社会保障と税の一体改革

 高齢化、少子化がもの凄いスピードで進み、日本の医療、年金、福祉、少子化対策に要する社会保障費は急激に増加しています。このため、今後の超高齢社会において「国民皆保険制度」や「国民皆年金制度」などを守ってゆくために社会保障制度の改革が急がれています。

 

 そして、社会保障費は、2025年(平成37年)には、150兆円近くになるものと試算され、また、厚労省の直近の調査によれば、平成25年度医療費は39兆円、そのうち調剤報酬は7兆円を占めます。

 

 社会保障の充実と安定化、そのための安定財源の確保等を目的に、政府は平成24年2月「社会保障・税一体改革大網」を閣議決定し、消費税率を5%から8%、更に10%に引き上げることを含む、社会保障改革推進法等の関連法案が国会に提出され、平成24年8月に成立しました。そして、平成26年4月、消費税が8%に引き上げられると同時に診療報酬・調剤報酬が改定され、調剤報酬は消費税引き上げ対応分を含めて+0.22の改定となりました。

 

 一方、同年6月には地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療介護総合確保推進法)が制定され、地域包括ケアシステムの構築、地域医療構想の策定等とともに、消費税増収分を活用した新たな基金を都道府県に設置すること、医療と介護の連帯を強化するための方針を策定することなどが決まりました。

 

 新たな基金は、平成26年度には公費ベースで904億円、平成27年度も医療分として同額の904億円が、加えて介護分として724億円が予算化されています。平成26年度における都道府県の基金事業のうち、薬局・薬剤師関係の事業を見ると、薬剤師確保推進事業、在宅医療への薬局・薬剤師参画推進事業、女性薬剤師の社会復帰支援事業、終末期医療用麻薬円滑供給体制整備事業等が実施されています。

 

 薬剤師会が目的としている、「かかりつけ薬局・薬剤師を中心とした面分業」という仕組みによる在宅医療への参画という点では、未だ十分に機能しているとはいえません。しかし、中央社会保険医療協議会が行った「後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査結果(平成26年度調査)」によると、患者が薬局を選んだ理由について、「この薬局をかかりつけにしているから」が64.5%と最も多く、「医療機関の近くにあったから」の44.0%を大きく上回っていることが注目されています。

 

 平成25年度の調剤医療費は7兆円と増加し、その75%は薬剤費ですが、増加し続ける調剤医療費及び院内処方の場合よりも、患者一部負担の額が高くなると寄せられている医薬分業に対する批判の声に、的確に応えていかなければなりません。

 

 かかりつけ薬局・薬剤師を中心とした面分業を推進し、地域包括ケアシステムの中で、薬剤師は社会に対して貢献していかなければなりません。



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