市販薬を安全に購入する方法

薬局で薬を購入前に
近年、体調が悪くなった際、薬を求めて薬局を利用するケースが増えています。このとき、薬剤師は、来局した生活者の状況を評価し、次の3パターンで対応します。

市販薬を販売する
医療機関への受診を勧める
生活指導のみで薬は販売しない(養生法を含む)

 

以下の内容は、①における「市販薬を安全に購入するための秘訣」をご紹介します。不必要な副作用や有害事象から、自分自身や大切な人を守るために重要な内容です。

 

薬局で購入できる市販薬とその定義
薬局では、市販薬として要指導医薬品、一般用医薬品、薬局製剤の取り扱いが可能です。

医薬品区分 定義
要指導医薬品 その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであって、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているものであり、かつ、その適正な使用のために薬剤師の対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われることが必要なもの。
第1類医薬品(一般用医薬品) その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうち、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの及びその製造販売の承認の申請に際して薬事・食品衛生審議会の意見を聴いた医薬品であって、承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
第2類医薬品(一般用医薬品)※ その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(第1類医薬品を除く)であって、厚生労働大臣が指定するもの
第3類医薬品(一般用医薬品) 第1類医薬品及び第2類医薬品以外の一般用医薬品
薬局製剤(薬局製造販売医薬品) 薬局開設者が当該薬局における設備及び器具をもって製造し、当該薬局において直接消費者に販売し、または授与する医薬品であって、厚生労働大臣の指定する有効成分以外の有効成分を含有しないもの

※)第2類医薬品のうち、特に注意を要する成分を含む医薬品を「指定第2類医薬品」として厚生労働大臣が指定し、表示、陳列において、他の第2類医薬品と取り扱いが異なっている(医薬品医療機器法施行規則第1条第3項第5号)。

 

簡単にまとめますと、要指導医薬品や薬局製剤は最も効果が高く、副作用などに注意が必要です。その次に、第1類医薬品、第2類、第3類へと、効果やリスクが低下していきます。しかしながら、第3類だからといって、安易に使用するべきではありません。

 

 

薬剤師が薬の情報提供を行うために「患者(生活者)から収集すべき情報」
要指導医薬品や第1類医薬品の情報提供を行うにあたり、下記の情報収集が義務づけられています(医薬品医療機器等法)。また、第2類医薬品や第3類医薬品での情報収集は、努力義務とされています。医薬品を安全に使っていただくため必要な情報ですので、薬剤師に伝えましょう。

 

① 年齢
② 他の薬剤などの使用状況
③ 性別
④ 症状
⑤ 症状に関して医師の診断の有無、その内容
⑥ 現にかかっている他の疾病、その病名
⑦ 妊娠の有無、妊娠週数
⑧ 授乳の有無
⑨ 当該医薬品の購入、使用経験の有無
⑩ 医薬品の副作用歴

 

 

医薬品の区分ごとに行われる情報提供
■要指導医薬品(情報提供:薬剤師のみ)
① 薬剤師自らが書面を用いて情報提供を行う。
② その適正な使用のために薬剤師の対面による情報の提供および薬学的知見に基づく指導を行う。
③ 上記の活動は、情報提供を行う場所において対面で行う。
④ 上記②の際、適正使用を確認するために必要な質問または説明を行う。
⑤ 提供しなければならない情報は、「名称」、「成分・分量」、「用法・用量」、「効能・効果」、「使用上の注意のうち、保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項」、「その他薬剤師が必要と判断する事項」である。
⑥ 副作用等が発生した場合の対応について説明する。
⑦ 情報の提供および指導の内容を理解したこと、質問の有無について確認する。
⑧ 必要に応じて、当該要指導医薬品に代えて他の医薬品の使用を勧める。
⑨ 必要に応じて、医師の診断を受けることを勧めさせる。
⑩ 当該情報の提供および指導を行った薬剤師の氏名を伝える。
大規模災害などの正当な理由(※)がない限り、使用者本人にしか販売できません。また、原則一人につき1包装単位など、必要最低数量しか販売できません。※薬食発 0318 第6号平成26年3月18 日

 

 

■第1類医薬品(情報提供:薬剤師のみ)
① 薬剤師自らが書面を用いて情報提供を行う。
② 情報提供を行う場所において行う。
③ 情報提供に当たっては、適正使用を確認するために必要な質問または説明を行う。
④ 提供しなければならない情報は、「名称」、「成分・分量」、「用法・用量」、「効能・効果」、「使用上の注意のうち、保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項」、「その他薬剤師が必要と判断する事項」である。
⑤ 副作用等が発生した場合の対応について説明する。
⑥ 情報の提供および指導の内容を理解したこと、質問の有無について確認する。
⑦ 必要に応じて、医師の診断を受けることを勧めさせる。
⑧ 当該情報の提供および指導を行った薬剤師の氏名を伝える。
⑨ 購入者から情報提供の必要がないとの意思表示があり、薬剤師が情報提供を不要と判断した場合は、薬剤師による情報提供の義務は課せられないこととなる。しかし、薬剤師が必要と判断した場合には情報提供を行う必要がある。

 

■第2類医薬品
① 薬剤師または登録販売者が情報提供を行うように努力する。
② 情報提供を行う場所において行う。
③ 情報提供に当たっては、適正使用を確認するために必要な質問または説明を行う。
④ 提供すべき情報は、第1類医薬品と同様である。

 

■第3類医薬品
① 販売に際して、薬剤師又は登録販売者が情報提供を行う事は求められていないが、医薬品であることに留意し、薬剤師もしくは登録販売者の判断に基づいて、必要な情報の提供を行う事は適切な行為である。
② また、需要者もしくは購入のため来店した者から情報提供が求められたならば、努めて情報提供を行う場所において対面で行う事が望ましい。
③ 情報提供に当たっては、適正使用を確認するために必要な質問または説明を行う。
④ 提供する情報の項目は、第1類医薬品と同様である。

 

 

情報提供を行う場所
薬局、店舗販売業の店舗では、情報提供を行う場所(情報提供場所)を設置する必要がある。
① 要指導医薬品または第1類医薬品を陳列する場合は、要指導医薬品、第1類医薬品の陳列区画の内部または近接する場所に設置すること。
② 指定第2類医薬品を購入者が手に触れる場所に陳列する場合は、陳列設備から7m以内の場所に設置すること。ただし、指定第2類医薬品をかぎのかけた陳列設備に陳列する場合または指定第2類医薬品を陳列する陳列設備から 1.2m以内の範囲に購入者が侵入できないような措置が取られている場合は、この限りではない。
③ 複数階に医薬品を陳列・交付する場所がある場合は、各階の医薬品を通常陳列し、又は交付する場所の内部に設置しなければならない。

 

 

市販薬の販売には厳しい規制がある
医薬品販売制度に係る全面改正に基づく医薬品販売制度では、情報提供という行為と販売という行為を明確に区分している。情報提供は必ず薬剤師等の専門家が行わなければならない行為とされ、医薬品という「物」の機械的な手渡し行為は、専門家が自ら行うのならず、専門家の管理・指導の下での一般従事者も行うことができる行為とされた。

 

ア)要指導医薬品および第1類医薬品の販売は、薬剤師が直接または薬剤師の管理・指導下で従事者が行う。
イ)第2類医薬品および第3類医薬品の販売は、薬剤師または登録販売者が直接もしくはその管理・指導下で従事者が行う。

 

なお、乱用などの恐れのある医薬品については、区分に応じて薬剤師もしくは登録販売者が、購入者の氏名・年齢、購入状況等を確認し、必要と認められる数量に限って販売(原則、一人 1 包装単位)することとされている。
・エフェドリン
・コデイン
・ジヒドロコデイン
・ブロムワレリル尿素
・プソイドエフェドリン
・メチルエフェドリン

 

 

命を守るために、適切に市販薬を購入しましょう
市販薬には、以上のような厳しい規則があります。この規則は、購入者にとって面倒かもしれませんし、覚えることは困難です。しかし、医薬品にはさまざまな副作用があります。市販薬を不適切に使用すると、命にかかわる場合もあります。上記のルールが守れない薬局やドラッグストアには行くべきではありません。

 

市販薬を安全・安全に使用するためには、「かかりつけの薬局や薬剤師」に相談することも大切です。

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