質異常症改善のための食事】
1.卵黄は1日1個程度に
2.乳脂肪をとりすぎない
3.即席麺やスナック類などを控える
4.チョコレートなど、甘いものは控えめに
5.肉(とくに脂身)を控える
6.揚げ物や炒め物は、植物性の油で
7.青背の魚を積極的にとる
8.食物繊維を含む食品をとる
9.中性脂肪が高い人は、砂糖や果物などの糖質と、お酒を減らす。

 

食品中のコレステロールというと、コレステロールを多く含む食品ばかりを気にしがちですが、体内のコレステロールを増やしやすい食品もあるので、それを避けることはとても大切です。血中のコレステロールを増やす食品として明らかになっているのが、飽和脂肪酸です。逆に、体内のコレステロール値を下げる働きをするのは、不飽和脂肪酸を多く含む食品です。

 

 

コレステロール値を上げる食品、多く含む食品、下げる食品は上の図の通りです。上げる食品は少量でも体内のコレステロールを増やしやすいので注意が必要ですし、下げる食品は積極的にとることをおすすめしますが、油や果物はとりすぎに注意してください。

 

ポテトチップスは食品としては全くコレステロールを含んでいませんし、チョコレートや即席麺に含まれるコレステロールもわずかですが、体内でコレステロールを増やす働きがあります。

 

 

【お酒と脂質異常症】

お酒類は、少しの量を飲んでいる分には、HDL(善玉)コレステロールを増やす効果があります。なかなか適量でというのは難しいですので、購入の際に気をつけるなどの注意が必要です。適量を超えるとさまざまな悪影響が出てきます。エネルギーをとりすぎて肥満の原因になりやすいし、長い間飲んでいると高血圧になるリスクも高まります。脂質異常症との関わりでは、アルコールは中性脂肪を増加させることがわかっていますので、中性脂肪が高い人は禁酒です。中性脂肪が高くないタイプの脂質異常症の人も節酒を心がけ、飲む量は1日に、日本酒にして1合(ビ-ル…中びん1本、ウイスキ-…ダブルで1杯、赤ワイン…グラス2杯)程度とし、会話や食事を楽しむ潤滑油にとどめたいですね。
また、毎日飲むと肝臓に負担がかかるので、週に2日、できれば連続して休肝日をもうけましょう。

 

 

脂質異常症の原因になるコレステロールや中性脂肪は単に少なくしたら良いというわけではありません。多過ぎることは問題ですが、コレステロールや中性脂肪はとても大事な物質です。コレステロールは細胞や細胞膜の重要な成分であり、ホルモンや胆汁酸などの材料にもなっています。

 

もちろん、食事を気をつけることは大切です。しかし、極端に食事量を減らそうとしても、長続きしません。バランスよく、自分のペースで続けることが、とても大切です。

関連ページ



Sponsored Link
Sponsored Link