一般用医薬品とインターネット販売

一般用医薬品は、副作用などのリスクの度合いによって、「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」に分類されています。要指導医薬品ほどではありませんが、食品とは異なり、どの分類の医薬品も注意が必要です。そのため、多くの販売基準が法的に定められています。


【一般用医薬品ネット販売解禁】

一般用医薬品については、これまで「第3類」以外は、インターネットでの販売は認められていませんでした。

しかし、2014年6月12日、消費者の安全を確保しながらという条件下で、第1類と第2類の一般用医薬品もインターネット販売が可能になりました。

これは、2014年1月の最高裁判決や同年6月の日本再興戦略などを踏まえての結果です。(詳細はページ下部)

この際に、医薬品の区分を見直し、使用に特に注意が必要な一部の医薬品を「要指導医薬品」という新たな区分に位置づけて対面販売に限るという新たなルールがつくられました。一方、第1類、第2類、第3類のすべての一般用医薬品は、一定の条件の下、インターネットや電話などで販売できるようになりました。


【インターネット販売の危険性】
インターネット上には、一般用医薬品の販売許可を得ていない違法な販売サイトや、薬事法による安全性が確認されていない海外医薬品や偽造医薬品を販売しているサイトなどもあり、それらによる健康被害や消費者トラブルが多く発生しています。

厚生労働省は2014年6月13日、一般用医薬品のインターネット販売が解禁された12日に632店舗の販売サイトを確認し、店舗の写真を掲載していないなど「ルール違反のケースが延べ306件見つかり、改善を指導する」と発表しました。

また、2014年5月末時点で1028店舗のネット販売の届け出がありましたが、薬事法違反が疑われる35件のサイトを確認し削除しました。その多くが海外に拠点があるサイトであり、未承認の医薬品を広告していました。

2015年5月2日 NHKNEWSより引用 副作用のリスクが比較的高い市販薬を販売しているインターネットのサイトのうち半数近くが法律で義務づけられた「副作用などの情報」を提供していませんでした。

厚生労働省は去年6月にインターネットでの市販薬の販売が解禁されたのを受け去年10月から12月にかけて496のサイトを抽出し販売の状況について初めて調査しました。

その結果、副作用のリスクが比較的高い「第1類」と呼ばれる市販薬について、法律で義務づけられた薬の副作用などの情報を提供していなかったサイトは半数近い47%に上っていたことが分かりました。

このほか、定められた薬剤師による相談を行っていたサイトは63%、「子どもに薬を飲ませてもいいか」などといったメールで寄せられた相談に適切に回答していたサイトは87%などとなっていました。

未承認の医薬品を使用した場合、頭痛や動悸、胸の痛みやほてり等の目に見える症状だけでなく、肝機能や腎機能障害などの様々な健康被害が想定されます。

インターネットは便利ですが、危険と隣り合わせでもあります。より安心・安全なセルフメディケーションを行ために、薬や日頃の健康問題は、かかりつけ薬局の薬剤師に相談することをおすすめいたします。


【一般用医薬品販売サイトのチェックポイント】
  • 店舗の正式名称や住所が掲載されているか
  • 店舗の開設者や所管自治体など、許可証の内容が掲載されているか
  • 相談用の連絡先が掲載されているか
  • 実際の店舗の写真が掲載されているか
  • 勤務中の薬剤師などの氏名が掲載されているか
  • 医薬品の写真、使用期限が掲載されているか

各自治体に報告された販売サイトのホームページアドレスを、次のサイトから検索できます。一般用医薬品を購入しようとする店舗が、掲載されているか確認した後に購入することをおすすめします。
厚生労働省一般用医薬品販売サイト一覧

医薬品インターネット販売訴訟の最高裁判決

 

概要
平成21年5月25日、原告「ケンコーコム株式会社」等が第一類・第二類医薬品のインターネット販売を行う権利の確認等を求め、国を相手に提訴。
平成22年3月30日、東京地裁判決にて国勝訴。
平成24年4月26日、東京高裁判決にて国敗訴。
平成25年1月11日に、最高裁判所にて国敗訴。

 

最高裁判決の概要
○ 薬事法の規制は、医薬品の安全性の確保等のためであり、規制の具体化に当たっては、厚生労働大臣の医学的ないし薬学的知見に相当程度依拠する必要がある。

 

○ インターネットによる郵便等販売に対する需要は現実に相当程度存在。郵便等販売を広範に制限することへの反対意見は、一般消費者のみならず、専門家・有識者等の間に見られ、政府部内にも根強く存在。旧薬事法の下では違法とされていなかった、郵便等販売に対する新たな規制は、郵便等販売を事業の柱としてきた者の職業活動の自由を相当程度制約することが明らか。これらの事情の下で、郵便等販売を規制する省令の規定が、委任の範囲を逸脱したものではないというためには、立法過程での議論も斟酌した上で、新薬事法の規定を見て、委任の趣旨が規制の範囲や程度等に応じて明確に読み取れることが必要。

 

○ 新薬事法の各規定では、文理上は郵便等販売の規制等が規定されておらず、また、それらの趣旨を明確に示すものは存在しない。さらに国会審議等で、郵便等販売の安全性に懐疑的意見が多く出されたが、郵便等販売に対する新薬事法の立場は不分明であり、その理由がうかがわれないことからすれば、国会が新薬事法可決に際して第一類・第二類医薬品の郵便等販売を禁止すべきとの意思を有していたとは言い難い。そうすると、新薬事法の授権の趣旨が、第一類・第二類医薬品の郵便等販売を一律に禁止する旨の省令の制定までをも委任するものとして、明確であると解するのは困難である。

 

○ したがって、省令のうち、第一類・第二類医薬品について、郵便等販売をしてはならない等とする規定は、これらの各医薬品に係る郵便等販売を一律に禁止することとなる限度において、新薬事法の趣旨に適合するものではなく、新薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効である。

 

日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)(抜粋)

 

二.戦略市場創造プラン
テーマ1:国民の「健康寿命」の延伸

 

一般用医薬品のインターネット販売
一般用医薬品については、インターネット販売を認めることとする。その際、消費者の安全性を確保しつつ、適切なルールの下で行うこととする。

 

ただし、「スイッチ直後品目」及び「劇薬指定品目」については、他の一般用医薬品とはその性質が異なるため、医療用に準じた形での慎重な販売や使用を促すための仕組みについて、その成分、用法、用量、副作用の発現状況等の観点から、医学・薬学等それぞれの分野の専門家による所要の検討を行う。秋頃までに結論を得て、所要の制度的な措置を講じる。

 

検討に当たっては、インターネット販売か対面販売かを問わず、合理的かつ客観的な検討を行うものとする。

 

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