調剤とは

一般的に、調剤とは「一定の処方に従って2種類以上の薬品を配合し、または1種類の薬品を使用し、特定の疾病に対する薬剤を調製する行為」と考えられています。つまり、処方に基づく薬剤の調製を「調剤」と呼びます。

 

薬剤師法と調剤
薬剤師法 第一条(薬剤師の任務)
薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

 

薬剤師法 第十九条(調剤)
薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。(以下略)

 

薬剤師法 第二十三条(処方せんによる調剤)
薬剤師は、医師、歯科医師又は獣医師の処方せんによらなければ、販売又は授与の目的で調剤してはならない。

 

「調剤」の定義 
大正6年3月19日の大審院(現在の最高裁判所に相当)判決
「一定ノ処方ニ従ヒテ一種以上ノ薬品ヲ配合シ若クハ一種ノ薬品ヲ使用シテ特定ノ分量ニ従ヒ特定ノ用途ニ適合スル如ク特定人ノ特定ノ疾病ニ対スル薬剤ヲ調製スルコト」

 

「調剤とは」具体的にどのようなものか、薬剤師法などの情報は少なく、解釈は示されていません。調剤の定義は時代とともに変わるものです。2016年現在、よく用いられる「狭義と広義の調剤」の解釈を次に記載します。

狭義の調剤

医師・歯科医師・獣医師から発行された処方せんに書かれてある医薬品を患者さんに交付することです。

 

シートに入っている医薬品を取り揃えるだけの場合もあれば、水剤(シロップの薬など)や散剤(粉薬)、軟膏(クリームなど)を、はかりとり混合などを行う場合もあります。

広義の調剤

薬剤師は、薬を迅速かつ正確に準備し、ただ交付しているだけではありません。この「作業」だけであれば、機械でも代替が可能です。

 

近年、医薬品は増え続けており、薬物療法は高度化しています。それに伴い薬剤師は、「患者さんに薬の副作用がでていないか」、「薬の効果がしっかり出ているのか」を確認し、患者さんが適切に薬を使用できるよう行動しています。

 

そのために、患者さんの副作用歴、服用している薬や健康食品、体質やアレルギー歴を確認します。これまでの服薬状況等をまとめた記録(薬剤服用歴の記録)と照合したり、患者との対話で疑問点があれば処方医に照会を行います。また、必要に応じて、処方医に薬などの情報を提供しています。

 

調剤した薬は、そのままでは「単なるもの」でしかありません。その「もの」が薬として適切に服用されるために、薬剤師は個々の患者さんに合わせた服薬指導(説明や上記確認)を行います。

 

調剤の概念(調剤指針 第13改訂)
薬剤師が専門性を活かして、診断に基づいて指示された薬物療法を患者に対して個別最適化を行い実施することをいう。また、患者に薬剤を交付した後も、その後の経過の観察や結果の確認を行い、薬物療法の評価と問題を把握し、医師や患者にその内容を伝達することまでを含む。

 

保険調剤の流れ
処方せんを受け付ける

薬剤服用歴の確認をおこなう

患者情報の収集をおこなう
残薬の有無、併用薬を確認する
後発医薬品への変更希望の有無を確認する

必要に応じて疑義照会を行う

医薬品を取り揃える(調合を含む) 狭義の調剤

薬剤服用歴に基づく服薬指導をおこなう

医薬品を交付する

調剤報酬の算定をおこない一部負担金をいただく

薬剤服用歴を作成する

調剤録の作成をおこなう

支払基金に対して調剤報酬の請求をおこなう

 

このように、医薬品が関わる多様な業務すべてが「広義の調剤」とされます。

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