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心不全と合併症

心不全は全身性の疾患で、いろいろな臓器に合併症を起こします。合併症は心不全の病態を悪化させ、予後を悪化させる危険もあります。代表的な合併症として、低血圧、うつ状態、左室容積拡大、左心室駆出率低下、左室肥大、心拍数増加、慢性腎臓病、貧血、不整脈、睡眠呼吸障害などがあります。これらには交感神経系・RAA系の亢進が関連しています。
※予後…病気にかかった者について、その病気がたどる経過と結末に関する、医学上の見通し。

 

慢性腎臓病と貧血
慢性腎臓病(CKD)の患者の多くは、末期腎臓病になる前に心血管病で死亡することが知られています。心不全の35~70%にCKDの合併が認められます。心不全では糸球濾過量が低下し、心不全の予後の悪化をまねきます。

 

貧血は心不全患者の20%以上に合併が認められます。心血管病に合併する貧血は、糸球濾過量の低下やエリスロポエチンなどの異常によることが多いのです。

 

不整脈
心不全は心筋細胞の異常であり、不整脈が起りやすい状態であることは当然です。心房細動の合併率は10~30%、期外収縮や3連発以上の心室性不整脈は40~70%に認められます。これらは、心不全が重症になるほど増加します。

 

心不全時の心室性不整脈は、左室拡大や収縮機能低下のある患者ほど頻度が高く、予後不良の予測因子となります。心不全時では不整脈に関連する突然死の頻度が高く(30~50%)、NYHAⅡ~Ⅲ度の症例で最も多いといわれています。

 

心室頻拍・細動が起こることが多く、これは致死性の不整脈です。つまり、心不全患者では、左室駆出率の低下と心室性不整脈の出現が予後に大きく関与しています。不整脈の機序は、いずれもリエントリー性であるといわれています。(否定する意見もあります)

 

障害された心筋では、伝導速度が遅くなりリエントリー回路ができ、活動電位(電位差)の変化が生じて撃発活動や異常自動能が生じやすくなるのです。

 

睡眠呼吸障害
睡眠中に発生する呼吸障害を総称して睡眠呼吸障害と呼びます。心不全患者では、高頻度に睡眠呼吸障害を合併するようです。

 

心臓はこのように話します。

心臓が弱るといろんなところが悪くなるから苦しいよ。
何とかしてくれないかなぁ・・・。
でも、心不全になったら、もう終わりだなどと言わないでくれよ!

 

ストレスが心不全につながる

人は心理的・精神的・肉体的ストレスのなかで活動しています。過度のストレスは病気を引き起こします。そして、慢性的な強いストレスは、動脈硬化や心筋梗塞、心室細動などを起こす場合があります。

 

高齢になると、ストレスに対する防御機構が低下し、心臓に対する病的リモデリングが促進します。その結果、心不全になる可能性のあることが、心疾患モデル動物で解明されつつあります。

 

ストレスと心不全の関係

出典:心不全と向き合うコツ

 

続いて、心臓が機能を失う仕組み|心臓と心不全

 

 

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