まちの薬局での血液検査・尿検査等

平成26年4月1日、まちの薬局で血液検査・尿検査等が行えるように法律(臨床検査技師法)が改正され、薬局にも自動血圧測定器等の検査機器が設備されるようになっています。薬剤師は、検査結果に基づく医師への受診勧奨や食事・生活指導などを通じ、疾病の予防や早期発見・治療に貢献しています。

 

なかなか病院に行けない人にとって、短時間で血液検査等ができることは、「大きな病気の早期発見・予防」につながります。現在、実際に行っている店舗は多くありませんが、日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)等を踏まえての法改正であり、今後加速することが予測されます。

 

いいことだらけのように感じますが、安易に検査すると、をしてしまうかもしれません。

 

 

【薬局での検査】
以下の8項目の血液検査が、薬局で行えるようになりました。

どの病気と関連するのか 検査項目(血液) 備考
糖尿病 血糖値 血液中の血糖の量、食事のすぐ後では高くなります
糖尿病 HbA1c 血糖値の1-2ヶ月の平均の指標、食事の影響は少ないです
脂質異常症 中性脂肪 肥満・脂肪肝・動脈硬化と関連しています
脂質異常症 HDLコレステロール 動脈硬化の予防の指標でもあります
脂質異常症 LDLコレステロール 動脈硬化の予防の指標でもあります
肝臓の病気 AST(GOT) 肝臓が障害を受けると上昇しやすい値です
肝臓の病気 ALT(GPT) 肝臓が障害を受けると上昇しやすい値です
肝臓の病気 γ(ガンマ)-GTP アルコールが多かったり、肝臓が障害を受けると上昇しやすい値です

 

一般的な血液検査は、看護師さんに注射にて血を抜かれ、1~数日のうちに結果が知らされます。しかし、これら薬局での血液検査は、自己採血で(自分自身で血をとり)、数分で結果がわかります。

 

自己採血は、ちょっと怖いように感じますが、「細い針が素早く飛び出す器具」のボタンを1回おすだけで、簡単に採血を行うことができます。もちろん血が出ますので、痛みは多少あります。

 

ちなみに、血液検査以外にも尿検査(蛋白・糖)、肺年齢、骨密度などの検査を行える薬局もあります。

 

 

【医師会と薬剤師会】
平成26年12月17日、日本医師会会長の横倉義武氏と、日本薬剤師会会長の山本信夫氏は厚生労働省が定めた「検体測定室に関するガイドライン」を遵守するなど、4点を合意したとして共同で会見を行っています。

 

合意事項
(1)検査は原則、医療機関で行う
(2)薬局等で自己採血検査を行う場合にも、検体測定室に関するガイドラインを遵守する
(3)地域住民の健康は、かかりつけ医が中心として、多職種が連携して支えていく
(4)健康情報拠点事業の推進も、地域のかかりつけ医の十分な理解と、適切な指導のもとで行う

 

 

【医師と薬剤師の思い】
一部の意見ではありますが、医師は診察という医師の特権(職能)を脅かす「血液検査」を快くは思っていません。しかし、薬剤師は職能を拡大できるチャンスだと思っています。また、医師は血液を扱うことによる感染症のリスクによる地域の混乱を恐れており、薬剤師は病気の早期発見で地域の役に立ちたいと考えています。

 

 

【薬局での禁止事項】

禁止事項の詳細 得する情報
糖尿病である等、病気を診断することは禁止 検査後に、はっきりと物事を言われない場合があります。その場合、採血の基準値を聞くことで、得られた数値が正常なのかの目安を知ることができます。
「健康である」と言うことは禁止、健診を受けるように促さなければならない 簡易検査ですし、一度の検査では誤差もあります。毎回、健診を受けるよう言われますが、基準値ギリギリの方は健診をしっかり受けたほうが良いでしょう。
物品の購入を推奨してはいけない 自ら健康食品や、特定保健用食品購入することは可能です。しかし、健康食品等の効果に関しては、しっかりと見極める必要があります。
病気の疑いがあった際も、特定の医療機関を紹介してはいけない 基本的には、かかりつけの医院に相談することがいいでしょう。かかりつけ医がない場合は、薬局に幾つかの医療機関を紹介してもらえます。

 

 

【自己検査の現状】
自己血液検査は、1項目500円前後で行っている薬局が多いようです。実際、東京と徳島の薬局でのHbA1c自己検査を約3年半行った結果、約3,000人のうち3割近くが糖尿病またはその予備群の疑いで医療機関へ受診勧奨となりました。

 

もちろん、この3,000人は糖尿病治療中の方ではありません。(HbA1c値が6.5%以上であると糖尿病であることが疑われ、6.0~6.4%であると医療機関での検査が勧められる。)また、定期的な健康診断を受けていない方は44%であり、薬局での検査は、「糖尿病の早期発見の場」としても期待されています。



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