学校薬剤師のダニ検査
学校薬剤師とは、学校環境衛生の維持・改善を目的として、大学を除く国立・公立・私立の学校すべてに委任委嘱されています。薬剤師が「薬学」を中心とした「専門的な知識」を発揮させ、法律に基づき活動します。ダニ検査は、正常で快適な学校の環境を維持し、児童生徒の学習意欲低下や健康被害を防ぐために行います。
近年、学校においてアレルギー疾患の児童生徒が増加しています。環境衛生上、ダニまたはダニアレルゲンは、アレルギーを引き起こす要因の一つとされています。快適な学習環境を維持するために、その対策は非常に重要です。
ダニアレルギーを引き起こすダニの種類として、チリダニの仲間であるコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニがあげられます。学校の保健室の寝具やカーペット敷きの教室などにおいて、生育条件が整うと、ダニが多く発生します。簡易検査が開発され、学校現場でも簡単にダニ検査ができるようになりました。
ダニ検査方法
温度が高い時期に、保健室の寝具やカーペットの一部分(約1平方メートル)を掃除機で吸引します。1分間の吸引後、ほこりなどのゴミが採取できますが、その中にどれだけのダニがいるのか検出します。多くの場合、Der2というアレルゲンと特異的に反応する抗体を用いた「酵素免疫法」によって検査を行います。
酵素免疫測定法を行う際の準備物
・測定キット
・保冷剤・バッグ(冷所保存で運ぶため)
・メジャー(1㎡を測定するため)
・温度計・湿度計
・掃除機(ダニを吸い込むため)
掃除機は学校からお借りする場合が多いですが、事前に清掃していただく必要があります。(ダニを除去するため)
ダニの基準値
100 匹/㎡以下が基準とされています。これ以下であれば、喘息発作が治まったという報告があることが根拠となっています。基準値を超えた場合は、掃除等の方法を電気掃除機にするなどの改善を行います。また、保健室の寝具は、必ず布団カバーやシーツを掛け、使用頻度等を考慮し適切に取り替える必要があります。
ダニをシャットアウトできる防ダニシーツもありますが、高価なものです。シーツ・カバー類は、のり付けをして頂くことにより、ダニが布団内部からあるいは布団の中への移動を防ぐ事ができます。また、ダニの生育に必要な餌、温度、湿度などがそろわない環境にすることも大切です。
ダニの生育を阻止するために
環境 | 詳細 |
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餌 |
人の垢(あか)やカビ・食べこぼしなどが餌となり、増殖の原因となります。 |
温度 | 増殖の最適温度25~30℃であり、夏期の7月下旬から9月上旬に最も数が多くなります。 |
湿度 |
ダニは乾燥に弱く、増殖には60%以上の湿度が必要です。 |