心臓の動きと細胞膜を通るポンプ
Na「細胞内と細胞外に、電位差のある状態(分極状態)のつくり方を説明しよう。細胞内と細胞外の間には、細胞膜がある。基本的に、俺たち(Na、Ca、Kイオン)が細胞膜を通過することはできない。そこで、細胞膜を通過する道(ポンプ・交換系・チャネル)があるんだ。」
各種イオン(Na、Ca、K)が、細胞内と細胞外を通過するためには、それぞれ道が必要です。その道は、本来数多く存在しますが、今回は5種類を紹介します。この道に関しては、細胞内外の行き来だけでなく、細胞内のイオンを筋小胞体に入れ込む場合も同様です。
Na-Kポンプ
Na「まずは、Na-Kポンプだ。からだのエネルギーを使って、細胞から俺(Na)を外に出しKを入れるんだ。ポンプで外に出された(Na)は、もう細胞内には入れない。Kも入れられたら細胞外に出ることはできないんだ。」
Caポンプ
Na「Caは細胞の内にある部屋(筋小胞体)に入ってもらおう。その部屋に入らせるポンプがCaポンプだ。この部屋からカルシウムが飛び出ることは、心臓の収縮に関係があるんだ。」
Na/Ca交換系
Na「筋小胞体の外(細胞内)に残っているCaを出すために、俺(Na)とCaが交代できる道(孔)がある。それが、Na/Ca交換系だ。俺(Na)とCaが移動したいと思ったら、どちらにでも自由に動ける道なんだ。」
Kチャネル
Na「Kは細胞の内に無理やり閉じ込められている。そのために、Kが細胞内と細胞外を自由に通過できる道がある。それがKチャネルだ。そんな道(Kチャネル)があると、細胞外にKが飛び出すと思うかもしれないが、そうはならない。なぜなら、細胞外には俺(Na)たちがいっぱいいるんだ。つまり、細胞外はプラスの電荷でいっぱいで、プラスの電荷をもつKは反発して簡単には出られないんだ。」
T型/L型 Caチャネル
Na「心臓の細胞が興奮する準備ができたらすぐに開くT型Caチャネル。そして、電位差が-30mVあたりで開く、L型Caチャネルがあるんだ。」
静止状態
Na「これらの道(ポンプ・交換系・チャネル)をうまく使い、安定した状態をつくるんだ。」
Na「この状態では、Kは細胞外に出られないし、俺(Na)もCaも細胞内に入れない。この状態を静止状態というんだ。この状態では、細胞内と細胞外には約-80から-90mVの電位差が生まれている。この電位差があることで、心臓が動くんだ。」
続いて、洞結節の細胞を興奮させて伝達する
関連ページ
第3章 “動く心臓”のつくりかた
▶動く心臓をつくるためには
▶心臓の動きとNa,K,Caイオン
▶洞結節の細胞を興奮させて伝達する