薬剤師の一般用医薬品離れ

わが国は、世界一の長寿を実現していると同時に、超高齢社会という問題を抱えています。

 

国民の健康への意識や要求は高く、セルフメディケーションに対する関心も高いことは事実です。しかし、その主役とも言うべき一般用医薬品の市場規模は、多くの医薬品が登場しているにもかかわらず長期にわたり伸び悩み、健康食品等の市場が拡大しています。

 

薬局薬剤師は、エビデンス(根拠)に基づいた費用対効果の高いセルフメディケーションを実現するため、一般用医薬品の供給および適正使用の推進と消費者への啓発活動に積極的に取り組むことが求められています。しかし、医薬分業が急激にすすみ、多くの薬局は処方せんによる調剤に特化しました。そのため、一般用医薬品の供給を担う薬局の比率は落ち込んでいます。この薬局薬剤師の「一般用医薬品離れ」の姿勢は、消費者の意識や消費行動にも影響を及ぼしています。

 

平成23年(2011年)11月に実施した矢野経済研究所の患者調査では、「あなたにとって薬局とはどのようなところですか?」との質問に対し、「調剤をしてもらうところ」91.1%、「薬について相談できるところ」60.3%、「健康や病気について相談できるところ」38.5%、「市販薬等を購入するところ」35.9%、「介護等、薬や病気以外のことも相談できるところ」16%でした。

 

調査結果は、薬局の基本的かつ重要な機能・役割である一般用医薬品の供給や相談応需業務が、消費者のイメージから薄れつつあることを示しています。この状況は、まさに薬剤師職能の危機であり、薬局がセルフメディケーションの拠点としてのイメージを回復させることともに、一般用医薬品の供給や相談応需をより一層行うことが必要とされています。

 

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