心臓の動きを血圧が見張っている
心臓は、血管を流れる血液の量や圧から見張られています。血管には、血液の流れを監視する頚動脈洞・大動脈弓というセンサー(受容器)があります。
心臓は、このように話します。
血管には、頚動脈洞・大動脈弓というセンサーがあるんだ。それらが、俺の動きを見張っているのだよ。休みたいと思っても自由にはならないんだ。
出典:標準循環器病学
頚動脈には「頚動脈洞」が、心臓から大動脈が出てすぐのところには「大動脈弓」があります。これらは、圧力変化に反応する受容器(センサー)であり、圧受容器とよばれます。血管への圧力(動脈圧)の上昇または低下をキャッチします。
血圧変化を感知する受容器は、頚動脈洞、大動脈弓だけでなく、心房や心室にも存在します。この圧受容器からの情報は、延髄の循環中枢に送られます。その中枢は、心臓や血管に対して指示をだし、血圧の正常化をはかります。この血圧の変化を「圧受容器反射」といいます。
この反射作用によって、高血圧の時に心臓の動きが減少し、低血圧の時に心臓の動きが増加します。しかし、ある種の高血圧や心不全状態では、このセンサーの感受性が衰えているといわれます。
その他、心臓の動きに影響を与えるもの
酸素、二酸化炭素、糖も心臓の動き(心拍数)に影響を与えます。
高い | 低い | |
---|---|---|
血液中の酸素濃度 | 心拍数減少または不変 | 心拍数増加 |
血液中の二酸化炭素濃度 | 心拍数増加 | 心拍数減少または不変 |
血液中の糖濃度(血糖値) | 心拍数減少または不変 | 心拍数増加 |
例えば、血液中の糖濃度(血糖値)が下がり、低血糖になると交感神経の亢進(興奮)がおこります。これは、生命を維持するための反応であり、その症状のひとつに動悸がおこります。動悸は、心拍数の増加であり、身体の全体へ糖の入った血液を早く送ろうとする反応です。
身体が「早く血液が欲しい」と言えば、心臓は動きを速くして血液を早く送り出します。また、酸素、二酸化炭素、糖など、「必要なもの」「要らないもの」を見極めながら動いているのです。私たちの心臓は、いろいろと判断のできる賢い臓器なのです。
しかし、不整脈を起こすなど、賢くない部分もあるのです。
続いて、動く心臓をつくるためには
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第2章 心臓の動きを理解するための予備知識
▶心臓から血液を押しだす大きな力