子どもの薬の飲ませ方|子どもと薬
子どもは、まだまだ成長の途中であり、からだが小さいだけでなく生理機能も発展途上です。特に新生児から乳児・幼児は、肝臓や腎臓などの臓器がしっかり機能しません。つまり、薬の量や種類に気をつけなければ、健康被害の危険があります。
また、子どもは、本人だけでは薬を服用できません。 薬のかたちや味が「お薬を飲めるか飲めないか」に大きく影響します。このページでは、子どもと薬の特徴を、薬の飲ませ方を中心に解説いたします。
子どもの年齢の区分
新生児 | 生後4週未満 |
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乳児 | 4週から1歳未満 |
幼児 | 1歳から7歳未満 |
小児 | 7歳から15歳未満 |
薬の飲ませ方
子どもは、飲み込む力(嚥下能力)が低いため、錠剤よりも散剤(粉薬)、シロップ・水剤(水薬)、坐剤を用いることが多いです。
散剤(粉薬)の飲ませ方
項目 | 方法 | 注意点 |
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溶かして飲ませる | 水やぬるま湯に薬を入れ、よく溶かしたあとスプーンなどで飲ませる。 | 熱湯は、薬の性質を変化させ、副作用や効果がなくなる危険がるため不可。 |
だんご状 | 粉薬を少量の水やぬるま湯でペースト。だんご状にねって指先につけ、子どもの上あご、ほほの内側、舌の奥に塗り、水で流し込むように飲ませる。 | 手をきれいに洗ったあと行う。飲ませるときは、舌の先は苦みを強く感じるので避けた方が良い。 |
ゼリーオブラート | 市販のゼリーオブラートを使用する。そのあと水で流し込む。 | ゼリーと薬をかき混ぜすぎると、苦味が強く広がるため、注意が必要。 |
できるだけ、水かぬるま湯に溶かして飲ませましょう。薬をミルクや主食に混ぜると、味が変わりミルク嫌いになることもあり、絶対混ぜてはいけません。
薬を嫌がり飲めない場合は、ジュース、冷たいもの(シャーベット、アイスクリーム、ヨーグルト等)と混ぜ合わせ、飲みやすくする方法もあります。チョコレートやココアと混ぜると、薬の味をほとんど感じなくなるようです。
ただし、牛乳や酸味の強いジュース、スポーツドリンクなどと混ぜると、苦味が強くでたり薬の効果がなくなる場合もあるため、注意が必要です。わからないことは、近所の薬局・薬剤師に相談しましょう。
飲んですぐに薬を吐き出した場合は、再度、同量を飲ませましょう。しかし、30分~1時間たった後に吐いた場合は、ほぼ薬は吸収されたと考えて、再度飲ませる必要はありません。様子をみましょう。
飲み忘れに気づいたとき、すぐに飲ませ、次回の時間を少し遅らせましょう。次回に飲ませる時間が近いときは、気づいた1回分を飛ばすなど、絶対に2回分を飲ませないでください。
シロップ・水剤(水薬)の飲ませ方
スプーンで少しずつ、なるべく口の奥の方へ入れて飲ませましょう。また、泡立たないようによく振ったあと、スポイトで薬を吸い上げ、頬の内側に流し込み飲ませましょう。ミルクと混ぜないなど、基本的な特徴は散剤(粉薬)と同様です。
また、薬を吸収させるために、薬を飲ませた後は、水かぬるま湯を飲ませましょう。むせないように子どもの上体を起こして飲ませましょう。
ビンから直接のませると、1回量が不正確になったり、不潔(細菌汚染)になるため注意が必要です。また、激しく振って泡立ってしまうと、正しく計測ができなくなります。カビ等の汚染を受けやすいため、冷蔵庫に保管し、期限が過ぎたら捨てましょう。
混ぜたり薄めたりなどの調整をするときは、飲ませる直前に「1回分だけ混ぜる」ようにして、作り置きはしないで下さい。
坐薬の使い方
坐薬は体温で溶けますので、使用前に手で少し温めておくと挿入しやすくなります。また、水やオリーブ油、サラダ油で坐薬を濡らすことも滑りをよくし、刺激が少なくなり使用しやすくなります。冷蔵庫から出してすぐに使用すると、冷たさが刺激になり、便と一緒に出てしまうことに注意が必要です。
ティッシュペーパーなどで座薬をつまみ、仰向け状態で脚を持ち上げ(おむつを替える格好)、肛門内部に挿入します。その後、1~2分間は上から押さえておいてください。また、坐薬が外に出ないように、挿入後20~30分は運動・激しい遊びは避けましょう。
・坐薬を1/2または2/3を使う場合
包装状態のまま清潔なナイフか包丁で斜めに切りましょう。1/3を使用する場合は真ん中の部分は、使わず捨てて下さい。残りの坐薬は、ラップなどにくるんで冷蔵後に保管し、2~3日中に使用しないときは捨てるようにして下さい。(挿入する先端以外は捨てる場合もあります。医師・薬剤師の指示に従ってください)
挿入後数分ないし10分以内に排便が起きて、坐薬が溶けていなければ、もう一度挿入して構いません。10~15分後の排便であれば、薬剤がどのぐらい吸収されたかが分かりません。1時間ほど様子を見て、症状が改善しなければもう一度使用してください。
坐剤挿入後、水様の排泄物が出ることがありますが、これは坐薬の溶けたものなので心配はありません。
2種類の坐薬を使用する場合、一般的に最初に入れた坐薬から30分くらいあけて、次を入れると良いでしょう。使用する順番は、水溶性(水に溶けやすいもの)が先です。医師・薬剤師の指示を確認しましょう。
点眼剤(目薬)の使い方
仰向けに寝かせ、保護者の膝や股の間に子どもの頭を固定するとよいでしょう。泣かせてしまうと涙で点眼した薬剤まで流れてしまいますので、怖がらせないように注意しましょう。眠っている間に点眼するのも良いでしょう。
点眼をする前に必ず手を洗い、清潔な状態で行って下さい。冷蔵庫から出して直ぐに使用すると、冷たくて刺激を感じ、嫌がる場合があります。室温で少し時間をおいた後、点眼すると刺激感がすくなくなります。
点眼薬の基本的な事項は、こちら点眼剤(目薬)の上手な使い方をご覧下さい。
軟膏・クリームの使い方
塗る前に手を洗い、清潔にした指に必要な量だけ取りだして使用しましょう。チューブの口から直接に塗らないよう注意してください。ある程度薄く塗れば効果がありますので、ゴシゴシと擦り込む必要はありません。擦り込むと、かえって皮膚を刺激し症状を悪化させる場合があります。
塗ったところが気になって、なめたりさわったりすることがありますので、寝ているときなどに塗るのも良いでしょう。薄く塗った薬をなめてしまっても、ごく少量であれば、さほど問題はありません。
点鼻薬の使い方
鼻水があると、薬の効果がしっかり発揮されないので、薬の使用前に鼻をかませましょう。噴霧するのを嫌がる子には鼻の入り口に1滴たらして、上を向かせて鼻の中に入れましょう。その後、顔を戻し余分な液を拭き取って下さい。
貼付剤(貼り薬)の使い方
汗の処理ができていないと、かぶれの原因になるため、貼る場所を乾いたタオル等でよく拭きましょう。同じところに続けて貼ると、かぶれる場合があります。新しい貼付剤に貼りかえる時は、同じところを避けて下さい。
また、傷口や湿疹のあるところは避けて貼りましょう。貼付剤をはがしてしまわないように、子どもの手の届かないところに貼るという対応も大切です。
子どもと薬|薬の量や注意点は、こちらをご覧下さい。