疑義照会とその割合

疑義照会(ぎぎしょうかい)とは、処方せん中に疑わしい点があるときに、「その処方せんを交付した医師」に対して問い合わせ(電話など)を行うことです。処方せんに疑わしい点があるまま、薬を患者さんに交付することはできません。(薬剤法第24条)

 

疑義照会は、薬剤師の社会的な責任でもあります。疑義照会とは実際にどのようなことをしているのか、その実例についてまとめます。これらの内容は、日々おこなう疑義照会のほんの一部です。

 

 
出典:規制改革会議 公開ディスカッション 「医薬分業における規制の見直しについて」

疑義照会の実例

麻薬が処方される場合の「麻薬施用者の免許証の番号」の記載
麻薬を処方する医師は、その免許証の番号を処方せんに書かなければなりません。この番号がない場合には、薬剤師より疑義照会が行われます。

 

用法・用量の記載
処方せんには、「どんな薬を、どれくらいの量、いつ、どこに使用するのか」記載しなければなりません。例えば、「モーラステープ20mg 14枚 1日1回 腰」は、「どんな薬を(モーラステープ)どれくらいの量(20mgを14枚)いつ(1日1回)どこに(腰に)」といった具合です。

 

内服薬(飲み薬)では、「アムロジン錠5mg 1錠 1日1回 朝食後 30日分」、「どこに」はありませんが、このように記載されます。この中のひつでも記載もれがあると、患者さんが適切に薬を使うことができませんので、疑義照会が行われます。

 

処方せんの内容と薬学的な判断(禁忌)
処方された薬が、患者さんの病気を悪化させたり、アレルギーをひきおこす場合があります。そのような薬を患者さんに交付することはできません。例えば、エクセラーゼ配合カプセルは、牛や豚肉にアレルギーがある方は、アレルギーをおこす可能性があり使用できません。

 

処方せんの内容と薬学的な判断(原則禁忌)
処方された薬が、患者さんの病気を悪化させるなど、使用できない場合があります。例えば、マイスリー錠10mgは、気管支喘息や肺気腫などで呼吸の機能が落ちている場合、炭酸ガスナルコーシス(意識障害など)を起こしやすくなります。つまり、気管支喘息が疑われる患者さんに対して「マイスリー錠10mg」が処方されている場合は、疑義照会が行われます。

 

処方せんの内容と薬学的な判断(相互作用)
薬には飲み合わせに注意すべきものがあります。例えば、カリメートドライシロップ92.59%とマグミット錠500mgは一緒に飲むと薬の効果が下がってしまいます。この場合、薬の飲む時点(朝食後など)を変更する疑義照会が行われることがあります。

 

処方せんの内容と薬学的な判断(重複)
後発医薬品(ジェネリック医薬品)が普及し、同じ成分で名前が異なる薬が多く存在します。例えば、メバロチン錠10とメバリッチ錠10ですが、同時に処方されている場合は、間違いである可能性が高く、疑義照会が行われます。

 

処方せんの内容と薬学的な判断(多剤併用)
薬には色々な種類があります。血圧の薬の中でもCa拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、β遮断薬などがあります。その分類の中で、同じ分類の薬が処方されることはあまりありません。例えば、ARBであるオルメテック錠とARBであるミカルディス錠が同時に処方されている場合、間違いである可能性があり、疑義照会が行われます。

 

医薬品医療機器等法による承認内容と異なる用法・用量
医薬品は、それぞれ承認された用法・用量があります。1日1回の用法で承認された医薬品を1日2回で使用することはできません。また、5mgの用量で承認された医薬品を10mg使用することはできません。例えば、オルメテック錠20mgは、1日1回で承認された医薬品です。処方せんに「オルメテック錠20mg 2錠 1日2回 朝夕食後」と記載されている場合、疑義照会が行われます。

 

投与期間の上限
薬には、投与できる日数が限られているものがあります。例えば、ネキシウムカプセル10mgは逆流性食道炎に対して使用されますが、通常8週間までの投与とされています。8週間をこえて処方されている場合、疑義照会が行われます。

 

漫然と使用されている薬剤
ビタミン剤などの薬は、「月余にわたって漫然と使用すべきでない」とされています。また、胃腸の薬であるガスモチン錠5mgも「長期にわたって漫然と投与しないこと」とされています。長期に使用されている場合、疑義照会が行われます。

 

 

出典:規制改革会議 公開ディスカッション 「医薬分業における規制の見直しについて」



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