リフィル処方せんとは
「リフィル処方せん」とは、1枚の処方せんを繰り返し使用し、病院に行かず、薬局に行くだけで薬を受け取ることができる仕組みです。リフィル(refill)とは、「re:再び、fill:調剤する」、「飲食物のおかわり」という意味をもつ英語です。
現在、病院で処方せんをもらい、「その処方せんを薬局に持っていき、薬を受け取る」という仕組みが一般的です。その際に、処方せんは薬局で保管することが決められているため、患者さんが処方せんを持ち帰ることはありません。
「リフィル処方せん」が導入されれば、1枚の処方せんを再度使用するため、患者さんは薬と処方せんを持ち帰ることになります。その後、薬がなくなる頃に病院に行くのではなく、処方せんを薬局に持っていくことで薬を受け取ることができます。
この仕組みは、アメリカなどの海外では一般的に行われていますが、日本では医師会の反対などもあり、検討の最中です。
国 | リフィル処方箋の導入 |
---|---|
アメリカ | 済 |
フランス | 済 |
ドイツ | 未 |
イギリス | 済 |
オーストラリア | 済 |
リフィル処方せんの導入予想
薬の名前と、1回に渡せる日数、そのリフィル処方せんを何回まで使用できるかを、医師が判断して発行します。
例)アムロジピン錠5mg(血圧の薬) 1日1回 朝食後 30日分 「3回まで使用可能」
この例では、2回目と3回目は病院に行かずに、薬局にて薬を受け取ります。つまり、2回目と3回目には、医師の診察はなく、薬剤師が薬の服用に関する責任を負うことになります。血圧の問題がないようであれば、薬を渡してもいいのですが、血圧が高い(薬が効いていない)ようであれば、病院を受診するように勧めなければなりません。
リフィル処方せん導入への壁
医師会の反対の理由には、「薬剤師に任せて大丈夫なのか」という薬剤師の力不足があります。
上記の例では、血圧が問題ないかの判断を行っています。世の中には、1万8000以上の様々な薬が存在します。薬剤師は、最低でも「薬の効果が出ているのか」「副作用は出ていないか」を確認する必要があります。
薬剤師の多くは、薬学的な専門知識や責任感、判断能力をもっており、医師と連携して薬物療法をおこなうことができます。しかし、制度として導入するためには、より多くの薬剤師が「患者さんの安全を守るための力」をつけなければなりません。
リフィル処方せん導入のデメリット(医療機関)
- (大きくない)診療所の経営が困難になる可能性
リフィル処方せん導入のメリット
- 患者さんが病院を受診する手間が省ける
- 医師不足の解消につながる
- 医療費(診察代・処方代)の削減につながる
リフィル処方せんの今後
平成26年6月24日 閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2014 について(骨太の方針) 」には、以下の文言があります。
医薬分業の下での調剤技術料・薬学管理料の妥当性・適正性について検証するとともに、診療報酬上の評価において、調剤重視から服薬管理・指導重視への転換を検討する。 その際、薬剤師が処方変更の必要がないかを直接確認した上で一定期間内の処方箋を繰返し利用する制度(リフィル制度)等について医師法との関係に留意しつつ、検討する。
2016年度の診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会(中医協)において議論が行われています。もしかすると、2016年度からリフィル処方せんが導入されるかもしれません。