身体活動の重要性|エクササイズガイド2013

身体活動(physical activity)とは、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する全ての動作をさします。それは、日常生活における「生活活動」(家事、通勤・通学等)と、体力の維持・向上を目的とし実施される「運動」の2つに分けられます。

 

日常の身体活動量を増やすことで、メタボリックシンドロームや循環器疾患・糖尿病・がんなどの生活習慣病の発症やそれに伴う死亡のリスクを下げることができます。また、加齢に伴う生活機能低下ロコモティブシンドローム認知症等)を防ぐことができ、自立した生活をより長く送ることが期待できます。

 

このように、身体活動はとても大切であり、不足すると危険がまっています。WHOは、高血圧(13%)、喫煙(9%)、高血糖(6%)に次いで、身体活動不足(6%)を全世界の死亡に対する危険因子の第4位として位置づけており、2010 年にその対策として「健康のための身体活動に関する国際勧告(Global recommendations on physical activity for health)」を発表しました。

 

将来、生活習慣病等を発症するリスクを低減させるために、達成することが望ましい身体活動の基準は次のとおりです。なお、研究成果を踏まえて年齢による区分を行っていますが、個人差等を踏まえて柔軟に対応することが必要です。

 

メッツ・時とは、運動強度の指数であるメッツ(下部に表あり)に運動時間(hr)を乗じたものです。例えば、皿洗い(1.8メッツ)を30分(0.5時間)行った場合は、1.8×0.5=0.9(メッツ・時)と計算されます。1週間のうち、5日間(回)行った場合は、0.9(メッツ・時)×5(回/週)=4.5(メッツ・時/週)と考えます。

 

18~64 歳の基準
①身体活動量の基準(日常生活で体を動かす量の考え方)
強度が3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時/週 行う。
具体的には、歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分行う。

 

②運動量の基準(スポーツや体力づくり運動で体を動かす量の考え方)
強度が3メッツ以上の運動を4メッツ・時/週 行う。
具体的には、息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行う。

「強度が3メッツ以上の身体活動」とは、歩行またはそれと同等以上の身体活動。
「強度が3メッツ以上の運動」とは、息がはずみ汗をかく程度の運動。

 

65 歳以上の基準
①身体活動(生活活動・運動)の基準
強度を問わず、身体活動を10メッツ・時/週 行う。
具体的には、横になったままや座ったままにならなければ、どんな動きでもよいので、身体活動を毎日40分行う。

 

この基準は、高齢者の身体活動不足を予防することに主眼を置いて設定しているが、高齢者においても、可能であれば、3メッツ以上の運動を含めた身体活動に取り組み、身体活動量の維持・向上を目指すことが望ましい。

 

18 歳未満の基準
18歳未満に関しては、身体活動(生活活動・運動)が生活習慣病等及び生活機能低下のリスクを低減する効果について十分な科学的根拠がないため、現段階では定量的な基準を設定しない。

 

しかしながら、こどもから高齢者まで、家族がともに身体活動を楽しみながら取り組むことで、健康的な生活習慣を効果的に形成することが期待できる。そのため、18歳未満のこどもについても積極的に身体活動に取り組み、こどもの頃から生涯を通じた健康づくりが始まるという考え方を育むことが重要である。

 

身体活動:今よりも少しでも増やすことが大切です(例えば、10分多く歩くなど)。
運動:運動習慣をもつことが大切です(30分以上、週2日以上)。

 

生活活動に関するメッツ表

 

運動に関するメッツ表

 

年齢別の身体活動基準は、平成22~24年度厚生労働科学研究「健康づくりのための運動基準・運動指針改定ならびに普及・啓発に関する研究」(研究代表者:宮地元彦)で行われたシステマティックレビュー及びメタ解析を基盤としています。
【メッツ表の出典】厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)
 「健康づくりのための運動基準2006改定のためのシステマティックレビュー」(研究代表者:宮地元彦)



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