薬剤師の在宅医療と開始の流れ

医療は、外来医療と入院医療、在宅医療の3つの形態があります。外来医療とは、患者さん自身が病院やクリニックに通院し提供される医療です。在宅医療とは、医師、薬剤師、訪問看護師などの医療関係者が、定期的に患者さんのおうちを訪問することによって提供される医療です。

 

在宅医療の中で薬剤師は主に、患者さんが適切に使用することに関わります。そして、患者さんの病状、ADLQOLを改善・維持するために様々なことを行っています。このページでは、その開始の流れを簡単に紹介します。薬剤師が、在宅医療に関わることの利点は別ページで紹介します。

 

 

【在宅医療の対象となる方】

  • 入院や通院が困難な方(寝たきりの状態、自立歩行が困難、認知症など)
  • ご自宅での医療が必要な方
  • 脳梗塞後など、身体機能が低下した方
  • 慢性的な痛みに悩まされている方
  • 排尿や排泄、呼吸などの医療的管理を必要とされる方
  • 最晩年をご自宅で過ごしたい方
  • 在宅ホスピスケア(※)を希望される方

 

外来医療<在宅医療<入院医療の順に費用が高くなります。外来に通院できる方は外来通院をし、通院が困難な方が在宅医療の適応(対象)となります。入院医療よりも在宅医療の方が、費用が安いという理由もあり、在宅医療への流れが進みつつあります。また、保険薬局と患者さんの居宅(施設を含む)との距離が16km未満であることも在宅医療対象の条件とされています。

 

※余命が限られた不治の患者が身体的、心理的、社会的、霊的苦痛から解放され、残された日々を人間として尊厳を保ちながら、心身ともに安楽に過ごすためのケアをホスピスケアといいます。そのケアを患者の生活の居宅で行うことを在宅ホスピスケアといいます。

 

 

【薬剤師が在宅医療に関わるための開始手順】
基本的に、薬剤師も訪問看護師等と同様に、医師や歯科医師(以下、医師とまとめます)からの訪問指示(在宅医療に関わるように指示をすること)に基づいて在宅医療を開始します。医師が、薬剤師に対して訪問指示を出すかどうか、薬剤師の訪問が必要かどうかの判断は様々です。

 

医師自身が薬剤師の訪問を必要だと判断する場合もあれば、患者本人や家族ケアマネージャー訪問看護師薬剤師などの意見から判断する場合もあります。医師が訪問指示を出すと判断した後、医師から薬剤師に「口頭での指示」もしくは「処方箋に訪問指示の旨を記載」を行ってもらうことで、薬剤師の在宅医療を開始することができます。一般的な流れとしては、医師からの訪問指示の後、患者本人もしくは家族と「薬剤師が在宅医療を行うことの同意」を書面を用いて行います。

 

簡単にまとめますと、在宅医療の対象となる方が、医師に対して在宅医療を希望するだけで、「薬剤師の在宅医療」を開始することができます。参考までに、薬局薬剤師の在宅医療開始のきっかけを以下の表に示します。(日本薬剤師会資料)

 

 

 

【薬剤師が在宅医療を行う流れ】
①医師が処方箋を発行する。
②医師や患者さん、ケアマネージャーなどの情報をもとに計画を作成する。(薬学的管理指導計画)
③薬局にて処方箋を受け付け、薬の準備を行う。(FAXを利用する場合もある)
④薬剤師が患者さんのお家に薬の配達を行い、在宅医療を提供する。(詳細は別ページ)
⑤医師や、必要に応じてケアマネージャーや訪問看護師、訪問介護士、理学療法士などに対して情報提供を行う。(情報共有

 

手順としては、この後①に戻り、①~⑤を繰り返します。⑤の情報共有があることで、医師は次回の診察がより良いものとなるなど、提供される医療の質が上がります。

 

 

【薬剤師の在宅医療にかかる費用】
負担額は、薬局に薬を取りに来る場合よりも、1回あたり約300~600円程度増えます。(1割負担の場合)「タクシーを使って薬局に来るよりも、配達されてこの金額なら良いのではないか」という意見がありますが、その程度ではありません。この金額以上のことを薬剤師は行います。是非とも関連ページをご覧下さい。

 

 

【薬剤師じゃなくても薬がわかる本】

 

 

 

 

 

 


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