鼻の役割と鼻呼吸をすべき理由

【鼻の役割】
鼻は、体内環境を守る空調管理システム
・空気洗浄…空気にはほこりやごみ、細菌などいろいろな異物が含まれており、鼻毛や鼻の粘膜がこれらの異物の大部分を取り除きます。
・加湿…乾燥した空気が肺に送られると、肺は傷みやすくなります。乾燥した空気が鼻に入ってくると、鼻腔で湿り気を与え、肺が傷つかないようにします。
・温度調整…肺での呼吸に最適な空気の温度は約37℃といわれています。鼻腔で空気を温めたり、冷やしたりして、最適な温度に調整します。

 

空気を取り入れ、においを嗅ぐ
鼻の奥(鼻腔)の壁には上中下段からなる「鼻甲介(びこうかい)」という棚がついていて、吸い込んだ空気はこの棚の間を通り抜けます。においを感知する嗅細胞が鼻甲介の上段の天井についており、空気中に含まれるにおい物質の分子が嗅細胞に触れると、嗅神経を通じて脳にその刺激が伝わることで、においを感じます。においを嗅ぐときに鼻をクンクンさせるのは、空気を強く吸い込んで、におい物質の分子が嗅細胞に早く達するようにするためです。

 

 

【鼻呼吸をすべき理由】
口は補助的な役割
私たちが口呼吸をするのはどんなときでしょうか。一般に、鼻がつまったとき、激しい運動をしたとき、外気が非常に高温または低温のときなどです。つまり、口呼吸はあくまでも鼻呼吸の補助であり、通常の呼吸は鼻でするべきなのです。

 

口呼吸がもたらす健康トラブル
口は鼻のような空調管理システムをもっていません。そのため口呼吸を行うと、口の中が乾燥し、唾液による殺菌消毒作用が不十分になります。また、空気中の細菌やウイルスが喉の奥にある扁桃と呼ばれる免疫機能をもつ組織にダメージを与え、免疫力を低下させ、さまざまな病気にかかるリスクを高めます。

無意識に口呼吸していませんか?

あなたはいくつ当てはまりますか?

 

○いつも口を開けている
○口が乾きやすい
○いびきをかく
○寝ているとき歯ぎしりをする
○鼻がつまりやすい
○喉が弱く風邪をひきやすい
○唇が乾燥してかさぶたができてめくれる
○唾液の量が少ない
○舌に歯形がついている
○口臭が強い

 

この中でひとつでも当てはまる人は口呼吸をしている可能性があります。

 

 

【口呼吸の原因はなにか?】
唇が閉じにくい
唇が閉じにくいと必然的に口が開きがちとなり、口呼吸となってしまいます。唇が閉じにくくなる主な原因として、乳幼児に口唇閉鎖が獲得できなかったり、高齢による唇や顔面筋の衰えが挙げられます。そのほか、嚙み合わせや歯並びが悪い場合、アゴが小さい場合も唇が閉じにくくなります。

 

鼻づまり
鼻づまりがあると、鼻腔を通る空気の流れが悪くなり抵抗が大きくなるため、十分に空気を体内に取り入れられません。それでは酸素不足になってしまうので、口呼吸により酸素を取り入れようとします。鼻づまりの原因で最も多いのが、副鼻腔炎や風邪、アレルギー性鼻炎などの炎症で鼻粘膜が腫れるタイプです。これらにかかっているときはきちんと治療して、口呼吸のクセがつかないようにしましょう。

鼻呼吸をする!

【口呼吸の練習】
・ブローイング練習
コップに入った水にストローをさし、息をぶくぶくと5秒間吹き、ストローを唇から離さずに、鼻から息を3秒吸います。これを数回繰り返します。呼吸筋を強化し、口と鼻の呼吸機能の切り換えの練習として有効です。

 

あいうべ体操
口を閉じたときの舌の位置を正常に戻す体操です。大きく口を開けて「あー」「いー」と言ったあと、「うー」と口を強く前に突き出します。次に「べー」と舌を精一杯前に伸ばします。これを1セットとして、1日30~60セット行いましょう。

 

・タングアップ練習
舌の先を上の前歯のすぐ後ろの歯ぐきにつけて、舌全体を上アゴの前方にぴったりとくっつけます。舌で上アゴに蓋をかぶせたような状態となり、口は喉と遮断されるため空気は口の中を通ることができません。これを長く続けられるようにします。

 

 

正しい舌の位置は?
タングアップ練習で示したように、舌全体が上アゴにぴったりと吸いついている状態が正しい舌の位置です。舌が正しい位置にないと、口呼吸になるだけでなく、歯並びが悪くなったり、受け口や出っ歯になったり、さらには発音も悪くなります。

 

生まれたときはみんな鼻呼吸らしい。
人間は生まれたときから1歳くらいまでは鼻呼吸だけをしています。その証拠に、赤ちゃんは乳首をくわえたまま母乳を吸い続けます。ところが離乳食が始まると、唇の開閉ができるようになり、口呼吸を覚えます。この時期に、例えばスプーンで離乳食を与える際に、「ムー」と口を閉じさせてからスプーンを抜くなど、唇を閉じることを学習させる「口育」が大切です。

鼻の正しいケア

鼻のかみ方
片方ずつかむのが基本です。口から息をたっぷり吸い込んだら口を閉じ、一度に力を入れないでゆっくりと、少しずつかみます。

 

鼻うがい
市販の鼻洗浄器や洗浄液を使うと便利です。下を向いて、洗浄する側の反対側に頭を傾けるのがコツです。

 

点鼻薬の使い方
鼻をかみ、手を洗ってから点鼻薬を使います。市販の点鼻薬は、使う頻度や期間に注意が必要です。使用前に薬剤師に確認しましょう。

 

マスクのつけ方
マスクのひだを下向きに、針金がついているほうを上にして、顔との間にできるだけ隙間ができないように装着します。

 

鼻づまりの応急処置
鼻づまりで眠れないときには、蒸しタオルを鼻にあててみましょう。鼻孔が広がり、粘膜の血流がよくなって、一時的に鼻の通りがよくなることがあります。左右の小鼻の上のくぼみあたりの迎香というツボを押すのもよいでしょう。

 

 

参考:class A 薬局の健康情報紙 ライフ

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