顧客満足のためのクレーム対応(後編)

私が学んだ「クレーム対応」に関する研修をまとめました。前編ではクレームの概要を、後編(このページ)では具体的な対策を学べます。

 

【クレーム対応の具体的な流れ】

  1. 傾聴と共感
  2. 謝罪
  3. 事実確認・状況把握
  4. 丁寧な説明
  5. 感謝とお詫び

この順で行うことが基本ですが、相手は人間ですので型にはまるとは限りません。大切なのは臨機応変な対応です。そして、クレーム対応後は、店舗や社内で情報の共有を行い、必ず「再発防止」を徹底するように対策しなければなりません。

 

【1.傾聴と共感】
クレーム発生時、まずは聴き役に徹します。相手の話にじっくり耳を傾け、相手の気持ちに共感して最後まで話を聴きましょう。聴く姿勢が重要です。傾聴と共感ができると、相手は、言いたいことを全て伝えられたため「気持ちを理解してもらえた」と感じてくれます。この際に、「話を途中で遮らない」「反論しない」「言い訳や責任転嫁をしない」ように注意してください。

 

 

共感の表現

 

 相手をいらだたせてしまう表現

 
【2.謝罪】 
謝罪には、色々な議論があります。弁護士の話では、事実関係が分かるまで謝ってはいけないと言われることも多いです。謝罪するかしないかは、状況によって異なると思います。後々のトラブルを避けるため、責任の範囲を限定して謝罪することが大切である場合があります。

 

つまり、「心情を害してしまったこと」に対して(のみ)謝罪をします。不快な気分にさせた事実に対して誠意ある謝罪をすると、相手の感情を和らげることが期待できます。この際に、「口先だけ」の謝罪で、誠意のある態度が出ない場合は謝罪の意味がありません。相手の心情に共感しながら謝罪することが大切です。

 

限定的謝罪のための文言

大変な思いをさせてしまったようで・・・
ご不快な思いをさせてしまったようで・・・
ご不便をおかけしてしまい・・・
ご負担をおかけしてしまい・・・
お時間を取らせてしまい・・・
ご不信を抱かせてしまったようで・・・
説明が不十分で・・・

「ごめんなさい」や「すみません」ではなく、「申し訳ありません」や「申し訳ございません」を使用するよう心がけてください。

 

【3.事実確認と状況把握】
相手が落ち着き、聞く耳を持ってくれた後に実施します。こちらが知りたいことを質問し、真実の確認と状況の把握を進めます。曖昧な点はしっかりと確認しなければ、後々問題になりかねません。この際に、「復唱」を行うことが大切です。

 

真実確認と状況把握のための文言
先ほどもお聞きしたと思いますが、もう一度お聞かせ願えますか?
先ほど、こうおっしゃっていたと思いますが、これでよろしいでしょうか?

 

真実確認と状況把握で確認すべきポイント
何に対するクレームなのか?
どのようなことが不満なのか?
なぜ不満に思っているのか?
どうしてほしいと思っているのか?

 

謝罪が欲しいのか、保証(金銭など)が欲しいのか、真の要求を聞き出すことが大切です。また、できないことはできないと言うべきです。この際には、メモに残したり録音すると有効です。会話ですので、こっそり録音しても良いのですが、「こっそり録音」は刑事事件に発展した時には証拠として使えないようです。

 

大きな問題になりそうであれば、「重要なことなので録音させて頂きます」などと伝え、こっそりの録音でなければ証拠として使えるそうです。この際に、録音するという発言や行動が、暴言などの抑止力となる場合と、怒らせてしまう場合とがあるため、タイミングなど慎重に行わなければなりません。

 

また、民事事件であればこの通りではありません。民事の場合は解釈が異なり、こっそり録音でも証拠として使えるようです。相手が暴れたり、暴力や不当請求をする場合は録音をしておくと後々の役に立つかもしれません。

 

【4.丁寧な説明】
誠意を持って丁寧な対応を心がけることが大切です。相手が勘違いして間違っている場合でも、こちらから指摘するのではなく、自身で気づいてもらうように対応することが理想です。

 

 

【5.感謝】
日本人の多くは、後ろめたさを感じながらクレームを伝えています。相手がクレームを言ってくれたと感謝をすることが大切です。感謝の気持ちを伝えて、負の感情を打ち消してもらいましょう。

 

 

感情を和らげるための「三変法則」
誠意ある態度で接しても、相手の怒りや興奮が収まらないこともあります。納得してもらえない状況の時は、「場所」「」「時間」を変えることで、うまくいく場合があります。

 

場所を変える:ゆっくり話を聴ける体制の部屋に変えるなど、ゆっくり座って話ができる環境は、興奮を鎮めるのに効果的です。
人を変える:上司や担当部署の人に変えることで、「自分の考えや態度を相手に適応させよう」と理性が働き冷静になりやすくなります。
時間を変える:事情を調べるための猶予をいただき日時を変えることで、時間の経過と共に冷静に話をしやすくなります。

 

以上の内容は、不満や苦情、疑問などを持った相手に対しての対応です。誠意ある行動で顧客満足を目指すべきです。しかし、中には金品を要求するような悪質クレームに対しては毅然とした対応で、リスクマネジメントを行わなければなりません。

 

 

【薬剤師じゃなくても薬がわかる本】

 

 

 

 

 

 




Sponsored Link
Sponsored Link