残薬問題を解決する方法とそのメリット

飲み忘れや病院受診の間隔によって、薬が余ることが実際に多く起こっています。3~5日分くらいの残薬は、災害等のいざという時に備えてもっておいても構いません。必要以上に余った薬のことを「残薬」といいます。その残薬を合計すると約500億円になるといわれ、全国的に問題となっています。

 

この残薬問題は、一般のみなさんが「正しい知識」を身に付け、薬剤師を活用することで解決します。以下の「残薬問題を解決するメリット」を理解し、近くの薬局や薬剤師をご活用ください。

残薬問題を解決するメリット

薬の飲み間違いを防止できる
ひとりひとりの「残薬」をなくすことで、薬の飲み間違いを防ぎ、薬の副作用などの健康被害を抑制できます。2015年3月2日に実際にあった事例を紹介します。

 

患者のAさんは血圧の薬や胃薬、睡眠の薬を飲んでいます。そして、朝昼夕寝る前それぞれ一包化(小分けの袋に薬を分包)をしてお渡ししています。Aさんは、朝の血圧が高く、そのことを医師に訴え、2月27日に薬の内容に変更がありました。

 

【薬の変更点】
夕食後 胃薬と血圧の薬→胃薬
寝る前 睡眠の薬→睡眠の薬と血圧の薬

 

つまり、夕食後に飲んでいた「血圧の薬」を中止し、寝る前の睡眠の薬と一緒にまとめて飲んでもらうための変更がありました。このとき薬剤師が残薬を確認したのですが、Aさんは「薬は残っていない」と答えていました。よって、Aさんは2月28日から「27日にお渡しした薬」を飲むものだと判断し、薬剤師は薬を渡しました。

 

しかし、Aさんの手元には寝る前の薬が残っており(残薬)、2月28日、3月1日は「残薬の寝る前の薬」を飲みました。Aさんの「残薬の寝る前の薬」は、変更前の薬であり、睡眠の薬だけが入っていました。

 

よって、Aさんは2日間血圧の薬を飲めていませんでした。早く気づけたことが、不幸中の幸いですが、このまま血圧の薬を飲み続けていた場合、高血圧による脳出血などの重い病気を引き起こしていたかもしれません。

 

 

薬の不適切な使用が減る
必要以上に薬があると、友人や家族に薬をあげてしまいます。もちろん、処方された薬を自分以外の人に渡してはいけません。頭痛がある人には、「この痛み止めがよく効くから・・」と何気なく、むしろ善意として「人に薬をあげる」ようです。

 

その人を楽にしてあげたいという気持ちは素晴らしいのですが、「人に薬をあげること」は大変危険な行為なのです。どの薬にもアレルギーなどの副作用があります。

 

副作用は、必ず起こるものではありません。しかし、簡単に購入できる風邪薬などの「一般用医薬品」でも、死亡や重い後遺症が残る「副作用」が起こる危険があります。

 

平成21年度から平成25年度までの5年間に、報告された「一般用医薬品の副作用報告数」は合計1225例です。このうち、副作用で死に至った症例が15例、後遺症が残った症例が15例あり、一般用医薬品の副作用でも極めて重篤な状態に陥ることがわかります。

 

人に薬をあげ、その人に何かあった場合、責任をとることは非常に困難です。自分の薬が余っているからといって、薬を人にあげてしまうと、「取り返しのつかないこと」になるかもしれません。

 

 

医療費を削減できる
前述のように、日本全国の残薬を集めると約500億円の医療費を削減できる可能性があります。ひとりひとりの残薬を解決することは、自身の医療費を安くするだけでなく、ちりも積もり大きな経済効果をうみます。

 

また、ちょっとずつ薬がたまっていきますが、「(医師や薬剤師に)言うもの面倒だし、持っておこう」と考えがちです。しかし、体調が変わり「処方」が変わると、今まで使っていた薬は使えなくなります。つまり、その薬を捨てなければならないということです。

 

次回でいいやと考えるのではなく、「残薬の問題をいつ薬剤師に相談するのか?」
「今でしょ!」ではないのですが、早めに相談することが大切です。

 

 

ポリファーマシーや薬の副作用を防止できる
残薬をなくすということは、薬の整理をするということです。薬の整理ができると、薬を飲み忘れなくなります。そして、きちんと薬を飲むことで、必要以上に薬を処方されなくなります。

 

 

ポリファーマシーに関しては、こちらをご覧下さい。

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