市民のための添付文書の読み方(応用編)


市民のための添付文書の読み方(応用編)

市民のための添付文書の読み方(応用編)

添付文書(医療用医薬品添付文書情報)の読み方の応用について解説いたします。このページでは、薬剤師がどのように医薬品を視ているのかという「薬剤師の視点」も併せてお伝えいたします。先に、市民のための添付文書の読み方(基礎知識)市民のための添付文書の読み方(項目別解説)をご覧いただくことで、添付文書の読み方の概要を理解することができます。

「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」

一般的に、妊娠4週に入れば、薬による死産や流産を免れるとされています。妊娠4週から7週末までは、薬による奇形(催奇形性)に、最も注意が必要です。しかし、添付文書には、記載する文言が決まっており、詳細な情報は書いておりません。つまり、添付文書はほとんど役に立ちません。私は、医師の意見や専門書、以下のサイトの情報を参考に、薬を飲むべきか飲むべきでないのか、他に使える薬はないのかなどを総合的に考えます。知識だけでなく、経験も必要であるため、非常に難しい問題です。

妊娠

おくすり110番 (外部サイト)

授乳

授乳と薬 | 妊娠と薬情報センター - 国立成育医療研究センター (外部サイト)

「小児等(低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児)への投与」

臨床データが不十分な場合、「小児に対する安全性は確立されていない」という文言が記載されます。しかし、この文言は「小児に使ってはいけない」というものではありません。実際には、多くの医薬品が小児に対して使われています。安全性が確立されてないという文言を恐れ、薬を中止してしまうと予期せぬ健康被害が起こる危険もあるため、注意が必要です。

 

参考:小児等に用いている年齢区分(おおよその目安)
小児: 15歳未満
幼児: 7歳未満
乳児: 1歳未満
新生児: 出生後4週間未満 低出生体重児:体重2500g未満
(WHOのレコメンデーションによる)

「高齢者への投与」

高齢者とは、一般的に65歳以上の方をさします。高齢者は、肝臓や腎臓など体の代謝機能が低下しているといわれます。また、脂肪の量や筋肉量の関係から、「薬の効果の個人差」が非常に大きくなります。体の中に薬が残りやすくなり「薬の作用過剰」による副作用が起こる危険は高いです。
特に、睡眠薬や安定剤などの中枢神経系に作用する薬は、効きやすく副作用が出やすい傾向にあります。

 

しかし、ただ単純に薬を減らしてしまうと、薬の効果が得られず、薬を飲む意味がありません。そこで、医師や薬剤師は、肝臓や腎臓の機能の検査結果(血液検査)から、どれくらい機能が落ちているのかを判断します。さらに、薬の特性を考慮して、薬の量を調整(決定)します。薬の特性とは、薬が肝臓で代謝を受けた後に尿や便として排泄されるのか、そのまま腎臓から排泄されるのかという性質です。これらの性質は薬によって決まっているのです。

 

つまり、高齢者が薬を使用する際は、腎臓などの臓器の機能や薬の特性を考えた上で、薬を使用するべきです。そして、薬の効き過ぎによる副作用にも注意が必要です。

「薬物動態」

縦軸に「血中濃度」、横軸に「時間」を表すグラフがあります。血中濃度は、薬がどれくらい体の中に吸収されたか、そして「どれくらい薬が効いているのか」を示す指標と考えることができます。

 

一般的に、血中濃度が高すぎると副作用が起こる可能性があり、低すぎると薬の効果が出ない可能性があります。しかし、「血中濃度が低くても薬の効果は持続する」という特性の医薬品も多いため、血中濃度で全てを語れるわけではありません。

 

この項目の中では、 t1/2(半減期)を知ると得するかもしれません。 t1/2(半減期)とは、薬の効果が半分になるためにかかる「時間」をさします。この t1/2(半減期)の、4~5倍の時間が経つと「体の中から薬が消失」します。例えば、 ロキソニン錠はt1/2(半減期)が約1.3時間であるため、1.3×5=6.5(hr)
つまり、6時間半たてばロキソニン錠は体の中からいなくなるという計算ができます。 t1/2(半減期)は、薬の効果が切れる時間の目安として使えるかもしれません。

 

薬物動態は、薬剤師の得意分野であり、話し出すと1日では終わりません。
詳細を知りたい方は、役に立つ薬の情報~専門薬学 (外部サイト)をご覧ください。

「薬効薬理」

科学的で正確な情報を提供するための項目です。様々な実験の結果が書かれており、医薬品にどのような効果が期待できるかという情報を知ることができます。しかし、情報の中には動物実験での結果が書かれている場合も多く、動物実験で効果があるからといって人に効果があるとは限らないことに注意が必要です。

おまけ

貯法
室温は1~30℃、冷所は、 別に規定するもののほか、1~15℃の場所と規定されています。(日本薬局方)
中には、「凍結を避け、2~8℃に遮光して保存する」など、特別な温度が記載される場合もあります。冷蔵庫の冷気吹き出し口は、0度以下になる場合があり注意が必要です。

 

有効期限・使用期限等

密閉容器

通常の取扱い、運搬又は保存状態において、固形の異物が混入することを防ぎ、内容医薬品の損失を防ぐことができる容器をいう。
密閉容器の規定がある場合には、気密容器を用いることができる。

気密容器

通常の取扱い、運搬又は保存状態において、固形又は液状の異物が侵入せず、内容医薬品の損失、風解、潮解又は蒸発を防ぐことができる容器をいう。
気密容器の規定がある場合には、密封容器を用いることができる。

密封容器 通常の取扱い、運搬又は保存状態において、気体の侵入しない容器をいう。

 

ちなみに、添付文書だけでは医薬品の情報を完全に補うことはできません。むしろ情報が少なすぎます。
薬剤師は、医薬品インタビューフォーム、新医薬品の使用上の注意の解説、新薬の承認に関する情報などの補完資料や、日々の研修会専門書籍で知識を補充しています。

 

また、添付文書の情報は医療の進歩と共に変化します。医薬品医療機器総合機構からほぼ毎月出ているDSU(医薬品安全対策情報)などを用いて、「情報の更新」を常に意識しなければなりません。

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