なぜ高齢者に薬物有害事象が多いのか|高齢者と薬


なぜ高齢者に薬物有害事象が多いのか|高齢者と薬

なぜ高齢者に薬物有害事象が多いのか

​高齢者では、若年者に比べて薬物有害事象がより多く発生します。薬物有害事象とは、薬へのアレルギー反応や、薬の効果が強すぎることによる臓器障害などが含まれます。高齢者の薬物有害事象は、より多くの臓器に出現し、重症例が多いという特徴もあります。

 

実際に、急性期病院の入院症例では、高齢者の6〜15%に薬物有害事象を認めるという報告があります。これは、60歳未満に比べて70歳以上では1.5〜2倍の出現率となります。これらの要因は、大きく「疾患によるもの」と「機能によるもの」にわけられます。

薬物有害事象:疾患上の要因

「薬を多く服用しているため、薬物有害事象が増加」します。

 

高齢者は年齢とともに疾患が増えていきます。多くの疾患を有することによって、多くの病院に受診するなど、数多くの薬を服用します。さらに、慢性疾患も多く、薬は長期間服用されます。病気の症状に「「一定の型がない」ため、誤診による誤投薬や、目先の症状をおさえるためだけ(対症療法的)に薬が処方される場合があります。

 

薬物有害事象:機能上の要因

各臓器の能力(吸収・分布・代謝・排泄)が低下し、薬の量が過剰になりやすくなります。加齢により、次のような「からだの変化」が起こります。

 

吸収
加齢によって消化管機能は低下します。しかし、鉄やビタミンなどを除き、薬の吸収に対する影響は少ないと考えられます。

 

分布
体内の水分量の変化が起こり、「水溶性薬物」の濃度が上昇しやすくなります。また、脂肪の量が増加するため、脂溶性薬物は蓄積しやすくなります。血清アルブミンが低下する場合、「薬とタンパクの結合」が変化し、薬の効果が増減することがあります。

 

代謝
薬の代謝は、主に肝臓で行われています。肝臓の血流、細胞の機能の低下により、薬の代謝は加齢とともに低下します。つまり、からだの外に薬が出ていきにくくなり、効果が強くでる可能性があります。

 

排泄
薬の排泄は主に腎臓で行われ、尿中に出ていきます。(薬によっては、肝臓から胆汁中に排泄されることもあります。)腎臓の血流量は、加齢により低下するため、薬がからだの外に出ていきにくくなり、効果が強くでる可能性があります。

 

薬力学
薬の体内における濃度は同じでも、加齢に伴い「からだの反応性」が変化することがあります。交換神経の感受性低下、中枢神経の感受性亢進などがあげられます。

 

さらに、認知機能、視力、聴力が低下することにより、薬を間違って服用することも多くなります。間違って多く飲んだ場合は、薬の効果が強くでることがあります。逆に、間違って飲まない場合は、薬の効果を得られない危険性があります。

 

 

多剤併用(ポリファーマシー)を避けるために

高齢者は疾患が多いため、多剤併用(ポリファーマシー)になりやすい特徴があります。この問題点として、薬同士の相互作用や薬の飲み忘れ飲み間違い増加による「有害事象発生」などがあります。

 

さらに、薬剤費の増大も社会的な問題となっています。医療従事者は以下のような点に注意しながら、多剤併用を回避するように心がける必要があります。

 

現在の治療が「本当に高齢者にとって必要か」どうか?
症状の改善が見られないのに漫然と薬を継続していないか?
薬物療法以外の手段はないか?
薬の優先順位は正しいか?
食事、運動、睡眠などの生活習慣に見直す点はないか?

 

日本老年医学会
「各薬剤の適用を再考してみることを勧める。特に、処方薬剤に優先順位をつけて、必要性の低いものを中止する努力が最も求められる。」

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