運動の重要性と人の血管

運動が重要であることは、一般的に知られています。気軽にはじめることができ、長続きしやすい運動に「歩行運動(ウォーキング)」があります。

 

「歩行運動を1時間行う」消費カロリーは200kcal前後であり、だいたいコンビニのおにぎり1個程度です。

 

毎日続けられれば1ヶ月で脂肪を1kg(約7000kcal)落とすことができる計算ですが、歩いてダイエットをするよりも、コンビニのおにぎりを1個我慢する方が簡単に感じられます。

 

しかし、運動をすることは、カロリーの消費だけでなく「からだを健康」にしてくれます。運動には、筋力をつける、ダイエット、血圧やコレステロールの改善、精神疾患、呼吸器疾患、認知症の予防など様々な利点があるといわれます。これらの利点には、「人の血管」と血管の細胞(血管内皮細胞)が関与しています。

運動の大切さ

 

日常の身体活動を数日低下させただけで、「健康な若者の脚の血管内皮細胞機能低下した」という米国ミズーリ大学医学校の研究があります。さらに、5日間の不活動によって引き起こされる血管機能不全は、最低歩行1万歩以上の身体活勤を1日以上しないと回復しないといいます。

 

主任研究者のポール・フェデル准教授は、以下の内容を語っています。
「身体活動を行わないことは、様々な悪い結果に繋がるが、それは逆にとらえることも可能である。つまり、どんな疾患を持っていても、さらにどんな年齢の方でも、身体活動は有益であるという研究データが存在する。そして、身体活動を行うことで、寿命を延ばすことができるだろう。しかし、わずか5日間それ(身体活動)をサボっただけでも脚の血管内皮機能が損なわれ、それを修復するために時間が必要である。」

 

つまり、継続して運動(身体活動)を行わないと、血管の機能が下がってしまい、回復するためにはかなりの運動量が必要なのです。

 

「不活動は人々を肥満に導く。肥満の次に起こるのは、インスリン抵抗性と2型糖尿病、心血管疾患などの慢性病だ。最良の治療法はより活発に運動することである。我々の研究がその有益性を証明している。あなたが1日中座っていることの有害性に気がつかず何もせずにいたら、いずれわかるだろう。」

 

さらに、研究チームは、「毎日1万歩以上の歩行」をする人が、その歩行運動量を「毎日5千歩以下」に低下させる実験を行いました。(5千歩は米国人の平均歩数、歩数推奨量の半分)
実験の結果、身体活動量の低下を5日続けるだけで、脚の血管内皮細胞機能が有意に低下することを発見しました。

 

共同研究者のジョン・チフォールト准教授は、以下の内容を語っています。
「我々は人々に生理学と疾患のプロセスについて教える必要がある。そして、いかに不活動が疾患の進行の根底で重要な役割を担っているのかを理解させる必要があるのだ。そして、我々は人々に万歩計のようなツールを与え身体活動を高めて健康を改善する助けになるようにするのだ。我々の研究は、毎日の身体活動が健康にあたえる役割を理解させるのに役立つ。彼らの健康は単なる体重の問題ではないのである。」

 

出典:『スポーツ及びエクササイズの医療と科学』

 

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