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医師と薬剤師の「薬のみかた」

医師は、効能効果で薬をみています。つまり、この薬は痛み止め、この薬は血圧を下げるといった具合です。それに対し、薬剤師は、作用機序で薬をみています。この薬は「アラキドン酸からプロスタグランジンを生成するシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し痛み止めの効果を発揮する」、この薬は「アンジオテンシンⅡ受容体を阻害することで血圧を下げる効果を発揮する」というような考えです。

 

 

【患者さんから症状の変化の訴えがあったとき】
医師は足し算:病気の悪化を考え、薬を追加する
薬剤師は引き算:薬の副作用ではないかと考え、薬の変更や中止を考える

 

 

【実際にあった認知症患者の話】
高度の認知症の患者さんに認知症の薬が処方されました。その患者さんは昔、気管支喘息という病気がありましたが、最近は落ち着いており息苦しさなどの症状はありませんでした。しかし、認知症の薬を飲み始めてしばらく経つと、少し息苦しいような症状が出てきました。そこで医師は、病気の悪化と考え喘息を抑えるための薬を処方しました。しかし、認知症の薬の一部は、コリン作動という作用があり、気管支を狭くしてしまい息苦しい症状を起こす可能性があります。この事例では、私から医師にその旨を伝え、認知症の薬を他の薬に変更してもらい症状は改善しました。もちろん、他の認知症の薬に変更できない場合もありますし、昔の持病が再発する場合もあります。しかし、この事例のように、薬を変更によって薬を増やさず治療できる場合もあります。

 

※冒頭での事例は極端な例であり、すべての医師と薬剤師がこの通りではありません。



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