妊娠中に薬を飲んでも良いのか?

妊娠中に、を飲んでも良いのでしょうか?母体だけでなく、胎児に対して、どれくらい薬の影響があるのか。まだまだ研究途中で、100%の安全はありません。母体を守り、胎児を守るためには、正しい知識が必要です。

 

妊娠中の女性が薬を飲む前に
薬は必要であるから飲むべきであり、必要な量を、なるべく短期間で飲んでもらいます。治療目的が達成されたら、薬は早めに中止するべきです。しかし、急に中止をするといけない薬もあるため、医師・薬剤師の指導を守ることが安全につながります。

 

「胎児への薬の影響」と妊娠期間
妊娠中に薬をつかう際、胎児の「発育」や「奇形」などへの影響が心配されるところです。薬が奇形をおこす作用を「催奇形性」といいます。また、胎児の発育や機能に悪い影響をすることを「胎児毒性」といいます。

 

これらの悪い影響は、薬が発売される前にしっかりと試験がおこなわれているため、ほとんどの薬で心配ないとされています。しかし、抗がん剤など、一部の薬は影響があります。

 

薬による胎児の悪い影響を考える上で、妊娠の期間も重要です。「妊娠週数」は、最終月経の開始日を0週0日とし、分娩予定日は40週0日と数えます。

 

妊娠週数0~3週を「無影響期」、4~7週を「絶対過敏期」、8~15週を「相対過敏期」、16週~分娩(出産)までを「潜在過敏期」といいます。その期間によって、薬の影響がさまざまです。

 

妊娠週数 期間 薬の影響
0~3週 無影響期

まだ胎児の器官(臓器など)がつくり始められていません。薬の影響をうけた受精卵は、「着床しない」、「流産する」、「完全に修復される」のいずれかになります。
つまり、奇形や発育への悪影響はありません。しかし、からだの中にとどまりやすい薬(消失半減期の長い薬など)には、注意が必要です。

4~7週 絶対過敏期

胎児のからだの重要な器官(中枢神経、心臓、消化器、四肢など)が作られる「器官形成期」です。奇形をおこす影響を、最もうけやすい過敏な期間ですが、妊娠に気づかない場合も多いです。
中でも、ホルモン剤、ワルファリンカリウム、抗てんかん薬、脂溶性ビタミンが注意です。

8~15週 相対過敏期

胎児の重要な器管はつくられているため、「絶対過敏期」に比べると、奇形の危険はさがります。
しかし、性器や口蓋(こうがい)※など、まだつくられていない器官もあるため、注意は必要です。

 

※口蓋:口腔と鼻腔とを境する組織

16週~分娩 潜在過敏期

薬の多くは、胎盤を通過して胎児に移行します。奇形を起こす危険はなくなりますが、胎児への毒性発育への影響に注意が必要です。子宮内胎児死亡、分娩直後の新生児の適応障害などが問題となります。
妊娠後期では、解熱鎮痛消炎剤(痛みどめ、熱冷ましの薬)が胎児の血液循環に悪影響を及ぼすことがあります。

 

男性が使用した薬での影響
薬の影響で、精子は「受精能力を失う」、「着床しにくい」、「早期に流産する」といった影響を受けることがあります。精子は、74日間でつくられるため、約3ヶ月の間に使った薬が影響をします。エトレチナート、コルヒチン、フルボキサミン、リバビリンなどに注意が必要です。

 

催奇形性・胎児毒性のある薬剤
サリドマイド、黄体ホルモン、男性ホルモン、蛋白同化ステロイド、ワルファリンカリウム、エトレチナート、フェニトイン、トリメタジオン、炭酸リチウム、アザチオプリン、メトトレキサートなど

 

病気と薬
①かぜ症候群、解熱鎮痛薬
ポビドンヨード(イソジンなど)は、胎児が甲状腺中毒に注意が必要です。解熱鎮痛薬としてはアセトアミノフェンを使用し、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は避けられます。

 

②便秘症
運動量が低下することや、腸管の圧迫などにより、便秘になりやすいです。酸化マグネシウム、パントテン酸、漢方薬などが使われますが、食事と運動によっても改善が期待できます。

 

妊娠中の注意すべき点
薬を飲んでいなくても、先天異常(生まれつきの奇形)は、100人に2人くらいの割合でみられます。また、てんかんを持つ妊娠中の女性から出生した新生児には、先天異常がみられることがあります。(遺伝)

 

薬の危険度の評価
米国食品医薬品局(FDA)の胎児危険度分類基準によるA、B、C、D、Xの5段階評価(X:妊婦または妊娠する可能性のある女性には禁忌)などがあります。また、虎の門病院(東京都港区)は、薬剤の危険度と服用時期によって、薬のリスクを独自に点数化しています。

 

より詳しく知りたい方は、妊娠と薬|おくすり110番(外部サイト)がおすすめです。

 


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