腎不全(CKD)|高齢者と薬


腎不全(CKD)|高齢者と薬

高齢者の腎不全(CKD)と薬

​高齢者は、薬による有害事象の頻度が高く、重症例が多いといわれます。薬物療法の安全性を高めるために、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015:日本老年医学会」が作成されています。その中から、特に注意するべき内容をまとめました。

 

お願い:薬を急に中止することは危険です。気になる内容がありましたら、かかりつけ医・かかりつけ薬剤師にご相談ください。

高齢者の腎疾患と薬に関する注意点
①高齢者では腎機能が低下していることが多く、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用するとさらに腎機能を低下させる危険がある。NSAIDs使用する場合は低用量(必要最低限の量)とし、常用や長期間の使用を避けるべきである。

 

②セレコキシブ(商品名:セレコックス)などの胃腸障害の少ない「COX-2選択性NSAIDs」、NSAIDsには含まれないアセトアミノフェン(商品名:カロナール)がある。これらについても、腎障害に対する安全性は確立されていない。使用する場合は、必要最低限の量にとどめるべきである。

 

③高齢者では腎機能が低下していることが多い。RA系阻害薬やアルドステロン拮抗薬(降圧薬など)を服用すると、高カリウム血症や腎機能低下のリスクが上がる。

 

①日本老年医学会の推奨度:強、エビデンス(根拠)の質:高
②日本老年医学会の推奨度:弱、エビデンス(根拠)の質:低
③日本老年医学会の推奨度:高、エビデンス(根拠)の質:強

 

腎機能の低下とNSAIDs:NSAIDsを必要最小限で使うべき理由
多くの高齢者は、年齢とともに腎機能が低下していきます。そして、薬による急性腎障害を起こしやすくなるため、その発症予防や早期発見が重要です。

 

高齢者は足腰の痛みから、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用する頻度が高くなります。NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することでプロスタグランジン(PG)の産生を抑制することで「痛みや熱を抑える効果」を発揮します。

 

PGには、交感神経系の活性化、血管を収縮させるカテコールアミンやレニン・アンジオテンシン系(RAS)に拮抗する作用もあります。脱水など腎臓の血流が悪化すると、腎臓でPGが産生され、血管を拡張させるという作用です。

 

もしこのような状態(脱水など)でNSAIDsを服用していると、一時的に腎臓の機能が低下します。通常は、NSAIDsを中止すると、腎機能は元の値に戻ります。しかし、腎機能低下に気づかずNSAIDsを継続していると、虚血性の尿細管細胞壊死(腎臓の細胞が死滅する状態)を起こす危険があります。

 

高齢者では、NSAIDsの常用や長期間の使用を避け、使用する場合は低用量とすることが望ましいでしょう。

 

腎機能とRA系阻害薬(降圧薬)
RA系阻害薬(※)は、他の降圧薬よりも尿タンパクを減少させる効果が強く、腎障害の進展をおさえます。これは、RA系阻害薬が糸球体の輸出細動脈を拡げ、糸球体内圧を低下させるためです。(簡単にいうと、腎臓の血管の出口を拡げて、腎臓内の圧力を下げるイメージです。)

 

このような理由から、「糖尿病を合併したCKD患者」および「軽度以上のタンパク尿を呈するCKD患者」では、RA系阻害薬が第一選択として使用されています。

 

しかし、CKDの高齢者では、必ずしも糸球体内圧が上昇しているわけではありません。血圧を下げすぎると、(腎臓の)糸球体に行く血流量が低下し、急性腎障害を起こす危険すらあります。血圧が下がりすぎなくても、糸球体内圧が下がりすぎると、正常血圧急性腎障害を起こす危険があります。

 

よって、RA系阻害薬を使用する場合は、低用量から開始することが望まれます。

 

※アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)など

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参考:日本老年医学会
高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015
(Amazonにリンク)
より詳しい情報知りたい方は、書籍の購入をオススメします。

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