絶対不応期と相対不応期
心臓の細胞が興奮(収縮)している間に、他から電気刺激がやってきて、興奮の重複が起こってしまっては困ります。
そのために、心臓は防御手段を用意しています。
つまり、心臓は活動中、どこから刺激がやってきても興奮しないしくみになっています。
そのしくみが、絶対不応期と相対不応期です。
出典:標準生理学 心臓の活動電位と不応期
絶対不応期とは
心臓は収縮の途中、電位差が浅く、ナトリウムチャネルが不活性化されています。
ナトリウムチャネルは約-65mVで開くため、再分極が相当に進むまでは、強い刺激がやってきても反応できない状態です。
この範囲までを絶対不応期といいます。
電位差が約-60mVまで深くならないと、心房、プルキンエ線維、心室の細胞はいかなる刺激にも反応せず脱分極はしません。
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相対不応期
しかし、再分極が進み細胞の電位差が約-60mVより深くなってくると、ナトリウムチャネルは“不活性化からの回復”を始めます。
これが相対不応期です。
電気刺激に対して反応できるチャネルが徐々に増えてきています。
再分極が完全に終わるころには、すべてのナトリウムチャネルが不活性化から回復しています。
不整脈をとめるには
心房筋では収縮期が短く、速い段階で不活性化状態から回復し、分極状態になります。
そのため絶対不応期が短く、異常興奮(不整脈)が起こりやすくなり、心室に比べ不整脈の起こる頻度が多いのです。
この部位の不整な動きを止めるために、不応期を長く(電位依存性カリウムチャネルを抑制)してやれば、その間にやってきた刺激に反応しなくなり、不整脈を止められるかもしれません。
これは不整脈を止める方法のひとつです。