学校薬剤師の水質検査

学校薬剤師とは、学校環境衛生の維持・改善を目的として、大学を除く国立・公立・私立の学校すべてに委任委嘱されています。薬剤師が「薬学」を中心とした「専門的な知識」を発揮させ、法律に基づき活動します。水質検査は、水道水やプール水の検査があり、健康被害や不快感から児童生徒を守るために行います。

 

人体は、その70%が水であります。学校での水は、飲料水として、給食設備、手洗いの水として、児童生徒に毎日供給されています。直接体に入るという点から、水質悪化はすぐさま健康被害となるため、その安全性は厳しく検査されています。

プールの水質検査

夏場は、ほとんどの学校でプールが使用されています。プールの水質が不良だと、児童生徒の健康被害がおこる可能性があります。安全にプールを使用するために、水質や設備など様々な検査・点検を行っています。

 

 

【プールの水質検査】

検査項目 基準値
遊離残留塩素 0.4mg/L以上であること、1.0mg/L以下が望ましい
pH値(水素イオン濃度) 5.8~8.6
大腸菌 検出されないこと
一般細菌 1mL中200コロニー以下
有機物等 過マンガン酸カリウム消費量 12mg/L以下
濁度 2度以下。水中で3m離れた位置からプールの壁が明確に見える程度。
総トリハロメタン 0.2mg/L以下が望ましい
循環ろ過装置出口の濁度 0.5度以下であること、0.1度以下が望ましい(循環ろ過装置の処理水)

 

遊離残留塩素:0.4mg/L以上が細菌の増殖を防ぐことができる濃度です。高濃度になると目への刺激が考えられることから1.0mg/L以下が望ましいといわれます。

 

大腸菌が検出された場合は、塩素消毒を強化(0.4mg/L以上、1.0mg/L以下)します。再検査などを行い、大腸菌が検出されないことを確認するまでプールの使用は認められません。

 

 

【プール(施設・設備の衛生状態)】

プール本体の衛生状況等 定期的に全換水すること、清掃を行っていること。
浄化設備及びその管理状況 ろ材の種類、ろ過装置の容量及びその運転時間が、プールの容積及び利用者数に比して十分であり、その管理が確実に行われていること。浄化槽が正常に稼動しているかは、濁度を参考にする。
消毒設備及びその管理状況 塩素剤の種類は、次亜塩素酸ナトリウム液、次亜塩素酸カルシウム又は塩素化イソシアヌル酸のいずれかであること。塩素剤の連続注入機の管理が確実に行われていること。

 

 

【屋内プール】

検査項目 基準値
二酸化炭素 1,500ppm以下が望ましい
塩素ガス 0.5ppm以下が望ましい
水平面照度 200lx以上が望ましい

飲料水の水質検査

【飲料水の検査】

検査項目 基準値
遊離残留塩素 0.1mg/L以上
pH値(水素イオン濃度) 5.8~8.6
大腸菌 検出されないこと
一般細菌 1mL中100コロニー以下
有機物等 3mg/L以下
濁度 2度以下
色度 5度以下
味、臭気 異常でないこと

 

上記以外にも、「硝酸態窒素および亜硝酸態窒素」が10mg/L以下、「鉄およびその化合物」が0.3mg/L(鉄量として)という基準値がありますが、省略が可能です。

雑用水の水質検査

雑用水とは、飲用や浴用以外の目的で供給される水であり、雨水などが利用されます。散水、栽培用水、水洗トイレなどに使用されます。

 

 

【雑用水の水質検査】

検査項目 基準値
遊離残留塩素 0.1mg/L以上(日常的に測定を行う)
pH値(水素イオン濃度) 5.8~8.6
大腸菌 検出されないこと
臭気 異常でないこと
外観 ほとんど無色透明であること

 

 

【雑用水(施設・設備)】
・水管には、雨水等雑用水であることを表示していること。
・水栓を設ける場合は、誤飲防止の構造が維持され、飲用不可である旨を表示していること。
・飲料水による補給を行う場合は、逆流防止の構造が維持されていること。
・貯水槽は、破損等により外部からの汚染を受けず、その内部は清潔であること。
・水管は、漏水等の異常が認められないこと。
・雑用水の誤飲、誤使用のおそれがある場合は、速やかに適切な措置を講ずる。
・雑用水が飲料水に混入したり、その疑いがある場合は、飲料水の給水停止等の措置とる。
・雑用水貯水槽の内部に著しい汚れがある場合は、清掃を行う。



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