多職種連携・チーム医療と薬剤師

「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」の厚生労働省の通知をもとに、チーム医療の中で、薬剤師が行うべき業務をわかりやすくまとめます。(医政発0430第1号

 

在宅医療・介護に関して、薬剤師の活躍はあまり認識されていません。しかし、薬剤師が在宅医療に関与することで、必ず医療の質が向上します。

 

 

【求められるチーム医療とその背景】
近年、患者さんやその家族は「質が高く、安心で安全な医療」を求めています。一方、医療は高度化や複雑化しており、それに伴い医療現場から疲弊が指摘されるなど、医療の在り方が根本的に問われています。

 

このような医療の在り方を大きく変え得る取り組みとして、「チーム医療」が注目されています。チーム医療とは、多種多様な医療スタッフが、業務を分担するとともに互いに連携・補完し合い、患者さんの状況に的確に対応した医療をさします。

 

この前提として、それぞれの医療スタッフが高い専門性を発揮することや、目的と情報を共有する必要があります。この医療スタッフとは、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、リハビリテーション関係職種、管理栄養士、臨床工学技士、診療放射線技師など様々な職種が考えられます。

 

 

【チーム医療での薬剤師の価値】
近年、医療技術の進展とともに、薬物療法(薬を使った治療)が高度化しています。そのため、「医療の質の向上」及び「医療安全の確保」のために、薬剤の専門家である薬剤師が薬物療法に参加することは、非常に有益であるといわれています。

 

また、後発医薬品の種類が増加するなど、薬剤に関する幅広い知識がチーム医療において必要とされています。しかしながら、病棟や在宅医療の場面において薬剤師が十分に活用されておらず注射剤の調製(ミキシング)や副作用のチェック等の薬剤の管理業務について、 医師や看護師が行っている場面も少なくありません。

 

 

【薬剤師が積極的に行うべき業務】
以下の業務については、現行制度の下において薬剤師が実施することができることから、薬剤師を積極的に活用することが望まれています。

 

1 まず、医師・薬剤師等により、病気の治療に関する規定(プロトコール)を作成する。そのプロトコールに基づき、薬剤師の専門的な知見の活用を通じ、医師等と協同して薬物療法を行うこと。この薬物療法とは、薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダについてである。

 

2 薬剤選択、投与量、投与方法、投与期間等について、医師に対し、積極的に処方を提案すること。

 

3 薬物療法を受けている患者に対し、薬学的管理を行うこと。薬学的管理とは、患者の副作用の状況の把握、薬の適切な使用のための服薬指導などである。

 

4 薬物の血中濃度(薬がどれくらい体の中に取り込まれているか検査すること)や副作用のモニタリング等に基づき、副作用の発現状況や有効性の確認を行うこと。また、医師に対し、必要に応じて薬剤の変更等を提案すること。

 

5 薬物療法の経過等を確認した上で、医師に対し、前回の処方内容と同一の内容の処方を提案すること。

 

6 通院しながら、がんを抑える治療を外来化学療法という。この治療を受けている患者に対し、医師等と協働してインフォームドコンセントを実施するとともに、薬学的管理を行うこと。

 

7 入院患者に対する薬学的管理を行うこと。具体的には、入院患者が入院時に持参した薬剤の内容を確認し、医師に対し、服薬計画を提案するなどである。

 

8 定期的に患者の副作用の発現状況の確認等を行うため、処方内容を分割して調剤(分割調剤)すること。分割調剤とは、副作用の起こりやすい薬剤が長期間処方されても、その全てを患者に渡すのではなく、14日分だけ渡すなどの対応を行うことである。

 

この例では、14日後に薬剤師が副作用の状況を確認し、問題なければ残りの薬を渡すが、問題がある場合には医師に連絡し診察を行ってもらうことが考えられる。

 

9 抗がん剤等の適切な無菌調製を行うこと。注射薬は直接からだの中に入るので、菌が入ると危険であるため、菌が入らないような特殊な部屋(無菌調製室)で調製が行われる。

 

 

【薬剤に関する相談体制の整備】
薬剤師以外の医療スタッフが、それぞれの専門性を活かして薬剤に関する業務を行う場があります。この場合においても、医療安全の確保に万全を期す観点から、薬剤師の助言を必要とする場面が想定されます。薬剤師は薬剤の専門家として、各医療スタッフからの相談に応じる体制を整えることが望まれます。

 

 

【薬剤師じゃなくても薬がわかる本】

 

 

 

 

 

 


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