納得して医療をうけるために

現在、納得して薬を飲んでいますか?説得されて薬を飲んでいる方が多いように感じます。納得して医療をうけること(薬を飲むこと)は、医療の目的のひとつでもある「生活の質(QOL)をあげるため」にも大切です。

 

 

【説得から納得へ】
実際にあったでき事です。本日、1人の患者さんが1年ぶりに薬局にいらっしゃいました。1年前に、この患者さんに対してコレステロールを下げる薬を30日分お渡ししていました。

本日お薬をお渡しする際の私と患者さんのやりとり
私 「1年ぶりですが、お薬は続けられていましたか?」
患者さん 「いやぁ、30日分飲んでそのまま放置してました。」
私 「今日も1年前と同じ薬が出ていますが、何のための薬か、お医者さんと話しましたか?」
患者さん 「はい。コレステロールを下げるために飲むつもりです。なかなか忙しくて・・・」

 

患者さんのおっしゃることは、あながち間違いではありません。しかし、「コレステロールを下げることだけ」が今回の治療の目的ではありません。コレステロールを下げることで動脈硬化を予防し、心臓と脳の病気(心筋梗塞を中心とした心血管系疾患、脳梗塞・脳卒中を中心とした脳血管障害)を予防することが、本来の目的なのです。コレステロールは長年かけて血管の中にたまっていきます。つまり、コレステロールを下げる薬(脂質異常症の治療薬)は、続けて服用しコレステロールをいい状態に保つことが大切です。そうしなければ、動脈硬化の予防をすることはできません。

 

このことを患者さんにお伝えした結果、納得して帰られました。

 

医療者に「数値が悪いので、薬を飲まないといけません。」と説得されて薬を飲むのではなく、納得して薬を飲むことが、薬を適切に使用するために非常に大切です。

 

 

【まとめ】
上記は、薬を飲む本当の目的(メリット)を理解していなかったため、薬を飲むことを自己判断で中止した事例です。1年前に薬をお渡しした際に、薬剤師(医師)がしっかりと「薬を飲むことを納得」させられていなかったことも大きな原因のひとつです。しかし、残念ながら、このようなケースは頻繁に起こっています。薬剤師、医師などの専門家も完璧ではありませんので、一般のみなさんの医療への参加理解がとても大切です。

 

まずは、納得して薬を飲むことを意識してみてはどうでしょうか。

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