心臓を動かすイオンと電流

Ca電流(L型Caチャネルより入るもの)
Ca電流とは、Caイオンの動きに他なりません。洞結節・房室結節では、電気刺激の発生と伝導の役目をしています。心房・心室において、Caイオンは「チャネルから入るもの」、「Na/Ca交換系によって入るもの」、「筋小胞体が刺激されて出るもの」があります。これらのCaイオンが関わることによって、心臓は収縮することができるのです。

 

心臓の細胞が興奮し、電気刺激を発生するには、細胞が脱分極する必要があります。「Caイオンの流入による脱分極」は、「Naイオンによる脱分極」と比べて緩やかであり、時間をかけておこります。

 

交感神経の興奮は、細胞内へのCaイオン流入を増大させ、筋小胞体にCaイオンの取り込みを促進させます。そして、必要に応じて、筋小胞体からCaイオンの放出量を増やし、収縮を増大させます。これらのCaイオンの動きによって、心臓の収縮がコントロールされます。

 

Na電流
Na電流とは、Naイオンの動きに他なりません。心房・心室・プルキンエ線維において、電気刺激の発生の役目をしています。特にプルキンエ線維における「Naイオンの細胞内への流入」が最も速いといわれます。

 

このNa電流は、初期の脱分極を起こすことが役目であり、早期に終わります。しかし、ただ全てのNaチャネルが同時に開いて早い段階で閉じてしまうのではなく、遅く閉じるNaチャネルもあります。そして、心筋に障害が生じると遅く閉じるチャネルが増えてきます。

 

K電流
細胞の内にいる電解質(イオン)は、ほとんどKイオンであり、Kイオンには多くの役目があります。その役目をこなすために、細胞には多くのKイオンチャネルがつくられています。そして、その各チャネルには特殊な機能が備わっています。

  • 心房、心室、プルキンエ線維などの深い静止電位状態(分極)に関係する「Kイオンの流出」
  • Naイオンの流入により脱分極がおこるとき、上昇した電位を抑えるための「Kイオンの流出」
  • Caイオンが徐々に入り、その電位がプラトー相になるように働く「Kイオンの流出」
  • 収縮期を終わらすための「Kイオンの流出」
  • 細胞内のATP(エネルギー)が減少しているときの「Kイオンの流出」
  • アセチルコリン(副交感神経)の刺激による「Kイオンの流出」

 

アセチルコリンの刺激による場合、洞結節と心房が関係します。洞結節に作用すれば、深い電位差となり心拍のリズムを遅くします。そして、心房に作用すれば、収縮期を短くします。

 

各電流の役目まとめ
身体が洞結節や房室結節でCaイオンを使うのは、ゆっくりとした電気刺激の発生と伝達のためだといわれます。また、固有筋(心房細胞・心室細胞)とプルキンエ線維・脚・ヒス束で、Naイオンを使うのは、深い電位をつくり、俊敏な興奮、速い刺激の伝達のためだと考えられます。

 

ただし、収縮に関係しないプルキンエ線維などでCaイオンを使うのは、Naチャネルの開く電位差(-65mV)に早急に下がらないように、Caイオンを細胞内にとどめて不応期を長くさせたかったと考えます。

 

 

続いて、絶対不応期と相対不応期

 

 

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