細菌性食中毒予防のポイント

食中毒は、下痢や腹痛が主な症状であり、年間約2,000件発生しているといわれます。その約70~90%が細菌の食中毒であり、その特徴は大まかに以下の3つに分類できます。

 

食品の中で細菌が毒素を産生し、食中毒をおこす(毒素型):黄色ブドウ球菌など
からだの中で細菌が増えて、食中毒をおこす(感染型):カンピロバクターなど
からだの中で毒素をつくり、食中毒をおこす(生体内毒素型):ウェルシュ菌、病原性大腸菌など

 

食品をよく洗うことや、冷蔵などの衛生管理、十分な加熱が予防のポイントです。

 

治療
自然治癒する疾患であり、通常は数日で軽快します。最も重要なのは、「脱水の改善」と「電解質の補正」であり、水分やスポーツドリンク、経口補水液の補給を心がけましょう。

 

下痢止めの薬は、治癒までの期間が長引いてしまうため、一般的には使用しません。
抗菌薬(抗生物質)は、感染型で中等度以上の症状の場合には適応を考慮して使用されます。また、カンンピロバクターにはマクロライド系抗菌薬が有効とされています。

 

生活習慣でのポイント

  • 水分や電解質を補給する
  • 香辛料のような刺激物は避ける
  • 止瀉薬は原則使わない
  • トイレの後は流水と石けんで必ず手を洗う(感染拡大の防止)
  • 可能であれば少しずつでも食事をとると腸管の回復が早まる

 

原因細菌としてはカンンピロバクターが多い
平成24年から26年までの3年間の発生件数をみるとカンンピロバクターが最も多く、初夏から初秋にかけて感染が多発しています。

 

主な原因菌と特徴

原因微生物 原因となる主な食品 特徴 予防対策のポイント
腸管出血性大腸菌(O157、O26、O111など)

牛肉料理(レバー刺し、タタキ、ハンバーグ、角切りステーキなど)
生野菜、漬物、日本そば、井戸水

熱と消毒に弱い
毒素を産生する
O157は室温でも15〜20分で2倍に増殖

調理の際、十分に加熱する
75℃、1分以上
食肉は生での摂取を避ける
フキン、まな板、スポンジは消毒

カンピロバクター 食肉(特に鶏肉)、飲料水

熱と乾燥に弱い
少ない菌量でも発症
鶏や豚の腸管内に生息

食肉と他の食品との接触を防ぐ
調理の際、十分に加熱する
65℃以上数分

ウェルシュ菌 煮込み料理(カレー、煮魚、麺のつけ汁、野菜の煮付けなど)

腸管内で増殖(嫌気性菌)し、芽胞を形成
芽胞は100年、1〜6時間の加熱に耐える
嘔吐や発熱は稀で、ほとんど24時間程度で軽快

調理後、速やかに食べる
保存温度に注意する
10℃以下、55℃以上を目安に

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