添付文書

添付文書(医療用医薬品添付文書情報)は、医薬品の効能や副作用などの情報が書かれた文書です。医薬品情報を医師・歯科医師・薬剤師に対して提供するために、製薬会社が作成することを義務付けられている公的文書でもあります。

 

製造物責任法(PL法)によると、添付文書に記載されている情報を遵守せず、患者さんに有害事象が起こった場合、医療従事者に責任が問われます。しかし、医療は曖昧な部分が多く、添付文書だけでは解決しない問題も多くあります。

 

最新の添付文書は医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトで誰でも検索・閲覧することができます。しかし、内容は医療者向けの情報であり、安易な判断は健康被害をひきおこしかねません。その点を理解した上で、以下の内容をご覧下さい。

 

添付文書の記載項目

項目 詳細
(1) 作成又は改訂年月 最新の添付文書であるかを確認することが大切。
(2) 日本標準商品分類番号等

・日本標準商品分類番号(87 の後の番号が薬効分類)
・承認番号
・薬価基準収載年月
・販売開始年月
・再審査結果の公表年月
・再評価結果の公表年月
・効能又は効果追加承認年月
・国際誕生年月
・貯法等(貯法、有効期限、使用期限等)

(3) 薬効分類名 医薬品の効果の分類が記載される。
(4) 規制区分 毒薬、劇薬、麻薬、向精神薬、覚せい剤、覚せい剤原料、習慣性医薬品、指定医薬品および要指示医薬品の区分を示している。
(5) 名称 承認を受けた販売名、一般的名称などが記載される。
(6) 警告

もっとも留意しないといけない内容であり、本文冒頭に記載される。
赤枠内に赤字で記載
※重要な項目である「警告」「禁忌」については、製品情報概要などの目立つ部分に明瞭に記載

(7) 禁忌

警告に続けて記載し、警告がない場合は本文冒頭に記載される。
赤枠内に黒字で記載
① 禁忌
② 原則禁忌

(8) 組成・性状

有効成分の名称およびその分量、医薬品添加物。識別上に必要な色、味、におい、形状、識別コードなどが記載される。
① 組成
② 製剤の性状

(9) 効能又は効果

承認を受けた効能または効果が記載される。
① 効能又は効果
② 効能又は効果に関連する使用上の注意事項

(10) 用法及び用量

承認を受けた用法および用量が記載される。
① 用法及び用量
② 用法及び用量に関連する使用上の注意事項

(11) 使用上の注意 「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「相互作用(併用禁忌、併用注意)」、「副作用(重大な副作用、その他の副作用)」、「高齢者への投与」、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」、「小児等への投与」、「臨床 検査結果に及ぼす影響」、「過量投与」、「適用上の注意」、「その他の注意」
(12) 薬物動態 ヒトでの吸収、分布、代謝および排泄に関するデータが記載される。
(13) 臨床成績 精密かつ客観的に行われた臨床試験の結果が記載される。
(14) 薬効薬理 効能または効果を裏付ける薬理作用および作用機序が記載される。
(15) 有効成分に関する理化学的知見 一般的名称、化学名、分子式、化学構造式等が記載される。
(16) 取扱い上の注意 取り扱い上の注意事項があればそれが記載される。
(17) 承認条件 承認条件が付された場合に記載される。
(18) 包装 包装単位が記載される。
(19) 主要文献及び文献請求先 臨床成績の記載(比較試験成績、副作用など)の裏付けとなる文献を優先的に記載される。
(20)製造販売業者の氏名又は名称及び住所 製造販売業者の氏名または名称、住所および電話番号が記載される。

 

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」の添付文書に関する記載は以下のとおりです。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
第五十二条  医薬品は、これに添付する文書又はその容器若しくは被包(以下この条において「添付文書等」という。)に、当該医薬品に関する最新の論文その他により得られた知見に基づき、次に掲げる事項(次項及び次条において「添付文書等記載事項」という。)が記載されていなければならない。ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。

 

一  用法、用量その他使用及び取扱い上の必要な注意
二  日本薬局方に収められている医薬品にあつては、日本薬局方において添付文書等に記載するように定められた事項
三  第四十一条第三項(※1)の規定によりその基準が定められた体外診断用医薬品にあつては、その基準において添付文書等に記載するように定められた事項
四  第四十二条第一項(※2)の規定によりその基準が定められた医薬品にあつては、その基準において添付文書等に記載するように定められた事項
五  前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

 

第四十一条第三項(※1)  厚生労働大臣は、医療機器、再生医療等製品又は体外診断用医薬品の性状、品質及び性能の適正を図るため、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、必要な基準を設けることができる。

 

第四十二条(※2)  厚生労働大臣は、保健衛生上特別の注意を要する医薬品又は再生医療等製品につき、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その製法、性状、品質、貯法等に関し、必要な基準を設けることができる。

インタビューフォーム

インタビューフォームとは、日本病院薬剤師会が、作成・配布を製薬会社に依頼したことにより発行されるようになった「医薬品の解説書」です。公文書ではないため、医薬品への添付はされません。

 

添付文書に記載されていない、原薬(薬の有効成分)の安定性や他剤との配合変化(混ぜた時の安定性)などの情報が記載されています。当初、病院薬剤師が製薬会社にインタビューをしながら内容を充実させたことが名称の由来といわれます。

 

インタビューフォームに記載される項目添付文書にはない情報)
薬剤師が錠剤を粉砕する際には、原薬の安定性に関する情報が必要です。また、血中濃度を解析する際には、からだの中での薬の広がり具合(分布容積)や薬の代謝など(クリアランス)の情報が必要です。

 

このような情報は添付文書には書かれていませんので、インタビューフォームを活用しています。

  • 粉砕の可否
  • 製剤の各種条件下(温度・湿度・光)における安定性
  • 他の薬と混ぜたときの配合変化
  • からだの中での「薬の広がり具合(分布容積)や代謝など」
  • 血液透析による薬の除去率など

まとめ

一般の方は、偏った情報を得てしまう可能性もあるため、添付文書をみることはおすすめではありません。どうしてもみたい方は、こちらを先にお読みください。

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