ポリファーマシーを解決する方法(一般向け)

ポリファーマシーとは、明確な基準はありませんが、「必要以上に薬をのんでいる状態」をさします。現在、ポリファーマシーによる有害事象や飲み間違いなどが問題となっています。

  • 薬剤師の活用
  • お薬手帳の活用
  • 「薬を減らす医師は、良い医師である」という認識を広める
  • たくさんの病院にかからない、処方された薬をしっかり飲む

 

これらによって、ポリファーマシーを防げる場合があります。

薬剤師を活用する

薬剤師は、薬の知識を豊富にもっており、その知識をもとに「不要な薬を減らす」ことができます。

 

薬剤師は、処方された薬にうたがわしい点があった場合、必ず医師に問い合わせ(疑義照会)しなければなりません。つまり、似たような薬などの「不必要な薬」が処方された場合に、その薬が本当に必要なのか吟味し問題を解決することができます。

 

そして、薬剤師は、患者さんの腎臓・肝臓の機能に注意し、薬の量が適切であるか確認しています。高齢で腎臓が悪い方は、からだの外に薬が出ていきにくいため、通常よりも少ない薬の量でなければなりません。

 

例えば、「薬の量が多いのではないか」、「副作用の危険のため、他の薬が望ましいのではないか」、「現在出ている症状は、薬の副作用によるものではないか」のような、疑義照会をおこなっています。

 

薬剤師は、健康管理や薬物治療において、患者さんのパートナーです。もちろん、全ての薬剤師がこの通りではありません。かかりつけ(行きつけ)の薬局や薬剤師をみつけることも大切です。

お薬手帳を活用する

不必要な薬を飲まないためには、「患者さんが現在どんな薬を飲んでいるのか」知る必要があります。そこでお薬手帳が活躍します。お薬手帳とは、「今までに飲んだ薬の履歴帳」であり、病院や薬局において「重複投薬」を防ぐことができます。

 

重複投薬とは、似たような効能効果の薬が、重なって処方されている状態をさします。複数の病院にかかっている方に多いのですが、重複投薬は患者さんに健康被害を引き起こします。例えば、睡眠薬や抗不安薬は「70歳以上の9.8%」に重複して処方されており、認知症様症状などが問題になっています。

「薬を減らす医師は、良い医師である」という認識を広める

現在、医師は「薬を処方するものだ」という誤った認識があります。そして、病気になったのに薬が処方されないと、「治療されていない」と誤解して怒る患者さんがいます。怒るだけでなく、中には因縁をつけて脅しや訴訟をする方もいます。

 

このため、ちょっとした体調不良に対しても、「医師が薬を出さないといけない世の中」になっています。そして、背景には「薬があれば病気が治る」という誤った認識もあります。多くの病気は、薬がなくても治ります。薬は、病気を治すための「治療方法のひとつ」でしかありません。

 

このような風潮に負けず、「体調の変化を見極め、薬を減らそう」としてくれる医師は「良い医師」です。多くの患者さん(一般の方)が、このような「正しい知識」をもつことも、ポリファーマシーの改善につながります。

たくさんの病院にかからない

薬を減らす医師は良い医師ですが、良い医師が「必ず薬を減らす」わけではありません。現在の医療において、「薬を追加しないことが正しい」という根拠があまりありません。つまり、薬を試してみないと「病気がよくなるか、よくならないか」について誰もわからないのです。

 

調子が良くないからといって、たくさんの病院を受診してしまうと、それだけ薬が処方されます。2つ以上の医療機関にかかる場合、お薬手帳が有用です。しかし、今飲んでいる薬が「なぜ処方されたのか」わからない場合には、薬をむやみに中止できません。

 

お薬手帳にも限界があるため、まずは「たくさんの病院にかからない」ことが大切です。

処方された薬をしっかり飲む

「出された薬をしっかり飲むこと」は大切です。そんなこと知っている!と思われがちですが、飲み忘れがない方が珍しいです。お昼の薬を忘れたり、食前の薬を忘れることは誰にでもあります。

 

ここで「ごまかさない嘘をつかない事実を伝える」ことが非常に重要です。本当は飲んでいないのに、薬を飲んだと言う(もしくは飲んでない事実を伝えない)と、医師は「患者さんが薬を飲んでいることを前提」として、治療の方針を決めます。

 

例えば、血圧を下げる薬が出ていたのに、薬を飲んでいなかったり飲み忘れが多い場合を考えます。診察の時に、薬を飲めていなかった事実を伝えないと、結果として薬の量が増えます。なぜなら、このとき医師は「あれ?まだ血圧が下がっていない。薬が効いていないのだろう。薬を追加しよう。」と考えているのです。

 

薬を飲んでないと医師に怒られると感じる方が多いのですが、ごまかすと後で困るのは患者さん自身です。医師に言いづらい場合は、薬剤師を頼ることもひとつの手段です。薬剤師から医師に連絡してもらいましょう。

 

飲み忘れなどで「たくさん薬が余った場合」は、調節が可能です。医師や薬剤師に相談してください。

関連ページと参考図書

ポリファーマシーとは ポリファーマシーを解決する方法(一般向け)
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参考:日本老年医学会
高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015
(Amazonにリンク)

 

 

参考:Gノート2016年10月号
Gノート 2016年10月号 Vol.3 No.7 今日からできる薬の引き算 ポリファーマシー対策〜多職種連携が解決のカギ!
(Amazonにリンク)

 

より詳しい情報知りたい方は、書籍の購入をオススメします。



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