化学物質の健康被害から学ぶ
医療は日々進歩しており、先進医療などで「治せない病気はない時代」がきているように感じます。私も以前はそう思っていました。しかし、化学物質を扱う大阪の工場でおきた「胆管がんの健康被害」から、日本の医療や制度は不完全であり、まだまだ発展途中だということがわかります。医療・化学に対する「一般のみなさんの理解と参加」がなければ、今後も「医療の不完全さ」による健康被害はおこり続けてしまいます。
【胆管がん|大阪市の印刷会社】
この問題では、産業医の選任を怠ったことが、原因のひとつとされています。しかし、胆管がんを発症した方は17名です。この方々も病院や薬局等の医療機関にかかっているはずです。その段階で、早期に「なにかおかしい!」と医療者が気づくことができていれば、問題の拡大を防げたかもしれません。
ここでも、現在の医療の不完全さを痛感させられます。
日本では、「胆管がん」事案の発生だけでなく、精神障害を原因とする労災認定件数は増加しています。このため、平成26年6月25日、労働者の安全と健康の確保対策をさらに充実させるため、「労働安全衛生法の一部を改正する法律(外部サイトにリンク)」(平成26年法律第82号)が公布されました。
【今後の化学物質調査】
日本経済新聞によると、国は法改正で規制を強化したが、化学物質は毎年1,000種類以上増えており、「事前規制は限界」として企業側に対応を求めています。しかし、企業向けの講習会に人が集まらず中止になるケースもあるとのことです。
厚生労働省が確認できている化学物質は、2014年10月時点で約64,000種類です。このうち、肺がんなどのリスクのある「アスベスト」を含む8種類の化学物質を、重度の健康被害がある物質として製造禁止にしています。しかし、危険性の調査対象は全体の1%にすぎないというのが現状です。
身の回りには健康被害を起こしかねない化学物質が存在しています。
この現状を国民のひとりひとり(一般のみなさん)が理解し、何かおかしいと感じたら行動をおこすべきです。そうすることで、問題の拡大を防ぐことができるかもしれません。「医師」「薬剤師」「厚生労働省(化学物質管理に関する相談窓口)」などの専門家に対する相談も、きっと重要な行動となるはずです。