不整脈の治療

心室性期外収縮、心房細動、WPW症候群、高年齢になると洞機能不全、脚ブロック。これらの不整脈をもつ患者さんは多く、開業医がよく出会うといわれます。

 

患者さんが訴える症状では、動悸が主です。動悸の原因は、期外収縮、頻脈、そして徐脈があげられます。不整脈の重症度は簡単に診断できないため、困難である場合が多いようです。

 

不整脈の原因と治療
動悸がある患者さんは、「自分は不整脈かもしれない」という強い不安をかかえています。緊急を要する不整脈の場合、心臓の病気の有無(心筋梗塞や弁膜症など)を調べながら治療を行います。

 

治療のはじまりは、患者さんの不安を取り除くことです。つまり、一般的心理療法から治療に入ることが基本とされます。不安が取れないときには、精神安定剤を使うこともあります。

 

そして、動悸の原因は、「寝不足、ストレス、禁酒をしたためか・・・」と、不整脈の引き金を調べ、生活習慣の改善を考えます。(普段から大量にお酒を飲んでいる場合、急にやめると不整脈の原因となることもあります。生活習慣を急に変化させることはストレスがかかります。)

 

次に、治療が必要な不整脈なのか判断します。不整脈があっても、そのすべてに治療の必要はありません。不整脈治療の基本は、動悸、めまいなどの自覚症状をとることです。そして、生命予後、QOL(生活の質)の改善、合併症の治療を考えます。

 

高血圧、日常生活の変化によって不整脈が起こる場合もあります。これらの場合、不整脈は軽症であることが多いようです。軽症の心室性期外収縮は「心臓のシャクリ」と患者さんへ説明します。そして、その治療は生活習慣を改善することです。

 

また、偽アルドステロン症で低カリウム血症になり、不整脈が起こることもあります。健康食品に入っている利尿剤や下剤、野菜不足、酒の飲み過ぎが主な原因です。生活を見直すことで不整脈は減っていきます。不整脈の薬は使いません。

薬物療法とその注意点

頻拍(頻脈性の期外収縮、心房細動など)の場合、薬物治療を始める前にその原因を取り除くことを考えます。低K血症、甲状腺機能亢進症、心不全などは頻拍(頻脈)を引き起こします。まずは、これらの原因に対する治療が必要です。

 

薬物療法を開始する前に、「根治療法ではなく、あくまでも対象療法であること」を認識必要があります。薬によって不整脈(頻拍)が治癒することは、今のところ不可能です。

 

頻拍に対する薬は、頻拍を抑えられたとしても、有害な作用を起こす危険があります。有害な作用とは、予後を悪化させたり、不整脈を悪化させる(催不整脈作用)などです。患者さんには、「いい薬ですが、逆に作用することもあるので、薬を替える場合もあります。」と伝えます。

 

高齢者にいする薬物療法は、まず腎機能肝機能をしっかりと把握します。心機能が低下している人には、薬の効きすぎによる突然死の例もあるため、注意が必要です。

 

心室性期外収縮などで日中に起こりやすいような不整脈には、プロパフェノン、ソタロール(β-遮断作用が強い)が有効である場合があります。一方、夜間に起こる心房細動で若い人の場合、迷走神経をおさえるジソピラミド、シベンゾリン(抗コリン作用がある)が有効である場合が多いです。

 

 

続いて、不整脈のまとめ

 

 

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