学校薬剤師の照度検査

学校薬剤師とは、学校環境衛生の維持・改善を目的として、大学を除く国立・公立・私立の学校すべてに委任委嘱されています。薬剤師が「薬学」を中心とした「専門的な知識」を発揮させ、法律に基づき活動します。照度検査は、目の疲労を抑制し、学習能率の低下を防ぐために行います。

 

人は五感により多くの情報を収集しており、視覚による情報収集87%と非常に高いのです。児童生徒は授業中に、黒板を見たり、机の上のノートを見たりすることを繰り返しています。よって、「適切な明るさ」の確保と、「まぶしさのない」状態の維持は非常に大切です。

 

照度:物にあたる光の強さ
輝度:物の面から目の方向へ反射する光の強さ

「適切な明るさ」の確保
照度の検査は、黒板9か所、机上9か所を「デジタル照度計」を用いて測定します。照度測定時、照度計は黒板面、机上面、コンピューター画面、TV面に背面をつけて測定します。測定場所は、教室、黒板、テレビ・ディスプレー画面、コンピュータ室、体育館、校庭、オープンスペース、廊下などです。

 

判定基準

場所 明るさ(lx:ルクス)
教室および黒板 300lx以上であること(500lx以上が望ましい)
コンピュータ教室 500~1000lx程度が望ましい
テレビやコンピュータ等の画面 垂直面照度100~500lx程度が望ましい(照度計を立てて測る)

「教室及び黒板の最大照度と最小照度の比は10:1を越えないこととし、やむをえず越えた場合でも20:1を越えないこと」と、されています。

 

照度測定前に確認すべきこと
・光源の形式および大きさ、必要に応じ、初点灯以来の点灯延べ時間
・照明器具の状態、点灯の状態
・カーテンの有無などの環境条件
カーテンの有無に関して、明確な測定基準はありません。つまり、どちらかの条件で測定すれば良いようですが、両条件(カーテン有無)のもと測定できるとより適切な検査になると思われます。

 

照度測定時の注意事項
・測定開始前、原則として電球は5分間、放電灯は30分間点灯しておく
・光電電圧を測定する場合は、なるべく照明器具に近い位置で測定する
・測定者の影や服装による反射が、測定に影響を与えないようにする
・白い服装は照度が実際より高くなるため、黒っぽい服装で測定する
・腕を伸ばし、からだと照度計の受光部とを話すようにして、反射光の影響を防ぐ
・児童生徒の机の高さ、机がない場合は床上75cmの水平照度を測定する
・床上で学習する場合は15~40cmの位置、廊下や屋外は床面~15cm以内で測定する
・多くの点の照度測定を行う場合、特定の測定点を定め、一定の測定時間間隔ごとに特定の測定点の照度測定を行うなどして、測定中の光源の出力変動などを把握する
・日照時間、季節、天候、気象、周囲の建造物等の影響を考慮する
・直射日光のような高照度を、照度計の受光部に当てない
・照度計の受光面の位置および方向の設定を正確にする
・照度が不足する場合は、照明器具の清掃を行い、清掃後も照度が不足する場合は増灯する。
・暗くなった光源や消えた光源は、直ちに取り替える。

 

「まぶしさのない」状態の維持
・児童生徒からみて黒板外側15°以内に、輝きの強い光源(昼光の場合は窓)がないこと。
・黒板面および机上面に、見え方を妨害するような光沢がないこと。
・テレビおよびコンピュータ等の画面に、電灯や明るい窓等が画面に映じていないこと。

 

上記に加え、季節、天候、気象、周囲の建造物等の影響を考慮し「まぶしさのない状態」を維持します。直射日光が入る窓は、適切な方法によってこれを防ぐように対処します。

 

[PDF]学校環境衛生検査表(照度検査:教室) 外部サイトへリンク
[PDF]学校環境衛生検査表(照度検査:コンピュータ室) 外部サイトへリンク



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