日本の医療費と残薬の解決方法
一度、ご自身や家族の薬をご確認ください。必要以上に、薬を所持していませんでしょうか?誰にでもあることですが、飲み忘れや病院受診の間隔によって、薬が余ることが実際に多く起こっています。この余った薬(家に眠っている薬)のことを残薬といいます。
平成24年度より、薬剤師による残薬の確認が本格的にはじまりました。実際には、「本来もらうべき薬の数」から「余っている薬の数」を引き算し、患者さんに薬をお渡し(残薬調節)します。この作業を行うことで、薬を捨てることなく有効利用することができます。
一見単純そうですが、患者さん自身のお会計が安くなり、さらには医療費の節約を行うことができるのです。また、残薬を調節すると、自身だけでなく小さいお子さんが間違って薬を飲む危険性を減らすこともできます。
残薬を確認する際に、薬剤師は「患者さんは昼が飲みづらいのか?ならば、医師に1日1回のタイプの薬への変更を提案しよう。」など、患者さんの服薬状況(薬の飲みやすさなど)をみており、必要に応じて患者さんや医師に「より飲みやすい薬の情報提供など」を行います。
また、この取り組みは、2014年7月にテレビ東京のNewsアンサー内でも放送されました。
【薬局での薬学的管理の現状】
厚生労働省資料
患者さんが医療機関で、薬の処方が行われた後の流れを示しています。医療機関で処方箋が発行され、その処方箋をもって薬局に行きます。その後、薬局で薬を安全に服薬できるのか確認を行います。問題ない場合のみ、患者さんが薬を服薬することができます。残薬がたくさんある場合は、間違って飲む危険性を考え、薬をお渡しできない場合があります。
【薬局での残薬調節の仕組み】
おうちに余ってる薬(残薬)の数量を確認しメモ等を行い、薬局にお越し下さい。この際、30個くらい余っていた気がする・・・等、記憶に頼って失敗するケースが多いです。薬局で薬をお渡しする行為(調剤)は、病院の診察等と同様に後戻りできません。
つまり、残薬調節を間違った場合、すぐに薬をもらうことができませんのでご注意ください。(基本的には、もう一度診察を受けないと処方箋、それにもとづく薬をお渡しできません)
残薬調節には、多少時間がかかる場合があります。しかし、残薬を調節することを医師に伝えなければ、この残薬調節は行えません。この際、医師に怒られるのではないかとおっしゃる方が多いですが、残薬がない方のほうが珍しいです。残薬が発生するということは、薬の出し方(医師)や薬の説明(薬剤師)に問題があるかもしれません。
なぜ飲めなかったのか、医師や薬剤師と共に考えることで、生活のスタイルに合わせて薬を飲めるようになる場合もあります。例えば、「朝昼夕の薬が処方されていますが、昼は仕事で飲めない」という場合は、朝夕寝る前に飲むと飲み忘れが防止できます。※食後に飲まないといけない薬もありますので、相談なく飲み方を変更してはいけません。
実際、薬の値段が安い薬を調節した場合は、お会計は安くならない場合もあります。しかし、必要以上に所持していた薬がなくなることで、「間違って薬を飲むリスク」を減らすことができます。中には、予備で薬を持っておきたいと言われる方が多いです。しかし、体調の変化によって飲むべき薬が変更になった場合、今までの薬は飲むべきではありませんので、そのぶん損をしてしまいます。
医療費などの社会保障費は、年々増加しております。残薬調節は、時間もかかり面倒で、経済的には微々たるものかもしれません。しかし、国民ひとりひとりの協力によって、日本の経済を救い社会保障や国民皆保険制度を維持することができるのだと思います。
薬剤費の節減効果
薬剤師の疑義照会による「薬剤費(医療費)の節減効果」
出典:規制改革会議 公開ディスカッション 「医薬分業における規制の見直しについて」
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