明日の薬剤師と連盟(薬剤師向け)

▶2025年の医療提供体制
 平成23年10月5日、中医協に、2025年(平成37年)までの、診療報酬体系の見直しの工程表のイメージが提出されました。

 

 そこでは、医療機関の機能連携と、医療機関と在宅/介護の連携が、最優先の目標として掲げられています。その背景は、2025年に向けた高齢者人口の急増という推計がなされていることです。将来に向けた「医療・介護サービス体制」の構築は、今や“待ったなし”の状況にあります。

 

 そして、医療・介護の提供体制として、「地域包括ケア体制」の将来像が示されています。その中で、薬局は、診療所とともに「自らの住まいで終末期まで生活」するための医療提供施設として位置づけられており、これからの高齢社会にあって、薬剤師はどのような役割を担えるのしょうか。

 

 今後、地域包括ケア体制の中で、薬局は、どのような機能を担っていき、70%に近づいた医療分業の向こうには、何があるのしょうか?国民は、薬剤師に何を期待していて、薬剤師は一体、どうなりたいのだろうか。

 

▶Pharmaceutical Care
 1993年(平成5年)9月、東京で、世界中から3,000人の薬剤師が集まり、Phamaceutical CareをテーマにFIP大会が開かれました。

注)FIPとは Intermational Pharmaceutical Federation(国際薬学連合)

 

●Pharmaceutical Care
 このFIPにおいて、米国フロリダ大学のC.D.Hepler教授が提唱した薬剤師の職能の在り方に関する「Pharmaceutical Care」を巡ってシンポジウムが行われた。その骨子は次のようなものであった。
1.患者情報の記録と判断
2.その患者に対する治療目的の明確化
3.治療のプランニング、評価
4.モニタリングのプランニング
5.調剤、患者へのアドバイス
6.モニタリングプランの実行
7.薬物治療上の問題の確認(患者は治療の目的に向かい進んでいるか)
8.問題に対する対応(今、何をすべきか)

 

 この“Pharmaceutical  Care”の考え方は、世界中の薬剤師の目指す方向となった。

 

▶では薬剤師の目指すべき方向は?
1 医療用から、一般用医薬品まで、全ての医薬品に係わる職能である薬剤師
2 医薬品の安全確保とともに、医薬品の持つ有用性を最大限に引き出すことのできる薬剤師
3 調剤という、一プロセスに係わる薬剤師ではなく、健康維持から、疾病予防、治療、の全行程に係わることのできる薬剤師

 

▶そのためには、どのような環境整備が必要だろう
・医療法では?
・薬剤師法では?
・医薬品医療機器等法では?
・介護保険法では?
・健康保険法では?
・診療報酬・調剤報酬、介護報酬では?

 

▶例えば…
医療法…医療法による医薬分業の位置づけ
医薬品医療機器等法…一般用医薬品等の役割の明確化とセルフメディケーションの体系化
薬剤師法…薬剤師業務の拡充・治療計画、処方設計への参画・セルフメディケーションにおける薬剤師の役割(軽医療、保健・生活指導、疾患予防等)の明確化
調剤報酬…リフィル処方箋の制度化 etc

 

▶薬剤師連盟は何のためにあるのかその目的は
 薬剤師連盟は、薬剤師を主体とする政治資金法に基づく政治団体です。だが、医療従事者である薬剤師に、何故、政治組織が必要なのでしょうか。「政治活動など、“政治好き”の一部の人たちが、自分たちの興味のためにやっていることであって、薬局や病院の医療現場で働く薬剤師には、何の関係もない。」そう思う薬剤師も多いようです。

 

 しかし、人の命や健康に直接関与する医薬品を取り扱う薬剤師という職能は、法律によってその権限、責務等が規制されています。だとすれば、法律の改正よってこれまでの制度がどのように変わるのか、あるいは、どのような新しい制度ができるのかによって、薬剤師の職能は大きな影響を受けるのは当然です。

 

 法律や制度は、国会、政府、行政によってその方向が決められます。薬剤師連盟の役割は、薬剤師が職能を十分に発揮することができるよう、国会や政府などに、薬剤師の主張を伝え、必要な政策の実現を求めていくことです。

 

 日本薬剤師連盟会則(平成24年4年1日から施行)の第1条には、次のようにその目的が明記されています。

日本薬剤師連盟会則
第1条 日本薬剤師連盟は、会員相互の全国的協力により日本薬剤師会の目的を達成すること、その他薬事・薬業の振興に必要な政治活動を行うことを目的とする。

 

 医療介護総合確保推進法の制定に基づき、医療保険、介護保険も大きく変わろうとしています。薬剤師一丸となる必要があります。



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