医薬分業の意義


医薬分業の意義

医薬分業の意義

【医薬分業とは】
医師・歯科医師が患者さんの診断・治療をおこなった後、処方箋(しょほうせん)を発行します。その後、発行された処方箋にもとづいて(薬局の薬剤師が)調剤や薬歴管理、服薬指導を行います。医師と薬剤師がそれぞれの専門性を発揮し、薬物療法における医療の質の向上安全の確保するための制度です。

 

ヨーロッパでは800年近い歴史があり、神聖ローマ帝国のフリードリヒⅡ世(1194~1250年)が毒殺を怖れて、主治医の処方した薬を別の者にチェックさせたのが始まりと伝えられています。13世紀に神聖ローマ皇帝フリードリッヒ二世によって定められた医療法の中では、医師と薬剤師の人的物理的分離、医師が薬局を所有することの禁止などの条項が定めらています。

 

日本では、昭和49年に処方箋料が大幅に引き上げられ、病院やクリニックに対して処方箋を発行するように政策的な誘導が行われました。それから約40年が経ち、68%にまで医薬分業がすすみました。

 

 

【医薬分業の主な目的】
①医薬品の適正使用の推進
②薬物療法の適正化(最小で最大の効果)
③情報公開(処方箋の発行)
④薬価差益の抑制

 

 

【医薬分業の目的詳細】
①医薬分業が行われていない場合、病院や診療所(クリニック)の多くの医師は、自らの施設内で採用した医薬品しか使うことができません。しかし、医薬分業を行うことで、医師が採用医薬品に縛られず、治療に必要なものを自由に処方できます。 また、採用医薬品の管理などから解放され、治療に専念することができます。

 

②複数の医療機関から処方せんをもらった場合でも、飲み合わせの悪い薬が出されていないか、同じような薬が重複して出されていないかなどを薬剤師がチェックし、医薬品安全に使用することができます。(この場合には、お薬手帳の活用やかかりつけ薬局が役立ちます)

 

③処方せんが発行されることで、患者さん自身が処方の内容を知ることができるとともに、薬剤師により情報提供や服薬指導が行われ、医薬品をより安全・適切に使用することができます。

 

また、薬の専門家である薬剤師が薬の調剤を行いますので、より正確かつ受け取るまでの待ち時間が短縮が期待できます。さらに、処方、調剤の責任体系が明確になりますので、受けられる医療の質は向上します。

④1980年代、医師は「薬の仕入れと支出の差額(薬価差)」で儲けており、この薬価差による利益がなくなれば薬の処方量が減るため医療費が抑制できるだろうと考えられていました。

 

その他医薬分業のメリット
・処方監査、疑義照会による薬物療法の個別最適化(安全性、有効性の確保)
服薬支援(薬剤の加工・調製)によるアドヒアランス、薬の飲みやすさの向上
・服薬指導によるアドヒアランスの向上、誤服薬の防止、副作用の回避、早期発見
・副作用の発見、副作用疫学調査への貢献
残薬管理による安全性・有効性の確保、医療保険財政への貢献
・他職種(医師・看護師・ケアマネなど)への情報提供による安全性、有効性の確保
・後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進による医療保険財政への貢献
・医療事故などの事例収集による医療安全対策への貢献

 

 

【医薬分業のデメリット】
一見、良い事だらけのようにみえますが、医薬分業においての課題も残されています。
・患者さんが、病院を出たあと薬局に行くため手間がかかります(二度手間)
・病院では、処方箋発行のための料金、薬局では調剤のための料金がかかり費用の負担が増えます

 

医薬分業はたしかに“二度手間”ですが、その“二度手間”こそが患者さんの安全を守ります。利便税に勝る安全性の確保です。さらに、最小の薬剤で最大の効果を上げることへつながるため、薬剤費の適正化にも役立っています。

 

 

【進む医薬分業】
外来で処方箋を受け取った患者さんのうち、院外の薬局で調剤を受けた割合を「処方箋受取率」といい、「医薬分業率」とも呼んでいます。

 

医薬分業はその後の長い道のりをへて、厚生省が37のモデル国立病院に対して完全分業(院外処方箋受取率70%以上)を指示した1997年以降、急速に進み、2003年に初めて全国の医薬分業率が50%を超えました。

日本薬剤師会資料

 

 

【医薬分業によって防げた医療事故】
薬剤師は「疑義照会」や「服薬指導」などを行い、医薬品の適正使用の推進をおこなっています。中でも、薬剤師が薬物療法に直接関与し、患者さんの不利益(副作用、相互作用、 治療効果不十分など)を回避あるいは軽減した事例を“プレアボイド”と称して報告を収集しております 。

 

 

プレアボイド事例
ある日、(鼻水などの症状を訴えたため)アレルギーを抑えるザジテンドライシロップが処方された患者さんが薬局にいらっしゃいました。この患者さんは、いつもテグレトール細粒という薬を飲んでいます。ここで、薬局の薬剤師は疑問をもちます。
「テグレトール細粒を飲んでいる患者」ということは、「てんかんという病気をもっている」ことが疑われます。
また、患者さんの鼻水の症状を改善させるために処方された「ザジテンドライシロップ」はてんかんの症状を悪化させてしまう(てんかんによる痙攣をおこしてしまう)危険がある薬なのです。

 

そこで、この疑問を解決するために、薬剤師はザジテンドライシロップを処方した医師に電話をし「ザジテンドライシロップを、てんかんを悪化させない他の薬に変えてもらえないか」伝えました。医師は、他のアレルギーを抑える薬である「アレジオンドライシロップ」に処方を変更するように回答し「ザジテンドライシロップ」が患者さんの手に渡ることはありませんでした。つまり、てんかんの症状を悪化させる危険性を減らす(医療事故を防ぐ)ことができました。(そのままザジテンドライシロップを服用した場合、100%症状の悪化が起こるわけではありません)

 

このように、患者さんの不利益を未然に防ぐことは薬剤師の使命であり、非常に大切なことです。
病院薬剤師会では(薬局以上に)積極的なプレアボイド事例収集が行われており、年間数千件の報告が集積されています。

 

 
出典:規制改革会議 公開ディスカッション 「医薬分業における規制の見直しについて」

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