一般用医薬品(OTC薬)の成分・特徴
【一般用医薬品とは?】
病院などでもらう「処方箋」がなくても、手に入れることができる薬のことです。また、薬剤師のいるカウンターの後ろ(over the counter)に配置され、販売されることから、その頭文字をとり、OTC薬(OTC医薬品)とも呼ばれます。
商品の裏側などに薬の有効成分が書いてありますが、一般用医薬品を購入する際に迷う場合があるのではないでしょうか。本来ならば、薬剤師に相談して決めるといいのですが、恥ずかしくて聞けない場合もあると思います。一般用医薬品の有効成分(の名称の一部)とその特徴、使用上の注意点などを以下にまとめました。
詳しい特徴にいろいろな情報がありますが、有効成分の量によって効果が変わります。また、動物実験で効果があるからといって、人にも100%効果があるとは限りません。また、薬を使用する際は、使用上の注意や一般用医薬品の使い方をしっかり守り、自身のからだを守りましょう。
■解熱鎮痛薬
熱を下げる効果と、痛みを和らげる効果をあわせもつ薬です。炎症や痛み、発熱に関わるプロスタグランジンの合成を抑制し効果を発揮します。頭痛をはじめ、ほぼ全身の痛みに効きますが、神経性の痛みには効きづらいという特徴があります。また、小児や腎臓が悪い方、喘息の方の服用は注意が必要です。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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アスピリン(アセチルサリチル酸) | 胃粘膜保護のため、水酸化アルミニウム等と配合される場合がある。 |
アセトアミノフェン | 皮膚の血管を広げて熱を放散させ、痛みの感受性を低下させる作用がある。 |
イソプロピルアンチピリン | 効果は高いといわれるが、ピリン系にアレルギーがある方には注意が必要である。 |
イブプロフェン | スピリンと比較し、抗炎症作用は5-10倍、鎮痛作用は28倍、解熱作用は20倍である。(動物実験) |
エテンザミド | 鎮痛作用はサリチルアミドの2~3倍で、解熱作用も強く、かつ持続性である。(動物実験) |
サリチルアミド | 知覚神経末端で発痛物質ブラジキニンに拮抗することによっても鎮痛作用を示す。 |
サリチル酸 | |
ロキソプロフェン | すぐれた鎮痛・抗炎症・解熱作用を有するが、特に鎮痛作用が強力である。プロドラッグであり、胃腸障害は比較的少ないといわれる。 |
■抗炎症剤
炎症による腫れを和らげる(抗炎症作用)薬です。のどの腫れなどを改善するために使用されます。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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グリチルリチン酸 | 抗アレルギー作用とアラキドン酸代謝系酵素の阻害作用により、抗炎症作用を示す。 |
トラネキサム酸 | プラスミンの働きを阻止し、抗出血・抗アレルギー・抗炎症効果を示す。長期間の使用では、血管のつまり(塞栓症)のリスクがある。 |
ブロメライン | 飲み薬や塗り薬で使用される。抗浮腫作用が認められたとの報告がある。(動物実験) |
リゾチーム | 膿粘液の分解・排出作用を併せ持つ。卵白アレルギーのある方は使用できない。 |
■鎮咳剤
咳を抑える薬です。脳の咳中枢の働きを抑えることで、効果を発揮します。比較的早く効果が得られる(30分から1時間程度)場合が多いため、咳の症状があるときのみ使用されます。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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クロペラスチン | パパベリンと同程度の気管支筋弛緩作用と緩和な抗ヒスタミン作用を示す。(動物実験) |
コデイン | 効果は高いが、便秘や眠気の副作用や、連用による薬物依存など注意が必要である。 |
ジヒドロコデイン | 鎮咳作用は、コデインリン酸塩の約2倍といわれる。 |
ジメモルファン | コデインリン酸塩やデキストロメトルファンよりも優れた鎮咳効果を発揮する。(動物実験) |
チペピジン | 気管支腺分泌を亢進し気道粘膜線毛上皮運動を亢進することによる去痰作用を併せ持つ。赤味がかった着色尿がみられる。 |
デキストロメトルファン | 眠気に注意が必要である。 |
ノスカピン | |
ペントキシベリン | 咳嗽反射抑制作用はコデインの約1.5倍に相当することが認められている(ネコ)。眼圧が高い方(緑内障)の方は基本的に使用不可。 |
■気管支拡張剤
気管支を拡げる薬です。呼吸がしやすくなり、咳を抑える効果につながります。
有効成分の名称 |
詳しい特徴 |
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ジプロフィリン | カフェインの仲間であるため、カフェインが多く含まれるコーヒー・紅茶・栄養ドリンクと一緒に飲むと、副作用の手の震え・動悸などの危険があります。 |
プロキシフィリン | カフェインの仲間であるため、カフェインが多く含まれるコーヒー・紅茶・栄養ドリンクと一緒に飲むと、副作用の手の震え・動悸などの危険があります。 |
トリメトキノール | 抗アレルギー作用(ヒスタミン遊離抑制作用及びPCA反応抑制作用)も有することが認められている。(動物実験) |
メチルエフェドリン | 鎮咳作用及び抗アレルギー作用を併せ持つ。 |
メトキシフェナミン | 効き過ぎた場合には、手の震えや動悸が起こる場合がある。 |
■去痰剤
痰の切れを良くする薬です。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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L-エチルシステイン | 粘稠度低下作用(ヒト)、強力かつ迅速な粘液溶解作用、緩和な繊毛運動亢進作用と抗浮腫作用、各種血管作動薬(ブラジキニン,アセチルコリン等)による気管筋の収縮反応を抑制(動物実験)する。 |
L-カルボシステイン | 粘液線毛輸送能改善作用(ヒト)、粘膜正常化作用、気道炎症抑制作用、杯細胞過形成抑制作用、粘液構成成分調整作用(動物実験)を有する。 |
グアイフェネシン | 気管腺の分泌機能に対して促進作用を有する(動物実験)。鎮咳作用を併せ持つ。 |
ブロムヘキシン | 気管支粘膜及び粘膜下気管腺の分泌が活性化、酸性糖蛋白溶解・低分子化、肺表面活性物質の分泌促進、線毛運動亢進作用を有する。(動物実験) |
メチルシステイン | 粘液溶解作用、気道の粘液分泌促進作用を有する。(動物実験) |
■沈静剤
不眠症、不安緊張状態の鎮静に対する効果を発揮します。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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アリルイソプロピルアセチル尿素 | 穏和な鎮静薬で、痛みに伴う不安、不快感、恐怖心等の疼痛反応を除去することにより疼痛を緩和するとともに、鎮痛薬の作用を増強する。 |
ブロムワレリル尿素 | 大脳の興奮を抑制し、鎮静・催眠作用と抗痙攣作用を示す。作用の発現が早く、接続時間は短い。 |
■抗めまい剤
めまいを改善する効果を発揮します。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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ジフェニドール | 内耳障害にもとづくめまいを改善する。血流のアンバランスを是正、前庭神経路の調整、眼振抑制作用を有する。(動物実験) |
ジメンヒドリナート | 悪心・嘔吐・めまいを改善する。迷路機能亢進抑制作用、鎮吐作用を有する。 |
■興奮剤・利尿剤
ねむけ、倦怠感、血管拡張性及び脳圧亢進性頭痛を改善する効果を発揮します。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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無水カフェイン | 中枢神経興奮作用は神経機能を活発にして、不快感等の疼痛反応を除去することにより、疼痛を緩和します。さらに、血管性頭痛に対しては脳血管を収縮して鎮痛作用を示します。 |
カフェイン | 中枢:大脳皮質を中心とした興奮作用、末梢:心筋収縮力増強作用、血管拡張作用、平滑筋弛緩作用、利尿作用などを現す。 |
安息香酸ナトリウムカフェイン | 中枢:大脳皮質を中心とした興奮作用、末梢:心筋収縮力増強作用、血管拡張作用、平滑筋弛緩作用、利尿作用などを現す。 |
■抗ヒスタミン剤
湿疹、皮膚などのかゆみ、鼻水などのアレルギー症状に対して効果を発揮します。しかし、多くが眠気・口の渇き・便秘などの副作用があるため、車の運転などの危険な作業は行わないなど注意をしなければなりません。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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アリメマジン | |
カルビノキサミン | |
クレマスチン | |
クロルフェニラミン | |
ジフェニルピラリン | |
ジフェンヒドラミン | |
トリプロリジン | モルモット摘出腸管のヒスタミンによる痙攣に対し、クロルフェニラミンの約4倍の抑制効果を有する。 |
プロメタジン | モルモットにおける実験で、抗ヒスタミン作用は、ジフェンヒドラミンの約30倍強力である。イヌにおける実験で、アポモルフィンによる催吐作用をジフェンヒドラミンより強く抑制する。 |
メキタジン | ケミカルメディエーターの遊離抑制作用および拮抗作用により抗アレルギー作用を示すと考えられる。 |
■消化管運動亢進剤
消化管機能低下のみられる胃炎などを改善する効果を発揮します。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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ベタネコール | 甲状腺機能亢進症、気管支喘息、消化管及び膀胱頸部に閉塞、消化性潰瘍のある方には使用できないなど、注意点が多い。 |
カルニチン | 慢性胃炎の患者26症例にエントミン注200mgを1日1回200mg 1週間前後筋肉内注射した一般臨床試験において、73%の患者で食欲亢進等、自他覚的症状の改善を認めた。 |
■利胆剤
胆道(胆管・胆のう)系疾患及び胆汁うっ滞を伴う肝疾患を改善する効果を発揮します。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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ウルソデオキシコール酸 | 外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解に対する効果をあわせもつ。細胞障害性の強い疎水性胆汁酸と置き換わり、その相対比率を上昇させ、疎水性胆汁酸の肝細胞障害作用を軽減する(置換効果)。さらに、サイトカイン・ケモカイン産生抑制作用や肝臓への炎症細胞浸潤抑制作用により肝機能を改善する。そのほか、胆石溶解作用、消化吸収改善作用が知られている。 |
デヒドロコール酸 | 完全胆道閉塞、急性期の肝・胆道疾患、重篤な肝障害、気管支喘息、アレルギー性疾患のある方は基本的に使用できません。(禁忌) |
■消化酵素剤
人はもともと、食べ物を消化するための酵素を多くもっています。(唾液、胃液、膵液、腸液など)
消化異常症状の改善をするために、消化酵素剤を使用する場合があります。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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アミラーゼ | でんぷん中のアミロースやアミロペクチンを、単糖類や二糖類に変換する。 |
アミロリシン | でんぷん中のアミロースやアミロペクチンを、単糖類や二糖類に変換する。 |
ジアスターゼ | でんぷん中のアミロースやアミロペクチンを、単糖類や二糖類に変換する。 |
ジアスメン | でんぷん中のアミロースやアミロペクチンを、単糖類や二糖類に変換する。 |
タカヂアスターゼ | でんぷん中のアミロースやアミロペクチンを、単糖類や二糖類に変換する。 |
オノプローゼ | タンパク質分を分解する。 |
プロザイム | タンパク質分を分解する。 |
モルシン | タンパク質分を分解する。 |
オリパーゼ | 脂肪を分解する。 |
リパーゼ | 脂肪を分解する。 |
セルラーゼ | セルロースを分解する。 |
セルロシン | 繊維素を分解する。 |
サンプローゼ | タンパク質、でんぷん、繊維素を分解する。 |
ニューラーゼ | タンパク質、脂肪を分解する。 |
パンクレアチン | でんぷん、タンパク質、脂肪を分解する。 |
ビオジアスターゼ | でんぷん、タンパク質を分解する。 |
ヒロダーゼ | 耐酸性タンパク質分解酵素である。 |
ポリパーゼ | でんぷん、タンパク質、脂肪を分解する。 |
ボンラーゼ | タンパク質、脂肪を分解する。 |
膵臓性消化酵素 | でんぷん、タンパク質、脂肪を分解する。 |
■胃炎・消化性潰瘍治療剤
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、それに伴う痛みなどの改善に効果を発揮します。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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アルジオキサ | 肉芽形成・粘膜上皮再生促進作用、胃粘膜微小血管新生・血流改善作用、粘液合成分泌促進作用、胃酸の中和作用を有する。(動物実験) |
ゲファルナート | 胃粘膜抵抗性増強作用、胃粘液分泌亢進作用、胃粘膜微小循環改善作用を有する。(動物実験) |
スクラルファート水和物 | 胃液ペプシン活性の抑制、制酸作用、再生粘膜の発育促進及び血管増成作用が認められている。(動物実験) |
セトラキサート塩酸塩 | 胃粘膜微小循環の改善を主作用とし、胃粘膜内プロスタグランジンE2、I2生合成増加作用、胃粘膜粘液の保持及び合成促進作用等のいわゆるcytoprotective(細胞保護)作用とともに、粘膜内でのペプシノーゲンの活性化抑制・生成抑制、抗カリクレイン作用による胃液分泌の抑制等の攻撃系因子抑制作用を併せもち、防御・攻撃因子の両面に作用することにより胃粘膜病変を治癒させる薬剤である。 |
ソファルコン |
胃粘膜保護作用、胃血流量増加作用、胃粘膜血管拡張作用、胃粘膜修復促進作用、胃壁構成成分増加作用、抗酸化作用などの作用がある。(動物実験) |
テプレノン | 胃粘液増加作用、細胞保護作用、胃粘膜プロスタグランジン増加作用、胃粘膜血流増加並びに改善作用、脂質過酸化抑制作用などの作用を有する。(動物実験) |
ピレンゼピン塩酸塩水和物 | 胃液分泌抑制作用、抗ガストリン作用、防御因子増強作用などの作用を有する。(動物実験) |
メチルメチオニンスルホニウム | 慢性肝疾患における肝機能の改善にも効果を発揮する。メチルメチオニンスルホニウムクロライド(MMSC)は含硫アミノ酸の一種であり、天然に植物界、特にキャベツ等の新鮮な野菜に含有されている。MMSCが有する高エネルギー結合のMethyl基が、体内においてMethyl基供与体として作用し、抗潰瘍作用及び肝機能改善作用を示すと考えられている。 |
■制酸剤・胃粘膜保護剤
胃酸による胃への負担を減らすことができるため、胃や十二指腸の炎症や潰瘍を改善に効果を発揮します。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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サナルミン | 強力な制酸作用を有し、胃の酸度を長時間にわたって適度のpHに保つ。また胃液によってゼラチン状の被膜を形成し、胃粘膜を保護し、収斂作用により粘膜、小血管を縮小し潰瘍などによる出血を防止する。 |
ファモチジン | 胃粘膜壁細胞のH2受容体を遮断し、胃酸分泌を抑制することにより、胃・十二指腸潰瘍、胃炎等の治癒効果を示す。 |
乾燥水酸化アルミニウムゲル | ゲル状で胃内に分散し、両性化合物として過量の胃酸を中和する。中和速度は炭酸水素ナトリウムに比べればおそいが、中和にあたってCO2を遊離せず、二次的な酸分泌を起こさない。また、吸収されることも少ない。粘膜を被覆保護し、収れん作用を呈し、またペプトン、トリプシンを不活性化するなど、消化性潰瘍治療に適している。 |
合成ヒドロタルサイト | アルミニウムとマグネシウムを含み、胃酸を中和し、胃のpHを適した状態に保つ。 |
酸化マグネシウム | 制酸作用を呈し、その際二酸化炭素を発生しないため刺激が少ない。水に不溶性なので、炭酸水素ナトリウムに比較すると制酸性は遅効性で作用時間も長い。瀉下剤としても使用される。 |
水酸化マグネシウム | 胃内の塩酸を中和し、制酸作用を示す。その際、炭酸ガスを発生しないので、胃壁を刺激せず、二次的胃酸分泌を起こしにくい。 |
炭酸マグネシウム | 胃酸とは次のように反応する「MgCO3+2HCl → MGCl2+H2O+CO2」(炭酸ガスが発生する。) 制酸作用は弱く、その効力は酸化マグネシウムの約1/2である。 |
炭酸水素ナトリウム | 速効性、全身性の制酸作用を示す。ただし、胃液のアルカリ化によるペプシンの失活及び発生したCO2により胃粘膜を刺激して二次的に胃液分泌を促す。胃酸とは次式のように反応する。「NaHCO3+HCl → NaCl+H2O+CO2」また、粘液をアルカリ化することにより局所性の粘液溶解作用を示す。更に尿のpHをアルカリ性にし、尿酸の排泄を促進し、尿路結石を予防する。 |
沈降炭酸カルシウム | 不溶性カルシウム剤の一種で生産作用を呈し、また吸着作用もあらわすので、胃潰瘍及び胃酸過多症に制酸薬として用いる。 |
■鎮痛鎮痙剤
胃や十二指腸などの疾患における痙攣や疼痛(主に腹痛)の緩解の効果を発揮します。緑内障、前立腺肥大がある方は基本的に使用できません。また、多くが眠気・口の渇き・便秘などの副作用があるため、車の運転などの危険な作業は行わないなど注意をしなければなりません。副交感神経節及び神経筋接合部(末端)に作用して効果を発揮します(抗コリン作用)。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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スコポラミン | 激しい疼痛時に鎮痛・鎮静・鎮痙剤として用いられるほか、麻酔前投薬等にも用いられる。 |
チメピジウム | 鎮痙作用、胃液・遊離塩酸分泌抑制作用をを示す。(動物実験) |
ブチルスコポラミン | 鎮痙作用、消化管運動抑制作用、胃液分泌抑制作用、膀胱内圧上昇抑制作用を示す。(動物実験) |
メチルオクタトロピン | |
ロートエキス | 胃液分泌及び胃腸管の運動亢進を抑制する。軽度の局所麻酔作用をも有し、疼痛を緩解する。 |
■止瀉剤
下痢を抑える薬です。下痢はからだが悪いものを外に出そうとしている場合が多いため、悪い細菌が原因の下痢の時に使用すると病気が悪化する場合もあるため注意が必要です。また、下痢をしている時には脱水になりやすいため、しっかりと水分を摂取するよう心がけてください。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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タンニン酸アルブミン | 水に溶解せず、口腔、胃では分解を受けず収れん作用を現さないが、腸管内で膵液により徐々に分解してタンニン酸を遊離し、全腸管に緩和な収れん作用をあらわすことにより、止瀉作用を示す。基本的に経口鉄剤との併用、牛乳アレルギーのある方への使用はできない。 |
ベルベリン | 腸内腐敗、醗酵抑制作用、蠕動抑制作用、胆汁分泌作用(動物実験)を有する。 |
ロペラミド | 消化管輸送能抑制作用、蠕動抑制作用、抗分泌作用を有する。 |
次硝酸ビスマス | 収れん作用、粘膜面の被覆保護作用を有する。便の色が黒くなることがある。 |
次没食子酸ビスマス | (経口)精神神経系障害があらわれるおそれがあるので長期連続投与を避け、やむをえない場合には、原則として1ヵ月に20日程度(1週間に5日以内)の投与にとどめることとされている。 |
天然ケイ酸アルミニウム | 吸着作用を有し、胃及び腸管内における異常有害物質、過剰の水分又は粘液などを吸着し、除去せしめる。この吸着作用は腸管内では結果的に収斂作用、ひいては止瀉作用をあらわす。 |
■瀉下剤(便秘薬)
便秘の改善に用います。水分を増やす薬と、腸の動きを促進する薬に大別されます。腸の動きに関わる薬は、腸が動くことによる痛みが出やすい特徴があります。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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D-ソルビトール | 糖類下剤とよばれる。ソルビトールはフルクトースに代謝され、その浸透圧作用により腸管内の水分が増大して排便が誘発される。 |
カルメロースナトリウム | 通常量は、1.5~6gを、多量の水とともに服用する。(添加物としても使用される)腸管内で水分を吸収して膨張し、ゼラチン様の塊となって腸管壁を物理的に刺激する。この作用により大腸の蠕動運動を促進して排便を促す。 |
ジオクチルソジウムスルホサクシネート | 界面活性剤で、水分の少なくなった硬結便に水分を浸透させ、柔らかい便として排便を容易にする。 |
センノシドA・B | 大腸の動き(ぜん動運動)を高めて、排便をうながします。基本的に、妊娠している方には使用できない。 |
ピコスルファートナトリウム | 胃、小腸ではほとんど作用せず、大腸の蠕動運動を亢進させ、緩和な瀉下作用を示す。経口投与後はほとんど吸収されることなく大腸部位にそのまま到達した後、大腸細菌叢由来のアリルスルファターゼにより加水分解されて活性型のジフェノール体を生じ、このジフェノール体が大腸粘膜を刺激し、蠕動運動を亢進させると共に水分吸収を阻害することにより、緩下作用があらわれる。また一部吸収されたものはジフェノール体として胆汁中に排泄されるが、やはり大腸部位で局所的に作用すると考えられている。 |
ビサコジル | 結腸・直腸の粘膜に選択的に作用し、蠕動運動を促進する。腸粘膜への直接作用により、排便反射を刺激する。結腸腔内における水分の吸収を抑制し、内容積を増大する。 |
酸化マグネシウム | 腸内で重炭酸塩となり腸内の浸透圧を高めて腸内腔へ水分を引き寄せ、腸内容を軟化させるとともに、腸管内容物が膨張し、腸管に拡張刺激を与え、排便を促す。制酸剤としても使用される。 |
炭酸マグネシウム | 瀉下作用も弱くて硫酸マグネシウムに劣り、その作用は腸管内で炭酸水素塩を形成することによる塩類下剤効果によるものと考えられる。 |
■生菌剤
善玉の菌を補い、下痢や便秘の両方の症状を改善する効果を発揮します。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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ビオラクチス | カゼイ菌散。胃酸・胆汁酸等に対する高い消化液耐性を有する。乳児、幼児、成人および老人のいずれにおいても腸管内で増殖し、異常菌叢を正常化する。また、乳酸等各種の有機酸を産生し腸内pHを低下させ、起因菌、外来病原菌の抑制、ウレアーゼ活性の抑制、腸管からのNH3吸収の抑制および腸管蠕動亢進による腸管内有害物質、有害菌の排出等の作用を発揮する。 |
ビフィズス菌 | 腸内で増殖し、乳酸と酢酸を産生して腸内菌叢の正常化をはかり、整腸作用をあらわす。下痢と便秘を改善する作用を有する。(動物実験) |
ラクトミン | 乳酸等を産生して、腸内菌叢の正常化をはかり、整腸作用をあらわす。 |
ラクボン | 乳酸を産生して腸内の有害細菌の増殖を抑制する。腸内有害菌によるビタミンB1・B2・C等の分解を防止し、各種腸障害に対し、腸内生理的防護作用を果たす。 |
糖化菌 | アミラーゼを産生し、デンプンを糖へ分解する。そのためデンプンを分解できない乳酸菌の増殖を促進する働きがある。 |
乳酸菌 | |
納豆菌 | 腸内常在菌の増殖を促進して整腸作用を示す。下痢に対する早期改善作用。納豆菌が分泌する消化酵素と微生物に由来する各種消化酵素により、でんぷん、たん白、脂肪、せんい素を消化する |
■浣腸剤
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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グリセリン | 結腸内に投与して腸管の収縮頻度及び最大収縮力を検討した結果、収縮頻度においては生理食塩水投与群と統計学的に差は認められなかったが、最大収縮力は生理食塩水投与群に対して有意な収縮力の増大を示した。(動物実験) |
■回虫駆除薬
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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サントニン | 経口投与により、虫体は正常運動型から無秩序な運動型へ移行後、運動性を失い、腸管蠕動により下行する排出態勢を示す。サントニンは回虫のリン酸代謝、糖代謝及び生体内酸化機構を阻害する。 |
■消泡剤
お腹の張りなどを改善する効果を発揮します。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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ジメチコン | 小さなガス気泡の表面張力を低下させることにより破裂させ、一つの遊離気体に合体させることにより、微量で強力な消泡作用を示すことが認められている。内壁付着粘液の除去作用(動物実験)を有する。 |
■消化管運動調律剤
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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トリメブチンマレイン酸塩 | 消化管平滑筋に直接作用して、胃及び腸管の運動低下に対しては亢進させ、逆に異常亢進の場合には抑制的に働き、消化管運動を調律する。 |
■粘膜修復剤
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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アズレンスルホン酸 | 白血球遊走阻止作用を認めるとともに、肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用を示し、またカラゲニン、デキストラン等の各種起炎物質による浮腫、カラゲニン胸膜炎等、種々の炎症を抑制する。(動物実験) 炎症組織に直接作用するため、うがい薬や、目薬にも使用される。 |
■局所麻酔剤
胃炎、胃潰瘍に伴う疼痛・嘔吐に対する効果を発揮します。
有効成分の名称 | 詳しい特徴 |
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アミノ安息香酸エチル | 適用局所における知覚神経の末梢に作用して麻酔作用を発揮し、求心性刺激の伝達を遮断して鎮痛効果を示す。潰瘍化した表面、炎症粘膜面及び創傷表面などの痛みを寛解し、また胃粘膜刺激による嘔吐を抑制する。乳幼児への使用はできない。 |
オキセサゼイン | 局所麻酔作用、ガストリン遊離抑制作用、胃酸分泌抑制作用、胃腸管運動抑制作用を有する。(動物実験) |
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