熱中症と脱水症状の関係

 

夏になると汗をかく機会が増え、脱水症や熱中症の危険が増えます。

 

脱水症状を放置すると、熱中症の危険な症状がおこってしまいます。

 

人の体液（水分）は、筋肉によって保持されている。

 

脂肪の多い人はからだの中の体液が少ない。

 

体液は、汗による体温調節、栄養素や酸素を運ぶ、老廃物を運ぶなどの重要な働きをしている。

 

通常、からだに入ってくる水分（代謝水、食べもの、飲みもの）と、からだから出ていく水分（尿、便、汗、不感蒸泄）は、ほぼ同量です。

 

不感蒸泄とは、皮膚や気道から蒸散する水分をさす。

 

汗のように自覚するものを除きます。

 

大人の不感蒸泄は、1日あたり「体重×15（mL）」と計算される。

 

つまり、体重50kgの成人は、1日で750mLの水分が、無自覚のうちに失われます。

 

これらは体温や気温によっても変化する。

 

 

水分と塩分（電解質）が失われた状態が脱水症です。

 

脱水状態では、血管と細胞の間で栄養素や酸素が行ったり来たりができにくくなり、老廃物が蓄積してしまう。

 

体重50kgの方を例に、脱水の重症度を以下に示します。

 

 

慢性型（高張性脱水症）：食欲低下、病気療養、加齢によって体液が徐々に減少することでおこる。

 

塩分などの電解質により体液が多く失われる。

 

からだの中のナトリウムが多い状態である「高Na血症」がおこります。

 

のどが渇きやすい特徴がある。

 

 

急性型（低張性脱水症）：熱中症、胃腸炎による下痢嘔吐などによって、急速に体液が減少する。

 

このとき、塩分などの電解質をとらず、水やお茶を大量に摂取すると体液が薄まる。

 

からだの中のナトリウムが少ない状態である「低Na血症」がおこります。

 

のどの渇きはおこりにくい。

 

からだの水分が不足すると…

 

 

・脳の血流が不足する。

 

→めまい、立ちくらみの症状がおこる。

 

また、消化器への血流が不足し、食欲低下。

 

 

・汗をかけないことで、微熱がおこります。

 

 

・心拍数増加（頻脈、不整脈）。

 

 

・ナトリウムなどの電解質が不足することで、筋肉の動きがおかしくなる。

 

→こむら返り、筋肉がつる症状、痛みなどがおこります。

 

・のどの渇き、口の中の渇き

 

・だるさ、ふらつき、食欲の低下

 

・尿量の減少

 

・手が冷たい（末梢の血流不足）

 

・舌に乾き有り（唾液の減少）

 

・爪を押して赤みが戻りにくい

 

・皮膚をつまむ→弾力性低下（つまんで3秒以上戻らない）

 

・脇の下に乾きが有る

 

・病院の検査→脈が増える、血圧低下、ヘマトクリット、尿が濃くなる

 

※ヘマトクリット…血液検査のひとつ。詳しくはこちらのページへ

 

高齢者

 

・腎臓の衰えによって尿量が増加する

 

・利尿薬の服用

 

・筋肉量の低下

 

・飲水量の減少（失禁を怖れて）

 

・認知機能の低下など

 

 

小児

 

・不感蒸泄が多い

 

・汗腺が未発達

 

・遊びに夢中

 

・発熱で脱水

 

※不感蒸泄とは、皮膚や気道から蒸散する水分。

 

・二日酔い、夏バテ

 

消化機能の低下がおこり、消化不良、吸収不良によって脱水症がおこる。

 

症状として、吐き気、食欲低下、下痢、便秘、頭痛など。

 

 

・熱中症

 

初期症状は脱水症。

 

汗がかけないと微熱やこもり熱が出る。

 

→熱中症の重症化につながる。

 

 

・胃腸炎

 

嘔吐下痢によって脱水症がおこる。

 

体液量が低下し、臓器への血流が低下。

 

→多臓器不全（心、肝、腎）から死に至る危険がある。

 

 

・インフルエンザ
高熱から消化機能が低下する。

 

→下痢や嘔吐、消化不良、吸収不良から脱水症に。

 

多臓器不全（心、肝、腎）から死に至る危険がある。

 

 

・認知機能低下（高齢者）、集中力低下（若い人）

 

認知症や集中力の低下があると環境の変化に対応できなくなる。

 

水分が摂取できないなど、脱水症に。

 

→脳への血流が不足し、さらなる認知機能低下やせん妄がおこる。

 

 

・めまい、立ちくらみ

 

脱水症によるめまい、立ちくらみ

 

→転倒、骨折の危険。

 

 

・皮膚のトラブル

 

脱水症は皮膚の乾燥を悪化させる。

 

皮膚のバリア機能が低下し、皮膚にバイ菌が侵入すると皮膚病、褥瘡（じょくそう）につながる。

 

※褥瘡（じょくそう)…臨床的には、患者が長期にわたり同じ体勢で寝たきり等になった場合、体と支持面（多くはベッド）との接触局所で血行が不全となって、周辺組織に壊死を起こすものをいう。

 

 

・膀胱炎、尿路結石

 

脱水症は、尿のうっ滞と濃縮尿につながる。

 

泌尿器感染、尿路結石の原因に。

 

 

・口臭、歯周病

 

脱水症は口内乾燥を悪化させる。

 

口内のバイ菌増殖、口臭、歯周病、味覚異常につながる。

 

 

・肺炎、気管支炎

 

脱水症によって痰(たん)が硬くなり、バイ菌が除去できにくくなる。

 

→肺炎、気管支炎に。

 

 

・血液ドロドロ

 

脱水症によって、血の塊ができやすくなる。

 

血管が詰まると脳梗塞、心筋梗塞の危険に。

 

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