薬剤師倫理規定とは

一般的な「倫理」とは、人が社会生活を送る上で「守り行うべき道」をさします。守り行うべき道のひとつに、法令や規則などがありますが、それを守ってさえいれば問題ないというわけではありません。形式的に違反をしていなくても、行動によっては、批判や信頼を失う対象となることもあります。そのようなことが起こらないように、広い観点から倫理に関して規定したものを「倫理規定」といいます。

 

薬剤師倫理規定
(日本薬剤師会理事会 昭和43年8月制定、平成9年10月全面改定)

 

前 文
薬剤師は、国民の信託により、憲法及び法令に基づき、医療の担い手の一員として、人権の中で最も基本的な生命・健康の保持増進に寄与する責務を担っている。この責務の根底には生命への畏敬に発する倫理が存在するが、さらに、調剤をはじめ、医薬品の創製から、供給、適正な使用に至るまで、確固たる薬(やく)の倫理が求められる。薬剤師が人々の信頼に応え、医療の向上及び公共の福祉の増進に貢献し、薬剤師職能を全うするため、ここに薬剤師倫理規定を制定する。

 

(任 務)
第1条  薬剤師は、個人の尊厳の保持と生命の尊重を旨とし、調剤をはじめ、医薬品の供給、その他薬事衛生をつかさどることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって人々の健康な生活の確保に努める。

 

(良心と自律)
第2条  薬剤師は、常に自らを律し、良心と愛情をもって職能の発揮に努める。

 

(法令等の遵守)
第3条  薬剤師は、薬剤師法、薬事法、医療法、健康保険法、その他関連法規に精通し、これら法令等を遵守する。

 

(生涯研鑽)
第4条  薬剤師は、生涯にわたり高い知識と技能の水準を維持するよう積極的に研鑽するとともに、先人の業績を顕彰し、後進の育成に努める。

 

(最善尽力義務)
第5条  薬剤師は、医療の担い手として、常に同僚及び他の医療関係者と協力し、医療及び保健、福祉の向上に努め、患者の利益のため職能の最善を尽くす。

 

(医薬品の安全性等の確保)
第6条  薬剤師は、常に医薬品の品質、有効性及び安全性の確保に努める。また、医薬品が適正に使用されるよう、調剤及び医薬品の供給に当たり患者等に十分な説明を行う。

 

(地域医療への貢献)
第7条  薬剤師は、地域医療向上のための施策について、常に率先してその推進に努める。

 

(職能間の協調)
第8条  薬剤師は、広範にわたる薬剤師職能間の相互協調に努めるとともに、他の関係職能を持つ人々と協力して社会に貢献する。

 

(秘密の保持)
第9条  薬剤師は、職務上知り得た患者等の秘密を、正当な理由なく漏らさない。

 

(品位・信用等の維持)
第10条  薬剤師は、その職務遂行にあたって、品位と信用を損なう行為、信義にもとる行為及び医薬品の誤用を招き濫用を助長する行為をしない。



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