共同体感覚
アドラーによると、幸せは手に入れるものではありません。
幸せとは、感じるものであり、共有するものなのです。
「なりたくてこうなったんじゃない」といった思いは、誰にでも少なからずあるでしょう。怠けたり、嫉妬したり、敵意を抱いたり、悪いことをしたり…度合いは違えど、そんな振る舞いをしてしまうのが人間です。
しかし、そんな生き方をしたくて選ぶ人なんかいません。正しく関心を持たれることで、人に正しく関心を持つことを学びます。このような機会がないと、人は間違った道に進んでしまうのです。
人間は他人や先人など、誰かのおかげで生きています。この真実に気づくことが大切です。これを「共同体感覚(social interest:社会への関心)」といい、人が成長するためにとても重要なものです。共同体感覚を細かくみると以下の4つに分類できます。
▶共同体感覚
「所属」…自分の居場所がある
「貢献」…周りの人の役に立てる
「自己受容」…ありのままの自分でいられる
「信頼」…周りに任せられる
所属→貢献→自己受容→信頼のサイクル
「所属」と「信頼」は、人々は仲間という感覚
「貢献」と「自己受容」は、私には能力があるという感覚
周りの人たちが自分の仲間であり、その中で自分は自分の能力を使って、周りの人たちの役に立ち、貢献することができるという感覚が、共同体感覚です。簡単にいうと、人とつながっている感覚です。
人は「十分認められていない」という気持ちがあると、人とのつながりを感じられず、「自分は自分で、人には何をしてもいい」と思ってしまいます。そうならないように、共同体感覚を育てることが大切です。
対人関係の悩みの中など、私たちの共同体感覚は常に成長しています。例えば、人に厳しいことを言わなければならないときがあるとします。しかし、その人との関係が悪くなるのも嫌なので、それを言うべきか悩みます。このとき、「自分の行動はより大きな共同体(職場、地域、人類全体)にとって有益か?」と考え行動する必要があります。このようにして、共同体感覚を育てていくのです。
私的論理(自分にしか通用しない考え)に気づき、共同体のメンバーが共有できる「共通感覚」へと変換していくことが大切です。そうすることで、自分の能力を使って他者に貢献できるようになります。そして、喜びがうまれ、幸せな人生につながっていくのです。