インターネットで薬を購入するときの注意
平成26年6月12日から、第1類、第2類、第3類のすべての一般用医薬品は、インターネットや電話などで購入できるようになりました。このように気軽に薬を購入できることは、薬局まで行く必要がなく便利です。しかし、偽造サイトによる偽物の薬や個人情報漏えいの被害に、十分に気をつける必要があります。
インターネットでの薬の購入方法
第1類医薬品と第2類医薬品、第3類医薬品の購入方法は異なります。第1類医薬品は、薬の効果や副作用が強いため、購入方法が厳しめです。
第1類医薬品をインターネットで購入する方法(4ステップ)
①使用者の状態などの確認
- 性別、年齢
- 症状
- 副作用歴の有無及びその内容
- 持病の有無及びその内容
- 医療機関の受診の有無及びその内容
- 妊娠の有無、授乳中であるか否か
- その他気になる事項(自由記載) 等
②使用者の状態に応じた個別の情報提供
- 用法・用量
- 服用上の留意点(飲み方や、長期に使用しないこと等)
- 服用後注意すべき事項(○○が現れた場合は使用を中止し、相談すること等)
- 再質問等の有無 等
ここで、自身の持病などに関する個人情報を送っていることに注意が必要です。
③提供された情報を理解したことを確認
- 提供された情報を理解した旨
- 再質問・他の相談はない旨
※ 再質問がある場合は、専門家から購入者に回答の上、再質問の有無を再度確認。購入者から回答を理解した旨と再質問・他の相談等がない旨の連絡が来た段階で、次の④販売へ進む。
④販売(商品の発送)
第2類医薬品、第3類医薬品をインターネットで購入する方法
薬剤師や登録販売者が、使用者の状態などを確認の上、販売の可否を判断したのち、販売(発送)します。しかし、第2類医薬品において、個別の情報提供は、努力義務とされています。①の情報を踏まえ、専門家が販売可能と判断した場合、②③の手続を経ずに販売が可能です。
「乱用などのおそれのある医薬品」は、基本的に必要と認められる数量(原則1人1個)しか販売できません。2個以上購入する場合は、その理由等を確認した上で販売することになります。また、未成年が購入する場合には、氏名や年齢、使用の目的を確認します。
つまり、第2類医薬品、第3類医薬品は、①の情報を伝えるのみで、簡単に購入できます。アレルギーや副作用、現病歴をしっかり伝えなければ、健康被害にあってしまいます。
薬局で一般用医薬品を購入する場合、「前立腺肥大や緑内障などはありませんか?」など、有病率の高い疾患の確認を行います。しかし、インターネットで購入する場合、このような確認が実施されないことが多いため、注意が必要です。
また、上記のような手続きを行わずに購入できるサイトは、非常に危険です。
インターネット販売を行う条件
まず、薬機法により、薬局または店舗販売業の許可を受けている実店舗を持つ薬局・薬店である必要があります。そして、その実店舗は週30時間以上開店していなければなりません。そして、購入者の見やすい場所に店舗名などの標識があること、購入者が容易に出入りできる構造であることなどの基準を満たさなければなりません。
薬剤師または登録販売者は、常時、配置されており、インターネットで販売できる医薬品は、実店舗に貯蔵・陳列している医薬品であること、対面や電話での相談体制を整備していることが必要です。このように厳しい条件があることは、偽造サイトから使用者を守ることにつながります。
販売サイトに掲載するべき情報
- トップページに店舗の名称を表示
- 実店舗の写真
- 現在勤務中の薬剤師・登録販売者の氏名など
- 許可証の内容(開設者名、所在地、所管自治体など)
- 営業時間外を含めた連絡先(電話番号、メールアドレスなど)
適切に薬を販売するためのルール
- 情報提供内容を理解したことを確認する
- 再質問がないことを確認する
- 薬の注意点を掲示・表示する
- 乱用などのおそれのある医薬品(かぜ薬や咳止めなど)は販売個数を制限する
- 使用期限を表示する(使用期限切れの医薬品の販売は禁止)
- オークション形式での販売は禁止
- 購入者によるレビューやクチコミ、レコメンド(推薦)は禁止
偽造サイトだけでなく、偽造医薬品にも注意が必要です。各自治体に報告された販売サイトのホームページアドレスを、次のサイトから検索できます。一般用医薬品を購入しようとする店舗が、掲載されているか確認した後に購入することをおすすめします。
インターネット販売に関する調査2015
厚生労働省は2016年6月10日、「医薬品販売制度実態把握調査」の結果を発表しました。その中で、次のように書かれてあります。
店舗(店頭)における販売とインターネットにおける販売を比較すると、一部の項目では店舗(店頭)販売の方が遵守されている割合が高く、インターネット販売における販売ルールの徹底に課題が見られた。
第1類医薬品のインターネット販売では、副作用などの情報提供が71.4 %しか行われていないと指摘されています。本来100%行うべき情報提供ですので、インターネットによる一般用医薬品の購入はより注意が必要です。