学校薬剤師とは

学校薬剤師とは、学校環境衛生の維持・改善を目的として、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・高等専門学校・盲学校・聾(ろう)学校・養護学校に至るまで、大学を除く国立・公立・私立の学校すべてに委任委嘱されています。

 

学校環境衛生とは、健康的で快適な学校環境を目指すための環境衛生活動をいい、
・児童生徒の生命を守り、心身の発育発達を促し、健康の増進を図ること。
・児童生徒の学習能率の向上を図ること。
・児童生徒の豊かな情操の陶冶を図ること。
を目的として進められなければなりません。

 

学校保健安全法第23条では、大学以外の学校には学校薬剤師を置き、保健管理に関する専門的な事項に関して、技術および指導に従事することが定められています。

 

薬剤師が「薬学」を中心とした「専門的な知識」を発揮させ、法律に基づき活動します。児童生徒が心身ともに健康的に過ごすことができる「快適な学校環境」を目指す活動です。学校における保健・安全管理について実践および指導、助言を行います。

 

平成21年(2009年)4月1日から「学校保健安全法」が新たに施行され、文部科学大臣自らが「学校環境衛生基準」を定めるものとされるなど、学校薬剤師の職務内容について法的位置づけが明確となりました。

学校薬剤師の職務内容

学校保健計画学校安全計画の立案に参画します。「学校保健計画」とは、健康診断、環境衛生検査など心身の健康の保持増進を図るための計画です。「安全計画」とは、学校設備の安全点検、通学を含めた学校生活、日常生活における安全に関する指導など安全の確保を図るための計画です。

 

さらに、心身の健康に関する健康相談や保健指導に従事します。例えば、青少年による喫煙・シンナー・大麻・覚せい剤などの「薬物事犯」を未然に防ぐ薬物乱用防止活動。健全なスポーツ育成のためのドーピング防止啓発活動などです。

 

また、学校において使用する薬品(医薬品、毒物、劇物など)に関して、その危険性や適正な取扱い、管理方法などの指導や助言を行います。必要に応じて、試験や検査も行います。

 

さらに、環境衛生検査に従事し、その維持および改善に関して指導や助言を行います。以下、代表的な検査の項目とその目的を紹介します。

 

環境衛生検査の項目 検査の目的
採光及び照明の検査 適度な明るさの下で、文字や教科書などを見やすいと感じるため
騒音の検査 声が聞き取りやすく、好ましい学習環境を確保するため
ネズミ、衛生害虫等の検査 様々な疾病を媒介するほか、児童生徒に不快感を与えることで学習の低下を招くため
ダニ、アレルゲンの検査 微生物や化学物質による汚染を避け、清潔な状態を維持するため
揮発性有機化合物の検査 ホルムアルデヒド、トルエンなどを測定し、健康面に悪影響を与えないため
ふき取り検査 食中毒防止
水質検査 飲料水、プールの水質等が安全であるか確認するため

 

くすり教育と薬剤師
文部科学省は2008年3月28日、新たな学習指導要領を公示しました。目標として、「個人生活における健康・安全に関する理解を通して、生涯を通じて自らの健康を適切に管理し、改善していく資質や能力を育てる」を掲げています。

 

「健康の保持増進や疾病の予防には、保健・医療機関を有効に利用することがあること。また、医薬品は正しく使用すること」が盛り込まれています。この背景には、コンビニやインターネットなど、一般用医薬品が手軽に入手できるようになったことがあります。

 

 

【役立つリンク】
薬剤師向け:京都府学校薬剤師会 新人研修マニュアル 外部サイトへリンク



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