薬剤師の在宅医療

【なぜ今、在宅医療が求められているのか】
日本の少子高齢化は、どんどん進んでいます。1965年には65歳以上1人に対する20~64歳の人口は9.1人でした。

 

つまり、若い人9.1人で高齢者1人を支えています。しかし、2012年には20~64歳の人口が2.4人と大きく減少しました。さらに2050年には、1.2人まで減少するといわれています。

 

若い人1.2人で高齢者1人を支えるのは、財政上非常に困難であり、社会保障制度の維持が危ぶまれています。社会保障制度が維持できないと、費用の高い病院への入院が困難になります。そこで、「療養の場」を病院だけでなく、患者さんの居宅(在宅)に移行させる流れがあるのです。

 

〈高齢化の進展〉

  2012年8月 2015年 2025年 2055年
65歳以上の高齢者人口(割合) 3,058万人(24.0%) 3,395万人(26.8%) 3,657万人(30.3%) 3,626万人(39.4%)
75歳以上の高齢者人口(割合) 1,511万人(11.8%) 1,646万人(13.0%) 2,179万人(18.1%) 2,401万人(26.1%)

 

 

【在宅医療への参加の歴史】
平成4年(1992年)、医療法第1条に、入院、外来とともに「患者居宅」が医療の場として位置づけられました。これは超高齢社会という問題に備えての決定です。平成6年(1994年)には「在宅訪問薬剤管理指導」(医療保険)が、平成12年(2000年)には「居宅療養管理指導」(介護保険)が、それぞれ認められました。さらに、平成18年(2006年)の薬剤師法改正において、医療を受ける者の居宅等で薬学的管理指導等の調剤業務が可能となりました。

 

 

【政府の方針と、薬剤師の在宅医療】
政府が平成24年(2012年)2月17日に閣議決定した「社会保障・税一体改革大綱」では、今後の医療・介護の見直しの方向性として「病院・病床機能の分化・強化」「在宅医療の推進」「チーム医療の推進」等の施策が挙げられています。また、平成24年(2012年)の診療報酬・調剤報酬改定や医療計画の見直しにおいても、在宅医療の推進等が大きなキーワードの一つでした。

 

さらに、大綱では、「地域包括ケアシステムの構築」という文言が随所に見受けられます。住み慣れた地域で、在宅を基本とした生活の継続を目指す地域包括ケアシステム(医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した要介護者等への包括的な支援)を構築していこうという考え方です。今後、在宅医療への取り組みを強化し地域包括ケアシステムの中で、薬学的な専門性を活用し、薬剤師としての役割を果たすことが求められています。

 

 

【在宅医療で薬剤師の求められている項目】
在宅患者のQOLおよびADLの改善
在宅医療における医薬品の適正使用、医療安全の確保
在宅医療チームの負担軽減薬剤費用の適正化

 

平成22年(2010年)に実施されたチーム医療推進検討会の報告では、「在宅医療を始めとする地域医療においても、薬剤師が十分に活用されておらず、看護師等が居宅患者の薬剤管理を担っている場合も少なくない」という指摘があった。われわれ薬剤師はこの指摘を真摯に受け止め、危機感をもって積極的に在宅医療に参加する取り組みを行う必要がある。(日本薬剤師会)

 

 

 

 

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