心房細胞・心室細胞の収縮(興奮)を考える その1

心房・心室細胞の静止期の電位差は-90mV~-80mVであり、洞結節(-60mV)と比べて大きな電位差です。この部位では、まずギャップジャンクションから陽イオンが入りこみ電位を浅くします。そして、約-65mVになると、Naチャネルが開き、Naイオンが細胞内に流入します。

 

 

 

心房細胞の脱分極(興奮・収縮)
心房の収縮期は、心室に比べて短いという特徴があります。それは、副交感神経(アセチルコリン)の影響を受けるようにつくられているためです。心房細胞の静止電位は、心室と比べ少し浅く、約-80mVです。心室細胞、プルキンエ線維なども、心房細胞と同様に分極・脱分極をしていると理解してください。ただし、プルキンエ線維は、心臓の収縮に関係していません。

 

洞結節の興奮が、ギャップジャンクションを利用して、心房細胞へ伝わります。このとき、陽イオンの流入が起こっており、細胞の電位差が約-65mVへ押し上げられます。すると、Naチャネルが開き、勢い良くNaイオンが細胞内に流れ込み、心房の細胞は興奮します。

 

さらに、電位差が0mVを超えて、約+30mVまで上がるのです。その途中、約-30mVになると、L型Caチャネルが開きCaイオンが細胞内に入ります。この時、電位が上がり過ぎるのを止めるために出て行くKイオンも存在します。

 

 

入ってきたCaイオンの刺激で、細胞内の筋小胞体からCaイオンが出ます。また、Na/Ca交換系を利用して入ってくるCaイオンもあります。これら全てのCaイオンを利用して心房細胞は収縮するのです。

 

 

細胞内へのCaイオンの流入は、細胞の収縮の持続時間が長いほど大きくなります。また、細胞内に流入するCaイオンの濃度が大きいと、筋小胞体からのCaイオンの放出も増大し、細胞は強く収縮します。(外から入るCaイオンの役割は筋小胞体への刺激程度です。)

 

このCaイオンを使って細胞は収縮しますが、Caイオンが入りっぱなしでは、細胞内の電位が上がりすぎてしまいます。それを緩和させるために、KイオンがKチャネルから少しずつ細胞外に出ていき、電位差の平坦な状態をつくります。

 

 

この電位差が平坦な状態を「プラトー相」とよびます。この状態において、心筋の細胞は収縮が続いています。つまり、このプラトー相が長ければ、収縮している状態が長いということです。

 

 

続いて、心房細胞・心室細胞の収縮(興奮)を考える その2

 

 

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